(Q)老人ホームに措置入所するための移送費や、入院するための移送費は、すべて老人福祉法によって措置されるのでしょうか?
(A)結論
いいえ。老人ホームへの措置入所や病院への入院に必要な移送費が、すべて老人福祉法で負担されるわけではありません。
移送の目的によって、次のように負担する制度を分けて判断します。
1.老人ホームへの措置入所の場合
養護老人ホームなどへ老人福祉法上の措置によって入所する場合は、まず、市町村の老人福祉担当部署に、措置に伴う送迎や移送費を負担できるか確認します。
老人福祉法の措置として移送費が負担される場合は、同じ費用を生活保護から重ねて支給することはできません。
一方で、
- 老人福祉法の措置費では移送費が出ない
- 施設による送迎もない
- 本人や親族に負担能力がない
- 入所が保護上必要である
という場合には、生活扶助の移送費として認定できる可能性があります。
生活保護の実施要領では、保護の必要上、要保護者を遠隔地の保護施設等へ移送する場合などについて、必要最小限度の移送費を認定する取扱いが定められています。
2.病院へ入院する場合
病院への移動は、老人福祉法ではなく、原則として**医療扶助の「移送」**として判断します。
例えば、
- 救急車では対応できない
- 病状により公共交通機関を利用できない
- 医師が入院や移送の必要性を認めている
- 本人に交通費の負担能力がない
- 病院の送迎など他の方法がない
といった場合には、医療扶助による移送費の対象になる可能性があります。
医療扶助では、診療や入院とともに「移送」も給付の一つとして位置付けられており、福祉事務所がその必要性を確認して決定します。
具体例
養護老人ホームへ措置入所する場合
市の車や施設の送迎車で入所できる場合
→ 老人福祉側で対応するため、生活保護の移送費は通常必要ありません。
市や施設による送迎がなく、本人にも費用がない場合
→ 老人福祉担当部署と福祉事務所が調整し、生活扶助の移送費を検討します。
病院へ入院する場合
病状によりストレッチャー付きの民間救急車が必要な場合
→ 医師の意見などを確認し、医療扶助の移送費として検討します。
単に本人の希望でタクシーを使う場合
→ 原則として当然には認められません。
二重支給に注意
重要なのは、老人福祉法、医療保険、介護保険、施設の送迎、親族の援助など、他の制度や方法で負担できないかを先に確認することです。
他の制度ですでに移送費が負担される場合に、生活保護から同じ費用を重ねて支給することはできません。
まとめ
- 老人ホームへの措置入所
→ まず老人福祉法の措置や施設送迎を確認し、不足する場合は生活扶助の移送費を検討します。 - 病院への入院
→ 原則として医療扶助の移送費として判断します。
したがって、「老人ホームや病院へ移動する費用は、すべて老人福祉法で支払われる」という理解は正しくありません。移送の目的と、他の制度による負担の有無を確認して、適切な扶助を決定します。
⇓