(Q3)稼働収入のある世帯の保育所等利用に関する費用はどのように扱われますか?(Q4)障害者支援施設等に入所している方が、交通手段を伴わずに通所できない場合の移送費はどうなりますか?
(A3)結論
稼働収入のある生活保護世帯が、働くために子どもを保育所などへ預ける必要がある場合、その利用費用は原則として、収入認定の際に**「就労に伴う子の託児費」=必要経費として収入から控除**できます。
つまり、通常は保護費に保育料を別に上乗せするのではなく、
給料などの収入 − 必要な保育費 = 生活保護上の収入認定額
という扱いになります。厚生労働省の実施要領では、就労に伴う子の託児費について、実費を収入から控除するとされています。
対象になる主な費用
対象になり得るものには、例えば次のような費用があります。
- 保育所・認定こども園などの利用者負担額
- 就労のため必要な一時保育・延長保育の費用
- 保育所に入所する際の支度費
- 市町村が実施する放課後児童クラブの利用費
保育所入所支度費や市町村の放課後児童クラブ費用についても、就労に伴う託児費に含めて差し支えないとされています。
認められるための条件
主に次の点が確認されます。
- 就労するために保育が必要であること
単に利用を希望しているだけでなく、勤務時間中に子どもを家庭で保育できない事情が必要です。 - 実際に本人が負担していること
幼児教育・保育の無償化や自治体の減免により負担がない部分は、控除の対象にはなりません。 - 必要最小限度の費用であること
利用時間、勤務時間、利用施設、利用料金などを確認し、就労に必要な範囲で認定します。 - 他制度を利用してもなお負担が残ること
保育料の免除・減額制度などが利用できる場合は、まずその制度を活用し、残った実費を控除します。
計算例
母親の給料が月10万円で、就労に必要な保育所の実負担額が月5,000円だった場合は、概念的には、
10万円 − 保育費5,000円 = 9万5,000円
を基礎に、さらに基礎控除、社会保険料、通勤費などを差し引いて収入認定額を計算します。
したがって、5,000円を保護費として別に支給するというより、給料のうち5,000円を収入として扱わない仕組みです。
入所支度費を一度に控除できない場合
保育所への入所時にまとまった支度費がかかり、その月の収入だけでは全額を控除できない場合には、月割りにして複数月の収入から控除することも可能とされています。
注意点
領収書、利用料の決定通知書、勤務時間が分かる書類などの提出を求められることがあります。
また、次のような費用は、就労との関係や必要性を個別に判断します。
- 任意参加の行事費
- 不必要に高額な保育サービス
- 就労時間と関係のない利用費
- 一般的な衣類・日用品
- 保護者会費など託児そのものではない費用
まとめ
稼働収入のある世帯の保育所等の費用は、
- 就労のために必要であり
- 実際に本人が負担し
- 他制度で賄われない必要最小限の額であれば
「就労に伴う子の託児費」として、稼働収入から控除できます。
したがって、保育費を負担した分まで収入として扱わないことにより、働くことで世帯の生活が不利にならないようにする取扱いと考えると分かりやすいです。
(A4)結論
障害者支援施設などに入所している生活保護受給者が、訓練や自立のために公共職業能力開発施設等へ通所し、徒歩では通えず交通機関の利用が必要な場合は、必要な交通費を支給できる場合があります。
ただし、すべての通所交通費が自動的に支給されるわけではありません。福祉事務所が、その通所が本人の自立に必要であり、ほかに費用を負担する方法がないと認めることが必要です。
対象となる例
例えば、障害者支援施設に入所している人が、次のような場所へ継続的に通う場合です。
- 障害者職業能力開発校
- 都道府県立の職業能力開発校
- 職業能力開発促進センター
- 就労に必要な技能を習得するための訓練施設
- 福祉事務所がこれらに準ずると認める施設
単なる外出や余暇活動ではなく、就職、技能習得、社会復帰など、自立につながる通所であることが重要です。
「交通手段を伴わずに通所できない」とは
分かりやすくいうと、
徒歩だけでは通うことができず、バス・電車などを利用しなければ通所できない状態
をいいます。
例えば、施設と訓練校が数キロ離れており、毎日バスを利用しなければ通えない場合などです。
障害の状態によっては、距離が比較的短くても、
- 歩行が困難である
- 車いすを使用している
- 公共交通機関を一人で利用できない
- 送迎や付添いが必要である
などの事情も考慮されます。
支給される費用
原則として、経済的で合理的な経路・交通手段による必要最小限度の実費です。
例えば、
- バス代
- 電車代
- 定期券代
- 必要性が認められる場合の付添人の交通費
などが考えられます。
毎日通う場合は、通常の往復運賃を毎回支払うより定期券の方が安ければ、定期券代を基準に判断することがあります。
生活保護の移送費は、ほかに費用を支出する方法がない場合に、必要最小限度の交通費等を認定する取扱いです。
タクシー代はどうなるか
タクシー代は、単に便利だからという理由では認められません。
ただし、
- 障害のためバスや電車を利用できない
- 車いすに対応した公共交通機関がない
- 施設の送迎を利用できない
- 医師や施設職員の意見から特別な移送が必要
といった事情があれば、個別に検討されます。
この場合も、福祉事務所が必要性や利用回数、経路、料金を確認します。
他制度がある場合
まず、次のような制度を利用できないか確認されます。
- 通所先の送迎サービス
- 障害福祉サービスの送迎
- 自治体の障害者通所交通費助成
- 職業訓練受講者への通所手当
- 施設側による交通費負担
- 障害者手帳による運賃割引
これらの制度で全額が賄われる場合、生活保護から同じ費用を重ねて支給することはできません。一部しか賄われない場合には、残額について検討されます。
具体例
障害者支援施設に入所しているAさんが、就職に必要な訓練を受けるため、平日に障害者職業能力開発校へ通うことになったとします。
施設から訓練校まで徒歩で通うことは困難で、施設の送迎もありません。バスを利用する必要があり、他制度からの通所手当も受けられない場合には、福祉事務所が必要性を確認したうえで、バスの定期券代などを必要な交通費として認定できる可能性があります。
注意点
通所を始めてから事後的に請求するのではなく、事前にケースワーカーへ、次の内容を伝えることが大切です。
- 通所先と訓練内容
- 通所する目的
- 通所日数と期間
- 施設から通所先までの距離
- 利用する交通機関と運賃
- 施設の送迎の有無
- 他制度からの交通費助成の有無
- 障害により特別な交通手段が必要な場合は、その理由
まとめ
障害者支援施設等の入所者が、職業訓練など自立のために必要な施設へ通う場合、徒歩では通えず、バス・電車などを利用しなければならないときは、必要最小限度の交通費を支給できる場合があります。
判断のポイントは、
自立のために通所が必要か、交通機関を使わなければ通えないか、送迎や他制度の助成を利用できないか
という点です。
なお、この交通費が通知上の「移送費」として認定されるか、技能修得に伴う費用など別の費目で認定されるかは、通所先や目的によって異なるため、福祉事務所が具体的に判断します。
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