(Q1)中核機能強化職員が支援を提供する時間帯は、事業所で支援に当たることとされていますが、具体的にどのような体制を確保することが求められるのでしょうか?(Q2)中核機能強化職員について「一支履を基本としつつ、支援の質を担保する体制を確保した上で、地域支援にあたることを可能とする」とされていますが、支援の質を担保するためにはどのような具体的な取り組みや体制が必要ですか?
(A1)結論
中核機能強化職員は、障害児への支援を提供している時間帯には、原則として事業所内で支援に当たることが基本です。
ただし、地域の事業所への助言、関係機関との連携、地域支援などを行う必要がある場合は、事業所内の支援の質を落とさない体制が確保されていれば、支援提供時間帯に外出して地域支援を行うこともできます。
国のQ&Aでは、職員数などの具体的な一律基準は設けられていません。事業所での専門的・包括的な支援を基本にしながら、積極的に地域支援にも取り組むことが求められています。
「支援の質を担保する体制」とは
簡単にいうと、中核機能強化職員が地域支援のため不在になっても、
事業所内の児童・家族・職員に対する必要な支援が、適切に継続される体制
を確保することです。
実務上は、次のような体制が考えられます。
1.必要な職員数を事業所内に残す
中核機能強化職員が外出しても、児童発達支援センター等として必要な人員配置基準を満たし、安全に支援できる職員を残しておく必要があります。
例えば、
- 児童指導員や保育士を必要数配置する
- 医療的ケア児がいる場合は、必要な看護職員を確保する
- 個別の専門的支援が予定されている場合は、対応できる職員を配置する
といった対応です。
中核機能強化職員を配置していることを理由に、通常必要な人員を不足させることはできません。
2.職員間で支援内容を共有する
外出する中核機能強化職員だけが、利用児童の支援方法を把握している状態は適切ではありません。
あらかじめ、
- 児童の障害特性
- 当日の支援内容
- 注意すべき行動や健康状態
- 緊急時の対応方法
- 家族からの連絡事項
などを、事業所内の職員へ共有しておくことが重要です。
3.責任者や判断できる職員を置く
中核機能強化職員が不在の間も、事故、体調変化、家族からの相談などに対応できるよう、事業所内に責任を持って判断できる職員を配置します。
例えば、
- 管理者
- 児童発達支援管理責任者
- 経験のある保育士・児童指導員
- 必要に応じて看護職員や専門職
などが対応できる体制を整えます。
4.連絡できる体制を確保する
地域支援中に事業所で緊急事態や判断が必要なことが生じた場合に備え、中核機能強化職員と連絡できる体制を整えておくことが適切です。
ただし、電話連絡ができるだけで、事業所内の職員配置が不足してよいわけではありません。
5.地域支援の予定を事前に調整する
地域支援を行う日時について、
- 利用児童数
- 支援内容
- 医療的ケアの必要性
- 職員の勤務状況
- 行事や個別支援の予定
を確認し、事業所内の支援に支障がない時間に設定します。
例えば、支援ニーズが特に高い時間帯に、専門職が一斉に外出するような体制は避ける必要があります。
中核機能強化職員に期待される役割
中核機能強化職員は、地域支援だけを行う職員ではありません。
日頃から、その専門性や地域の関係機関との連携で得た知識を生かして、事業所内で次のような役割を果たすことが期待されています。
- 利用児童への専門的支援
- 家族への相談・助言
- 事業所職員への助言・指導
- 支援方法の検討
- 関係機関と連携した支援体制の構築
そのうえで、地域の障害児通所支援事業所への助言などの地域支援を行います。
具体例
中核機能強化職員である作業療法士が、午後に地域の放課後等デイサービスへ助言に出向く場合を考えます。
事業所では、
- 必要な保育士・児童指導員を配置する
- 当日の児童の支援内容を事前に共有する
- 管理者が事業所内に残る
- 医療的ケアが必要な児童には看護職員を配置する
- 緊急時は作業療法士と連絡できるようにする
という体制を整えます。
このように、作業療法士が外出しても、事業所内の支援が安全かつ適切に継続できれば、支援提供時間帯の地域支援も可能です。
注意点
中核機能強化職員については、地域支援を行う時間数や回数に一律の上限が定められているわけではありません。
しかし、地域支援に出ることが多く、
- 事業所内でほとんど支援していない
- 専門的支援が十分に行われていない
- 家族や職員への助言ができていない
- 残った職員だけでは安全な支援が難しい
という状態では、加算の趣旨に合わない可能性があります。
また、中核機能強化職員は、保育所等訪問支援の訪問支援員との兼務はできません。
まとめ
求められるのは、特定の人数を追加配置するという一律の体制ではなく、
中核機能強化職員が地域支援のため外出しても、事業所内で必要な人員・専門性・安全性を確保し、児童や家族への支援を継続できる体制
です。
国は具体的な制約を設けていませんが、あくまで事業所内での利用児童・家族・職員への支援を基本に置き、その質を確保したうえで地域支援を行うことが重要です。
(A2)結論
「支援の質を担保する体制」とは、
中核機能強化職員が地域支援のために事業所を離れる場合でも、事業所内で利用児童への支援の質や安全性が低下しない体制を整えることを意味します。
国のQ&Aでは、「○人以上配置する」といった一律の基準は示されていませんが、利用児童への支援を基本としながら、地域支援も適切に行える体制を整えることが求められています。(cfa.go.jp)
具体的な取り組み
① 必要な職員配置を維持する
中核機能強化職員が外出しても、
- 保育士
- 児童指導員
- 看護職員(必要な場合)
など、人員配置基準を満たす職員を事業所内に配置し、安全に支援できる体制を維持します。
例
- 中核機能強化職員が地域の事業所へ助言に出向く間も、事業所では他の職員が通常どおり療育を実施できるようにする。
② 支援内容を職員間で共有する
中核機能強化職員だけが利用児童の状況を把握している状態では、支援の質を維持できません。
そのため、
- 個別支援計画
- 支援方法
- 注意事項
- 健康状態
- 行動上の配慮
などを、他の職員と日頃から共有しておくことが重要です。
③ 相談・判断できる職員を配置する
中核機能強化職員が不在でも、
- 保護者からの相談
- 児童の体調変化
- 緊急時の対応
に適切に対応できる職員が事業所内にいることが求められます。
④ 地域支援の時間を計画的に調整する
地域支援は、
- 利用児童が少ない時間帯
- 他の職員で十分対応できる時間帯
などを考慮して実施し、事業所内の支援に支障が出ないよう調整します。
⑤ 中核機能強化職員の専門性を事業所内でも活用する
中核機能強化職員は、地域支援だけを行うのではなく、日頃から事業所内で、
- 職員への助言・指導
- 支援方法の検討
- ケース会議への参加
- 保護者への助言
- 専門的な療育の実施
などを行い、事業所全体の支援力向上にも取り組むことが期待されています。
具体例
例えば、中核機能強化職員(作業療法士)が午後2時から地域の放課後等デイサービスへ助言に行く場合、
事業所では、
- 保育士・児童指導員を十分配置する
- 当日の療育内容を事前に共有する
- 管理者や児童発達支援管理責任者が事業所に残る
- 緊急時には中核機能強化職員と連絡が取れるようにする
といった体制を整えます。
このようにすれば、地域支援を行いながらも、事業所内の支援の質を維持できます。
まとめ
「支援の質を担保する体制」とは、具体的には次のような取り組みです。
- 必要な人員配置を維持する
- 支援内容や利用児童の情報を職員間で共有する
- 不在時でも相談・緊急対応ができる体制を整える
- 地域支援の時間を計画的に調整する
- 中核機能強化職員の専門性を事業所内の支援にも活用する
つまり、
中核機能強化職員が地域支援に出ていても、事業所内では利用児童への療育や保護者支援が通常どおり安全かつ継続的に行える体制を整えることが、「支援の質を担保する体制」のポイントです。
⇓