(Q1)「重症心身障害児」以外の児童について、手帳の交付を受けていることが要件となりますか?また、診断書等は要件に含まれないと考えてよいですか?(Q2)身体障害の対象範囲について、肢体不自由に限らず内部障害等も含まれると考えてよいですか?

(A1)結論

「重症心身障害児」以外の児童について、障害児通所支援を利用するために障害者手帳の交付を受けていることは必須ではありません。

また、医学的な診断名が付いていることも必須ではありません。 現行の事務処理要領では、障害児通所給付の対象について、医学的診断名または障害者手帳を有することは必須要件ではなく、療育を受けなければ福祉を損なうおそれのある児童も含むと明記されています。

つまり、たとえば発達の遅れや行動上の課題があり、市町村が「専門的な療育・支援が必要」と判断すれば、手帳がなくても児童発達支援や放課後等デイサービス等の支給決定を受けることは可能です。

ただし、「診断書等は要件に含まれない」と完全に言い切るのは少し注意が必要です。手帳や特別児童扶養手当等の資料がない場合、市町村は、市町村保健センター、児童相談所、保健所等に意見を求めるなどして、支援の必要性を確認します。その際、必ずしも確定診断名がなくても、障害が想定され、支援の必要性が認められればよいとされています。

一方で、ケースによっては診断書等が確認資料として必要になることがあります。たとえば、難病を理由に申請する場合は医師の診断書などにより対象疾病や状態を確認します。また、通所より入所や入院が適切ではないか判断が必要な場合には、市町村が主治医へ照会したり、健康診断書の提出を求めたりすることがあります。

整理すると、次の理解が適切です。

項目一般の障害児通所支援の支給決定
身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳必須ではない
確定した医学的診断名必須ではない
医師の診断書一律の必須要件ではない
市町村等による支援必要性の確認必要
難病など特定の場合の診断書必要になる場合あり

なお、**「重症心身障害児として報酬上の取扱いを受けるか」**という判定は別問題です。重症心身障害児とは、重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複する児童であり、年齢や疾患等で判定が難しい場合には、医師や児童相談所等と連携し、大島分類などを参考に個別判断するとされています。

したがって、簡単に言えば、

一般の児童発達支援・放課後等デイサービス等では「手帳も診断名も絶対条件ではない」。大切なのは、市町村がその児童に療育・支援が必要と確認できること。ただし、難病や重症心身障害など特別な判定では、診断書・医師の意見等が必要になる場合がある

という理解が一番正確です。

(A2)結論

はい。その理解で基本的に問題ありません。

児童福祉法上の「身体に障害のある児童」は、肢体不自由児だけに限定されるものではありません。 身体障害には、視覚障害、聴覚・平衡機能障害、音声・言語・そしゃく機能障害、肢体不自由に加えて、心臓・腎臓・呼吸器などの内部障害も含まれます。

児童福祉法上の障害児自体も、「身体に障害のある児童」「知的障害のある児童」「精神に障害のある児童(発達障害児を含む)」など、幅広く定義されています。

したがって、例えば次のような身体障害も対象になり得ます。

  • 肢体不自由
  • 視覚障害
  • 聴覚・平衡機能障害
  • 音声・言語・そしゃく機能障害
  • 心臓機能障害
  • 腎臓機能障害
  • 呼吸器機能障害
  • ぼうこう・直腸機能障害
  • 小腸機能障害
  • 肝臓機能障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害

つまり、

「身体障害児」=「肢体不自由児」ではありません。内部障害等の児童も身体障害児に含まれ得ます。

という整理になります。

ただし「肢体不自由児」に限定された制度は別です

ここは特に注意が必要です。

制度や報酬の規定そのものが**「肢体不自由児」**を対象としている場合は、内部障害があるというだけでは対象になりません。

代表的なのが、前のご質問にもあった肢体不自由児通所医療です。

令和6年4月から医療型児童発達支援は児童発達支援へ一元化されましたが、児童発達支援センターで治療を併せて行う肢体不自由児については、現在も「肢体不自由児通所医療受給者証」が用意されています。

したがって、

「障害児通所支援の対象となる身体障害児」

「肢体不自由児通所医療の対象となる肢体不自由児」

は区別して考える必要があります。

具体例

たとえば、心臓機能障害のある児童について、発達支援・療育の必要性が認められる場合、

「肢体不自由ではないから児童発達支援の対象外」

とはなりません。

一方、その児童に肢体不自由がなく、内部障害のみである場合に、

「身体障害児だから肢体不自由児通所医療も利用できる」

ということにはなりません。

まとめ

一番分かりやすく整理すると、

「身体障害」という大きな範囲には、肢体不自由だけでなく内部障害等も含まれる。

ただし、制度・加算・医療給付の要件に「肢体不自由児」と明記されている場合は、身体障害全般ではなく、肢体不自由に該当することが必要。

という理解が適切です。

なお、障害児通所支援そのものは、従来の障害種別ごとの体系から障害児通所支援として一元化されているため、「どの障害種別か」だけではなく、その児童に発達支援が必要かという観点が重要になります。

お問い合わせ先 運営指導・監査対策 神戸市の義足行政書士事務所