(Q11)土地・家屋の保有を容認する場合、その資産を活かして改めて自立を図るための援助方針はどのように立てるべきですか?
(A11)土地・家屋の保有を容認する場合でも、「保有を認めたので、そのままでよい」として終わるのではなく、その資産を生活の安定や今後の自立にできるだけ役立てるという視点で、改めて援助方針を立てることが重要です。
厚生労働省の実施要領では、資産について、処分するより保有している方が「生活維持及び自立の助長」に実効が上がるものは、一定の場合に保有を認めるという基本的な考え方が示されています。
どのような援助方針を立てるのか
まず、その土地・家屋を**「なぜ保有させるのか」**を明確にします。
たとえば、
- 現在の自宅に住み続ける方が生活が安定する
- 高齢・障害・疾病などにより転居が大きな負担になる
- 通院、介護、就労などの生活基盤が現在の地域にある
- 親族や近隣住民の見守り・援助を受けている
- 売却して賃貸住宅へ移るより、現在の住宅を維持する方が経済的である
といった事情を確認し、保有することが生活維持・自立にどう役立つのかを援助方針に反映させます。これは、資産を単に所有するのではなく、最低生活の維持や自立のために実際に活用するという実施要領の考え方によるものです。
また、保有を認めた不動産についても、状況によっては売却以外の活用方法を検討できます。厚労省の実施要領は、資産活用について売却を原則としながらも、それが難しい場合には、貸与して収益を得るなど別の活用方法も考慮するよう定めています。
例えば、広い土地や住宅の一部について無理なく賃貸できるのであれば、賃料収入を得て生活の安定につなげられないか検討する、ということです。ただし、実際に賃貸する場合には、その収入は生活保護上の収入認定との関係も生じるため、福祉事務所と調整して進める必要があります。
「経済的自立」だけを考えるわけではありません
自立というと、
「仕事をして生活保護を廃止する」
ことだけを想像しがちですが、土地・家屋の保有を判断する場面では、もっと広く、現在の生活を安定させ、自分で生活を維持できる状態を高めることも重要です。
例えば、高齢者が現在の自宅に住み続けることで、
「家賃負担がない」
「近所から見守りを受けられる」
「通院を継続できる」
「介護サービスを継続できる」
のであれば、自宅を保有すること自体が生活の安定に役立っていると考えられます。厚労省も、現に最低生活の維持に活用され、処分するより保有する方が生活維持・自立の助長に実効が上がる資産について、保有を認める考え方を示しています。
一度保有を認めたら永久にそのまま、ではありません
ここも重要です。
保有容認時の事情が将来変わることがあります。例えば、
- 世帯員が施設に入所した
- 自宅に住まなくなった
- 不動産価格が大きく変化した
- 相続などで権利関係が変わった
- 土地の一部を活用できるようになった
- 世帯の収入・健康状態が変わった
などです。
そのため、援助方針は固定するのではなく、世帯状況や資産の利用状況が変化した場合には、保有することが引き続き生活維持・自立に有効なのかを確認していくことが適切です。これは、そもそも保有容認の根拠が「保有する方が生活維持・自立の助長に実効が上がる」という点にあるためです。
具体例
例えば、75歳の単身者について、
- 30年以上自宅に居住
- 家屋は古く処分価値はそれほど高くない
- 家賃負担がない
- 近隣の親族が見守っている
- 近くの病院へ定期的に通院している
という事情から自宅の保有を認めたとします。
この場合の援助方針は単に、
「自宅保有を容認する」
だけでは不十分です。
例えば、
「現在の住宅で安定した生活を維持しながら、医療・介護サービスを適切に利用し、近隣・親族の支援関係を維持する。住宅の維持管理状況や本人の健康状態に変化があった場合には、今後の住宅の活用方法について改めて検討する」
というように、保有した住宅を本人の生活安定にどう結び付けるかまで考えるのが援助方針の考え方になります。
つまり、土地・家屋の保有を容認した場合は、
「家を持つことを認めて終わり」ではなく、その住宅を生活基盤としてどのように活かせば生活の安定・自立につながるのかを考え、必要な福祉サービス、就労、親族・地域支援、不動産の有効活用などを組み合わせた具体的な援助方針を立てる
ということです。厚労省も、持ち家がある場合でも一定の場合には保有を認め得ることを案内しています。
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