(Q1)「当該地域」とは、どのような単位で判断するのが適当ですか?(Q2)「当該地域の一般世帯との均衡を失することにならない」とは、どのような基準で判断されますか?
(A1)「当該地域」の範囲は、原則として、保護の実施機関の所管区域または市町村の行政区域を単位として判断するのが適当とされています。厚生労働省の課長通知第3・問6に、この点が明確に示されています。
ただし、必ず市町村全体で判断しなければならないわけではありません。地域の実情によっては、市では町内会程度の区域、町村では集落程度の区域を単位として取り扱っても差し支えないとされています。
つまり、基本的な考え方は、
「原則=福祉事務所の所管区域または市町村全体」
「例外=地域差が大きい場合などは、町内会・集落など、より狭い生活圏」
という整理です。
例えば、同じ市内でも、中心市街地と山間部とで、自動車の保有状況や生活用品の普及状況、交通事情などが大きく異なる場合があります。このようなときに市全体の平均だけで判断すると、その地区の実態に合わないことがあります。そのため、実際の生活圏や地域特性に合わせて、より狭い区域を「当該地域」として設定することも認められているわけです。
この「当該地域」という考え方は、たとえば生活用品の保有について「地域の一般世帯との均衡を失しないか」を判断する場面で使われます。課長通知では、当該地域の全世帯における普及率を基準として判断する考え方も示されています。
したがって、簡単にまとめると、
「当該地域」は、通常は福祉事務所の所管区域または市町村単位で判断する。ただし、その区域内でも生活実態が大きく異なる場合などは、市の町内会や町村の集落といった、より実態に即した区域を単位として判断してよい。
という取扱いです。
なお、ここでの「当該地域」は、今までご質問されていた土地・家屋の保有判断における地域事情とは少し文脈が異なり、今回の通知上の明文は、局長通知第3の4の(4)のイにある「当該地域の一般世帯との均衡」の判断について示されたものです。
(A2)「当該地域の一般世帯との均衡を失することにならない」とは、その物品が、その地域の一般家庭にどの程度普及しているか(普及率)を基準に判断するという意味です。厚生労働省の課長通知第3・問6で、具体的な数値基準が示されています。
具体的には、原則として、当該地域の全世帯の約70%程度に普及している物品であれば、「一般世帯との均衡を失することにならない」と判断する基準になります。さらに、その物品を必要とする事情が同じ世帯だけを取り出して比較する場合には、約90%程度の普及率が基準とされています。
たとえば、ある地域で冷蔵庫を持っている世帯が全世帯の95%だったとすれば、70%程度という基準を十分に上回っていますので、通常は「一般世帯との均衡を失する物品」とは考えにくいことになります。
一方、ある物品が地域全体では40%程度しか普及していないのであれば、原則的な70%程度という基準には達していません。そのため、生活保護上その物品の保有を認めるかについては、より慎重な判断が必要になります。
ここで重要なのが、「利用の必要性において同様の状態にある世帯」については90%程度を見るという部分です。
例えば、ある生活用品について、一般家庭すべてではそれほど普及していなくても、
「乳幼児のいる世帯」
「高齢者世帯」
「障害者のいる世帯」
など、その物品を必要とする事情が同じ世帯に限定すると非常に高い割合で利用されていることがあります。このような場合には、単純に地域全体の普及率だけを見るのではなく、同じような必要性を持つ世帯の中での普及状況を見ることができます。その際の目安が約90%です。
また、前のご質問との関係では、「当該地域」自体も全国一律ではありません。通常は福祉事務所の所管区域または市町村の行政区域を単位としますが、地域の実情によっては、市の町内会や町村の集落など、より狭い区域を単位にして構わないとされています。
したがって、整理すると、
一般世帯との均衡を失わないかの判断
= その物品の地域における普及率で判断
その具体的な目安は、
① 当該地域の全世帯 → 約70%程度の普及率
② 同じ必要性を持つ世帯に限定 → 約90%程度の普及率
となります。
つまり、生活保護受給者だけに特別に贅沢な物品を認めるのではなく、「その地域の普通の家庭でも一般的に持っているものか」を客観的な普及率によって判断するための基準と理解すると分かりやすいです。
なお、この70%・90%基準は、局長通知第3の4の(4)のイにいう生活用品等の保有判断についての基準です。土地・家屋の面積や不動産価値について、そのまま70%・90%を適用するという意味ではありません。
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