(Q)次のいずれかに該当する場合で、通勤の手段が自動車以外に全くなく、または通勤がきわめて困難であり、かつその自動車の保有が社会的に適当と認められるとき、次官通知第3の5にいう「社会通念上処分させることを適当としないもの」として、通勤用自動車の保有を認めてよいのでしょうか?
(A)はい。一定の要件をすべて満たす場合には、通勤用自動車の保有を認めることができます。
厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第3・問9では、次の4つのケースが示されています。
- 障害者が自動車で通勤する場合
- 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住んでいる人等が、自動車で通勤する場合
- 公共交通機関の利用が著しく困難な地域にある勤務先へ、自動車で通勤する場合
- 深夜勤務等のため、自動車で通勤する必要がある場合
そして、これらの場合に、自動車以外の通勤方法が全くない、または自動車以外では通勤がきわめて困難で、かつ自動車保有が社会的に適当と認められるときは、次官通知第3の5の「社会通念上処分させることを適当としないもの」として、通勤用自動車を保有してよいとされています。
ただし、上記のうち ②公共交通機関が著しく困難な地域に住んでいる場合、③勤務先がそのような地域にある場合、④深夜勤務等の場合については、さらに次の4条件をすべて満たす必要があります。
- 自動車通勤がやむを得ず、その仕事が世帯の自立に役立っていること
世帯の状況から見て自動車通勤が必要であり、仕事を続けることが収入確保や生活保護からの自立につながっていることが必要です。 - 地域の低所得世帯との均衡を失わないこと
地域の自動車普及率などを考慮して、「生活保護世帯だけに特別に高い生活水準を認める」ことにならないかを確認します。 - 自動車の処分価値が小さく、通勤に必要な範囲の車であること
高額な高級車などではなく、生活・通勤のために必要な程度の自動車であることが求められます。 - 仕事による収入が自動車の維持費を大きく上回ること
ガソリン代、保険料、車検費用、税金、修理費などを考えても、自動車を使って働くことに経済的な意味があることが必要です。
例えば、鉄道もバスもほとんどない地域に住んでいて、勤務先まで車で30分かかり、自動車がなければ現実的に通勤できない人がいるとします。その人が毎月安定した給与を得ており、所有車も中古の一般的な軽自動車で、給与が車の維持費を十分上回るのであれば、自動車を処分させるよりも、その車を使って就労を継続させた方が世帯の自立につながると判断され、保有が認められる可能性があります。
逆に、公共交通機関で無理なく通勤できる、車が非常に高額である、あるいは給与より自動車維持費の負担が大きい、といった場合には、保有要件を満たさない可能性があります。
なお、「公共交通機関がない」ことだけが絶対条件ではありません。 通知は「自動車による以外に通勤する方法が全くない」だけでなく、「通勤することがきわめて困難」な場合も対象としています。したがって、形式上バスが1日に数本走っていても、勤務開始・終了時間と合わず現実的に利用できないなどの事情も、個別に検討することになります。
要するに、生活保護では自動車保有は原則として資産活用の観点から制限されますが、自動車が就労継続に不可欠で、その仕事が自立に役立ち、車も必要最小限のもので、維持費より就労収入が十分多いなどの条件を満たせば、通勤用自動車として例外的に保有を認めることができる、という取扱いです。
⇓