(Q)保護の開始申請時において、失業や傷病により現在は就労を中断しているが、将来的に就労を再開する際には通勤に自動車を利用することが見込まれる場合でも、現時点で保有している通勤用自動車は処分しなければならないのでしょうか?

(A)いいえ。一定の条件を満たす場合には、保護開始申請時に現在就労していなくても、将来の通勤に使う自動車について直ちに処分を求めない取扱いが認められています。

厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第3・問9の2が、まさにご質問のケースを定めています。

具体的には、失業や傷病によって一時的に就労を中断していても、

① おおむね6か月以内に就労によって生活保護から脱却することが確実に見込まれること
② 保有している自動車の処分価値が小さいこと

を満たす場合には、その自動車は「現在は活用されていないが、近い将来に活用されることがほぼ確実で、処分するより保有した方が生活維持に実効がある資産」として、処分指導を行わなくても差し支えないとされています。

例えば、会社を退職して現在求職中だが、半年以内に再就職できる見込みが具体的にあり、その地域では通勤に自動車が不可欠で、所有車も中古の軽自動車で処分価値が小さい、といった場合です。このようなケースなら、「現在働いていないから車をすぐ売りなさい」と一律に扱う必要はありません。

さらに、6か月を経過してもまだ保護から脱却していない場合でも、例外があります。本人に就労を妨げる事情がなく、自立支援プログラムや自立活動確認書により具体的に就労による自立に向けた活動を行っている場合には、福祉事務所の判断により、保護開始からおおむね1年の範囲内まで処分指導を保留することができます。

ただし、重要な注意点が2つあります。

第一に、自動車の維持費を捻出することが困難な場合は、この特例の対象になりません。 車検代、自動車税、任意保険料などをどう負担するのかも確認されます。

第二に、「保有を認めること」と「自由に使用してよいこと」は別です。 この制度はあくまで「処分指導を一時的に保留する」ものなので、求職期間中の自動車使用まで当然に認めるものではありません。福祉事務所は原則として、自動車を使用できない旨を本人に説明・指導することとされています。

ただし、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住している人については、求職活動に必要な場合に限り、自動車を使用して差し支えないという例外もあります。

そして、保留期間が終了しても自立に至らなかった場合は、通常、速やかに処分指導を行うことになります。ただし、その時点ですでに就職していて、通勤用自動車の通常の保有要件を満たしている場合には、通勤用自動車として引き続き保有できる可能性があります。

要するに、今回の質問は、

「現在無職だから必ず車を処分しなければならない」のではなく、近い将来の就労・生活保護からの脱却が具体的かつ確実に見込まれ、車の処分価値も小さい場合には、おおむね6か月、一定の場合は最長おおむね1年まで、処分指導を保留できる」

というのが正確な答えです。

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