(Q1)局長通知第5の1の(1)のイの(イ)にいう「特別の事情」とは、どのような場合を指しますか?(Q2)民法第877条第2項における「特別の事情」とは、どのような趣旨ですか?また、どのような場合に該当しますか?

(A1)局長通知第5の1の(1)のイの(イ)にいう**「特別の事情」とは、簡単にいうと、配偶者・親子・兄弟姉妹のような通常の扶養義務者ではないその他の3親等内の親族についても、実際の親族関係からみて扶養を求めることが相当と考えられる特別な関係がある場合**を指します。

厚生労働省の課長通知では、少なくとも次のような場合が「特別の事情」に当たるとされています。

  • 過去にその親族が、要保護者やその世帯員から扶養を受けたことがある場合
  • 遺産相続などで、その親族が要保護者やその世帯員から利益を受けたことがある場合
  • その親族間の慣行や地域の慣行から、その親族が要保護者を扶養することが期待される立場にある場合

例えば、叔父が以前、生活に困った際に申請者から長期間生活費の援助を受けていた場合、その叔父に十分な扶養能力があるなら、現在は逆に申請者を扶養することが期待できる関係として「特別の事情」が認められる可能性があります。

また、申請者の財産を相続するなどして大きな利益を受けた三親等内の親族についても、その事情と現在の扶養能力を踏まえて対象になることがあります。

ただし、この3つに該当すれば機械的に扶養義務者として扱うわけではありません。 厚労省は、当事者間の実際の関係、親族間・地域における扶養慣行などを踏まえて、福祉事務所が個別に判断するよう求めています。原則として、まず当事者間の話し合いなどによる解決を図ることも示されています。

さらに、局長通知第5の1の(1)のイの(イ)は、

「特別の事情があること」+「その親族に扶養能力があると推測されること」

の両方が必要です。つまり、過去に援助を受けていた親族であっても、現在その親族自身が生活保護を受けているなど、明らかに扶養能力がないのであれば、実際に扶養を期待することはできません。

したがって一言でまとめると、「特別の事情」とは、その他の3親等内の親族について、過去の扶養関係、相続による利益、親族・地域の慣行などからみて、通常より強い生活共同体的な関係があり、その人に扶養を求めることが相当と考えられる事情です。

(A2)民法第877条第2項の「特別の事情」とは、兄弟姉妹や直系血族以外の三親等内の親族についても、実際の生活関係などからみて扶養させるのが相当だと認められる事情をいいます。

民法877条1項では、直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養義務を負うとされています。一方、同条2項では、家庭裁判所が「特別の事情」があると認めた場合に、それ以外の三親等内の親族にも扶養義務を負わせることができる仕組みになっています。

この「特別の事情」の趣旨について、厚生労働省の生活保護実施要領は、三親等内の親族の間に「生活共同体的関係」が実際に存在する場合には、その実態に対応した扶養関係を認めようとするものと説明しています。

例えば、叔父・叔母、甥・姪などは、三親等内の親族ではあっても、それだけで当然に扶養義務を負うわけではありません。しかし、次のような事情がある場合には「特別の事情」が認められる可能性があります。

  • 過去にその親族が本人から扶養を受けていた場合
  • 遺産相続などで、その親族が本人から大きな利益を受けていた場合
  • 長期間同居して生活費を共通にするなど、実質的に一つの生活共同体として暮らしてきた場合
  • 親族間や地域の慣行から、その親族が本人を扶養することが自然に期待される関係にある場合

生活保護の実施要領でも、少なくとも、①過去に申請者等から扶養を受けた者、②遺産相続等で申請者等から利益を受けた者、③親族間・地域の慣行から扶養が期待される立場にある者については、「特別の事情」があると認めることが適当とされています。

ただし、重要なのは、「三親等内の親族だから扶養義務を課せる」という制度ではないことです。

例えば、「叔父だから」「甥だから」という血縁関係だけでは足りません。過去の扶養関係、同居歴、経済的な結び付き、相続関係、親族間の慣行などを個別具体的に確認して、通常の親族関係を超えるような生活共同体的・経済的な結び付きがあるかを判断します。厚労省も、機械的に判断せず、当事者間の関係や地域・親族の扶養慣行などを踏まえるよう求めています。

また、民法877条2項の場合、最終的に扶養義務を負わせるのは家庭裁判所の審判です。福祉事務所が独自に「あなたは叔父だから扶養義務があります」と法律上の扶養義務を新たに成立させるわけではありません。

したがって、簡単にまとめると、民法877条2項の「特別の事情」とは、叔父・叔母、甥・姪などの三親等内の親族について、単なる血縁関係だけでなく、過去の扶養、相続による利益、同居・生活共同、親族間の慣行などからみて、扶養を求めるのが相当といえる特別な関係があることを意味します。生活保護の局長通知第5でいう「特別の事情」も、基本的にこの民法877条2項と同じ趣旨で考えることとされています。

記事のお問い合わせ先 生活保護専門 神戸市の義足行政書士事務所