(Q1)Bさんが死亡し、Bさん名義の不動産(建物)は古く、市街地からも離れており、処分価値がほとんどないと考えられます。このような不動産の相続において、どのような問題点が考えられますか?(Q2)相続人であるAさん、Cさんの間で協議が難航しています。Aさんは今後も本件居宅で生活することを望んでいますが、CさんはAさんの単独所有には同意できないとしています。このような場合、どのような解決策が考えられますか?

(A1)このような不動産を相続する場合は、「価値がほとんどないから問題にならない」とは限りません。 むしろ、売れない不動産ほど管理や税金の負担が残ることがあります。

主な問題点は、次のとおりです。

  • 固定資産税などの負担が発生する可能性があること
    売却できなくても、所有者になれば固定資産税の納税義務が生じる場合があります。
  • 建物の管理責任が生じること
    老朽化した建物なら、倒壊、屋根材の飛散、草木の繁茂などについて近隣から苦情が出たり、修繕・解体を求められたりする可能性があります。法務省資料でも、市場性のない空き家等について、税負担や修繕・解体等の管理負担が問題になることが指摘されています。
  • 相続登記が必要になること
    相続によって所有権を取得した場合、現在は相続登記が義務化されています。放置しておけばよい、というわけではありません。
  • 売却できない可能性があること
    市街地から離れている、建物が老朽化している、接道条件が悪いなどの事情があると、買い手がつかないことがあります。

生活保護との関係でも重要です。生活保護では、利用できる土地・家屋等は原則として活用する必要があります。 しかし厚生労働省の実施要領では、「処分することができない、または著しく困難な資産」や「売却代金より売却費用の方が高い資産」については、必ずしも処分を求めない取扱いが示されています。

例えば、Bさんの建物をAさんが相続したものの、

「査定してもほぼ値段がつかない」
「解体費だけで200万円かかる」
「土地建物を売ろうとしても買い手がいない」

という状態なら、単に「不動産を相続したのだから資産がある」として直ちに生活保護を停止するのではなく、実際の処分価値や処分可能性を調査する必要があります。 厚労省も、不動産については見込処分価値、処分可能性、世帯事情などを総合的に検討するよう示しています。

また、相続放棄を検討する場合には、プラスの財産だけでなく借金なども含めて相続全体を放棄することになるため、不動産だけを選んで放棄できるわけではない点にも注意が必要です。

要するに、処分価値がほとんどない不動産を相続すると、「売れないのに固定資産税や管理・解体費がかかる」という問題が生じやすいです。生活保護上は、相続したという事実だけでなく、実際に換金できる資産なのかを確認して判断することが重要です。

(A2)この場合は、Aさんが住み続けたいという希望と、Cさんの相続権の両方をどう調整するかがポイントになります。

まず考えやすいのは、**Aさんが不動産を単独で取得し、Cさんには代わりに金銭を支払う「代償分割」**です。たとえばAさんとCさんの相続分が2分の1ずつで、不動産の評価額が300万円なら、Aさんが建物・土地を取得し、Cさんに150万円相当を支払う、という形です。裁判所も、1人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う方法を遺産分割の代表的な方法として示しています。

ただし、Aさんに代償金を支払う資力がない場合は、この方法が難しくなります。その場合には、AさんとCさんの共有名義にしたうえで、Aさんが居住を続けるという方法もあります。ただ、共有にすると、将来、修繕・売却・固定資産税負担などで再び意見が対立したり、Cさんから共有物分割を求められたりする可能性があります。裁判所も、共有分割は将来の管理・処分をめぐって問題が生じる可能性があると注意を示しています。

別の方法として、不動産は共有またはCさんの持分を残しつつ、Aさんに居住を認める合意をすることも考えられます。たとえば「Aさんが一定期間無償で住む」「固定資産税や修繕費はAさんが負担する」などを合意書にしておく方法です。ただし、所有権そのものを解決する方法ではないため、将来の相続なども見据えて慎重に設計する必要があります。

どうしても話合いがまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停を利用できます。調停では、不動産の評価額や各相続人の取得額を確認したうえで、現物分割、代償分割、換価分割などを検討します。調停でも合意できなければ、原則として審判に移行し、家庭裁判所が分割方法を決定します。

最終的には、**不動産を売却して代金を分ける「換価分割」**もあります。ただしAさんは現在の居宅に住み続けたいとのことなので、この方法は最後の選択肢になりやすいでしょう。

生活保護との関係では、Aさんが受給中または申請予定であれば、「Aさんが単独取得する」「Cさんの持分を買い取る」「代償金を支払う」などを福祉事務所に相談せず進めないことが重要です。不動産の取得や金銭の授受は資産認定に影響する可能性があります。

要するに、今回のケースでは、①Aさん単独所有+Cさんへ代償金、②共有のままAさんが居住、③共有持分を残して居住権的な合意をする、④家庭裁判所で遺産分割調停、⑤最終的に売却して分配という順で検討すると分かりやすいです。Aさんが住み続けることを最優先するなら、まずは代償分割が可能か、難しければ共有のままAさんの居住を保障する合意ができないかを検討するのが現実的です。

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