(Q1)Aさんの最低生活費と給与収入について福岡市在住のAさんは、週5日のパート勤務をしていますが、給与収入(月額7万円)では最低生活費(11万1000円)を賄うことができないため、生活保護を利用しています。この状況について、どのような課題が考えられますか?(A2)通勤用自動車の保有と維持費用についてAさんは通勤用自動車の保有が認められていますが、以下の自動車維持費用(①ガソリン代、②自動車税もしくは軽自動車税、③自動車の修理費用、④車検費用、自賠責保険(強制加入)の保険料、任意保険の保険料、⑤運転免許証の更新費用、⑥自動車の買替え費用)をどのようにして捻出すればよいのでしょうか?
(A1)このケースで一番大事なのは、**「Aさんが働いているのに生活保護を受けていること自体は、制度上まったくおかしくない」**という点です。
生活保護は、働いているかどうかだけで決まる制度ではありません。厚生労働省は、最低生活費と世帯の収入を比較し、収入が最低生活費に満たない場合、その不足分を保護費として支給する仕組みとしています。
今回の数字を単純に見ると、最低生活費が11万1,000円、給与収入が7万円ですから、
11万1,000円-7万円=4万1,000円
の不足があります。ただし、実際の生活保護費は単純に4万1,000円になるとは限りません。給与収入については、通勤費などの必要経費や勤労に伴う基礎控除などを差し引いて「収入認定額」を計算するためです。つまり、7万円全額がそのまま最低生活費から差し引かれるわけではありません。
このケースで考えられる主な課題は、**「週5日働いているにもかかわらず、月収が7万円にとどまっている理由」**です。たとえば、1日の勤務時間が非常に短い、時給が低い、病気や障害、育児・介護などで長時間働けない、といった事情が考えられます。
福祉事務所としては、単純に「もっと働きなさい」と判断するのではなく、Aさんの年齢、健康状態、職歴、資格、勤務時間、家庭事情などを確認します。そのうえで、現在より勤務時間を増やせるのか、より収入の高い仕事への転職が現実的なのかなど、就労能力をどこまで活用できるかを検討することになります。生活保護の決定時にも、就労可能性について調査することが厚生労働省から示されています。
たとえば、Aさんが健康で特別な家庭事情もなく、「週5日勤務」とはいっても1日2~3時間程度しか働いていないのであれば、ケースワーカーから勤務時間を増やすことや、より条件のよい仕事を探すことについて助言・就労支援を受ける可能性があります。
一方で、病気のため1日数時間しか勤務できない、子育てや介護のため勤務時間を増やせないなどの合理的な事情がある場合には、現在のパート勤務を続けながら不足分を生活保護で補うことも十分あり得ます。
したがって、このケースは、
「週5日働いて月7万円しか稼げないから生活保護を受けていることが問題なのか?」
というより、
「Aさんの能力や生活状況からみて、現在の働き方が妥当なのか、それとも収入を増やせる余地があるのか」
を確認する問題だと考えると分かりやすいです。
結論として、月収7万円が最低生活費11万1,000円に満たなければ、働きながら生活保護を受けること自体に問題はありません。 ただし、福祉事務所はAさんの就労能力や勤務状況を確認し、働く時間を増やせるなど自立に向けた現実的な余地があれば、就労支援や助言を行うことになります。
(A2)はい。この場合の重要なポイントは、通勤用として保有を認められた自動車の維持費は、原則として「自動車維持費という生活保護費が別途支給される」のではなく、必要最小限の額を給与などの勤労収入から「必要経費として控除する」ことで対応するという点です。
厚生労働省の最新の実施要領の取扱いでも、保有が認められた通勤用・事業用自動車について、燃料費、修理費、車検費用、自賠責・一定の任意保険料、税金、免許更新費用などを、必要最小限度の額について勤労・事業収入から控除して差し支えないと明記されています。
具体的にどうなるのか
Aさんが給与を得ている場合、福祉事務所は給与全額をそのまま収入認定するわけではありません。通勤用自動車の維持に必要な費用を必要経費として差し引き、さらに所定の勤労控除などを適用して、最終的な収入認定額を決めます。
ご質問の6項目を整理すると、次のようになります。
| 費用 | 基本的な取扱い |
|---|---|
| ① ガソリン代 | ○ 必要経費として控除可能 |
| ② 自動車税・軽自動車税 | ○ 控除可能。ただし障害者等の減免制度が使える場合は、まずその活用を検討 |
| ③ 修理費 | ○ 必要最小限度なら控除可能 |
| ④ 車検・自賠責保険 | ○ 控除可能 |
| ④ 任意保険 | ○ 対人・対物賠償に係る保険料に限って控除可能 |
| ⑤ 運転免許証の更新費 | ○ 控除可能 |
| ⑥ 車の買替え費用 | △ 上記の維持費と同じ扱いで当然に控除できるものではない |
①~⑤については、厚生労働省がかなり明確に認めています。
「必要経費として控除」とは?
ここは誤解しやすいところです。
たとえばAさんの給与が月7万円だったとして、通勤のために必要なガソリン代などが仮に月1万円だったとします。
単純化すると、
給与7万円 − 必要経費1万円 = 6万円
というように、生活保護上の収入を計算するときに経費を差し引きます。
つまり、福祉事務所から「ガソリン代1万円」が別に現金給付されるという仕組みではありません。収入認定額を少なくすることによって、その経費をAさんの手元に残すという仕組みです。
さらに実際の収入認定では、このほかに勤労収入に対する基礎控除なども適用されるため、「給与7万円-車の経費」だけで最終的な収入認定額が決まるわけではありません。
車検や修理のような高額費用は?
ここも重要です。
車検、修理、自動車税、保険料などは毎月発生する費用ではありません。しかし、厚生労働省はこれらについても明確に必要経費として控除できる費用に挙げています。したがって、実際に費用が発生するときには、見積書・請求書・領収書などを福祉事務所へ提出し、必要最小限の費用であることを確認してもらうことが重要です。
特に修理については、「通勤のため安全に使用するのに必要な修理」なのか、「単なるグレードアップや装飾」なのかで扱いが違います。認められるのはあくまで必要最小限度です。
⑥ 自動車の買替え費用は別問題
ここは①~⑤と分けて考える必要があります。
厚労省が通勤用自動車について必要経費として明示しているのは、燃料費、修理費、車検、自賠責、一定の任意保険料、重量税・自動車税・軽自動車税、免許更新費などです。「自動車そのものの買替え費用」は、この維持費の列挙には入っていません。
したがって、
「通勤用の車が故障したので、新しい車を100万円で購入する。その100万円を生活保護費から出してもらう」
という扱いが当然に認められるわけではありません。
買替えが必要になった場合には、現在の車が本当に使用不能なのか、修理では対応できないのか、買替え後も通勤用自動車の保有要件を満たすか、購入資金をどのように確保するのかなどについて、事前に福祉事務所と個別に検討する必要があります。
そして、Aさんのケースではもう一つ重要です
通勤用自動車の保有が認められる要件の一つとして、厚労省は、
「当該勤務に伴う収入が自動車の維持費を大きく上回ること」
を挙げています。
つまり、「車の維持に毎月非常に大きな費用がかかり、働いて得る給与の大部分が車の維持費で消えてしまう」という状態では、そもそも通勤用自動車の保有要件との関係で問題になります。
前の例のようにAさんが月7万円の給与収入を得ているのであれば、福祉事務所としては「年間のガソリン代・税金・保険・車検・修理費等を考慮しても、働くことによる収入が車の維持費を十分に上回っているか」を確認することになります。
結論としては、①ガソリン代、②自動車税・軽自動車税、③必要な修理費、④車検・自賠責・対人対物の任意保険、⑤免許更新費については、必要最小限度の額を給与等から「必要経費として控除」することで捻出できる仕組みがあります。一方、⑥車そのものの買替え費用は同じ扱いで当然に認められるものではなく、別途、購入資金や保有要件について福祉事務所との個別検討が必要です。
実務上は、車検や高額修理をしてから相談するのではなく、見積書を取った段階でケースワーカーに「通勤用自動車の必要経費として収入認定上控除できるか」を事前確認するのが安全です。
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