(Q)繰り越しを行う場合、あらかじめ労使間で合意を得る必要がありますか?

(A)はい。福祉・介護職員等処遇改善加算について、加算額の一部を翌年度に繰り越す場合は、あらかじめ労使間で合意を得るよう努める必要があります。

ただし、必ず事前に合意書を取り交わさなければならない、という意味ではありません。

分かりやすく説明します。

① 結論

令和6年度の処遇改善加算に関する厚生労働省のQ&A(問1-11)では、次のように示されています。

繰り越しを行うことについて、予め労使の合意を得るよう努めること。

つまり、次のような取扱いです。

項目取扱い
事前に職員へ説明すること行うことが望ましい
労使間で合意を得ること合意を得るよう努める
合意書の作成Q&Aでは一律に義務付けられていない
事業所が一方的に決定すること避けるべき
賃金の不利益変更を伴う場合別途、労働法令に基づく適切な対応が必要

② 具体例

例えば、就労継続支援A型事業所で、令和6年度の処遇改善加算を次のように受け取った場合です。

項目金額
令和6年度の処遇改善加算額600万円
令和6年度に職員へ配分する額500万円
令和7年度に繰り越す額100万円

※令和6年度から令和7年度への繰越しが認められた制度上の取扱いを例にしています。

この場合、事業所は100万円を繰り越すことについて、あらかじめ職員側へ説明し、合意を得るよう努めます。

例えば、「100万円は翌年度の基本給の引上げに使用する予定です」と説明し、職員の理解を得る方法が考えられます。

③ 労使間で合意を得るための方法

実務上は、次のような対応が考えられます。

  1. 職員への説明会を開催する
    繰越額、理由、翌年度の支給予定を説明します。
  2. 職員代表と協議する
    繰越しの目的や賃金改善方法について意見を聞きます。
  3. 説明内容を記録する
    議事録や説明資料を保存します。
  4. 必要に応じて合意書を作成する
    後日のトラブルを防ぐため、合意内容を書面に残します。

なお、これらは実務上の対応例であり、すべての方法を実施することが一律に義務付けられているわけではありません。

④ 注意点

特に重要なのは、繰越しについての合意と、賃金を引き下げることについての合意は別の問題だということです。

例えば、既に支給している処遇改善手当を減額して翌年度へ回す場合、労働条件の不利益変更に該当する可能性があります。

その場合は、単に繰越しを説明するだけでは足りず、労働契約法などに基づく適切な手続が必要になります。

また、令和6年度から令和7年度への繰越しは、当時の特例的な取扱いです。令和8年度以降も同じように翌年度へ繰り越せるとは限りません。 対象年度の通知を確認する必要があります。

⑤ まとめ

処遇改善加算の繰越しを行う場合は、事前に労使間で合意を得るよう努めることが求められています。

ただし、Q&Aでは、合意書の作成まで一律に義務付けているわけではありません。

事業所としては、繰越額・理由・翌年度の支給方法を職員へ説明し、合意形成の経過を記録しておくことが望ましいです。

参考資料: 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第3版)」問1-11

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