(Q)基本給は改善している一方で、賞与を引き下げたことにより、あらかじめ設定した賃金改善実施期間中に福祉・介護職員の賃金が引き下げられた場合、どのように取り扱われますか。また、その際に提出が必要な資料は何ですか。
(A)1.結論
基本給を引き上げていても、賞与を引き下げた結果、福祉・介護職員の賃金総額が減少した場合には、原則として「賃金水準の引下げ」として取り扱われます。
ただし、賞与を減額した理由や賃金改善の実施状況によって、取扱いが異なります。
特に、福祉・介護職員等処遇改善加算では、加算による賃金改善とは別に、従来の賃金水準を維持することが原則です。
2.具体例で説明します
例えば、ある福祉事業所で、職員の給与を次のように変更したとします。
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 基本給(月額) | 20万円 | 22万円 |
| 基本給(年間) | 240万円 | 264万円 |
| 賞与(年間) | 60万円 | 20万円 |
| 年間賃金総額 | 300万円 | 284万円 |
この場合、
- 基本給は年間24万円増加
- 賞与は年間40万円減少
- 年間賃金総額は16万円減少
となります。
つまり、基本給を増額していても、年間の賃金総額が減少しているため、賃金水準を引き下げたことになります。
3.賃金水準を引き下げる場合の取扱い
福祉・介護職員等処遇改善加算では、事業の継続を図るために、やむを得ず賃金水準を引き下げる場合について、特別な取扱いが設けられています。
例えば、事業所の経営状況が悪化し、従来の賃金水準を維持することが困難になった場合です。
この場合には、所定の手続を行う必要があります。
提出が必要な資料
**「特別な事情に係る届出書」**を提出する必要があります。
この届出書には、主に次の内容を記載します。
① 賃金水準を引き下げる理由
事業所の経営悪化など、賃金を引き下げなければならない具体的な理由を記載します。
② 事業所の経営状況
サービス利用者の減少や収支の悪化など、賃金水準の引下げが必要となった経営上の事情を説明します。
③ 賃金水準の引下げ内容
基本給、賞与、各種手当などについて、どの部分を、どの程度引き下げるのかを記載します。
④ 賃金水準を改善する見込み
経営状況が改善した場合、どのように賃金水準を回復させる予定なのかを記載します。
⑤ 労使間の合意内容
賃金水準の引下げについて、労使間で十分に協議し、合意に至った経緯などを記載します。
なお、提出先の指定権者によっては、経営状況を確認する資料などの提出を求められる場合があります。
4.注意点
特に注意していただきたいのは、次の3点です。
① 基本給を増額すればよいわけではありません。
基本給だけでなく、賞与や手当などを含めた賃金水準を確認する必要があります。
② 賞与を減額した場合でも、必ず届出が必要になるわけではありません。
賞与の減額理由、賃金総額の変化、加算による賃金改善額などを確認し、賃金水準の引下げに該当するか判断します。
③ 特別な事情に係る届出書を提出すれば、自由に賃金を引き下げられるわけではありません。
経営悪化などの特別な事情が必要であり、単に利益を増やす目的で賞与を減額することは認められません。
また、届出とは別に、労働契約法や就業規則などに基づく適切な手続も必要です。
5.まとめ
今回の質問に対する回答は、次のとおりです。
基本給を引き上げていても、賞与を減額した結果、あらかじめ設定した賃金改善実施期間中の賃金水準が引き下げられた場合には、原則として賃金水準の引下げとして取り扱います。
経営悪化などの特別な事情によって賃金水準を引き下げる場合には、**「特別な事情に係る届出書」**を指定権者に提出する必要があります。
ただし、賞与の減額が直ちにこの届出の対象になるとは限らず、賃金改善の実施状況や減額理由を踏まえて判断します。
補足:確認したいこと
今回の質問は、令和6年度の福祉・介護職員等処遇改善加算についてでしょうか。
その場合、令和6年度の厚生労働省の通知・Q&Aに沿って、賞与を減額した場合に特別な事情に係る届出書が必要となる条件を、さらに詳しく説明できます。
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