(Q)事業の悪化などを理由に、賃金水準を引き下げることは可能ですか?
(A)事業の経営状況が悪化した場合、一定の条件を満たせば、職員の賃金水準を引き下げることは可能です。
ただし、経営が悪化したという理由だけで、事業者が一方的に賃金を引き下げることは、原則として認められません。
また、福祉・介護職員等処遇改善加算を算定している事業所では、特別なルールがあります。
① 賃金を引き下げることが認められる場合
例えば、次のような状況です。
- 利用者が減少し、事業所の収入が大幅に減った。
- 物価や人件費の上昇によって経営が悪化した。
- 事業所の赤字が続き、現在の賃金水準を維持することが困難になった。
このような場合には、賃金の引下げを検討することができます。
ただし、労働契約法などに基づき、職員との合意や就業規則の変更に関する要件を満たす必要があります。
② 処遇改善加算を受けている場合の注意点
福祉・介護職員等処遇改善加算では、原則として、加算を取得することによって職員の賃金改善を行う必要があります。
しかし、事業の継続を図るため、やむを得ず賃金水準を引き下げる必要がある場合には、特別事情届出書を提出することで、例外的な取扱いが認められる場合があります。
その際には、主に次の事項を説明する必要があります。
- 事業所の経営が悪化している状況
- 賃金水準を引き下げなければならない理由
- 賃金水準の引下げの内容
- 経営状況の改善計画
- 職員や労働組合等との協議状況
なお、単に利益が減少したというだけで、必ず認められるわけではありません。
③ 具体例
ある障害福祉サービス事業所では、職員の基本給を月額25万円としていました。
しかし、利用者の減少によって経営状況が悪化し、現在の賃金水準を維持することが難しくなりました。
そこで、職員の基本給を月額23万円に引き下げることを検討しました。
この場合、事業所は次の対応が必要になります。
- 賃金引下げの必要性を具体的に説明する。
- 職員と十分に協議し、労働関係法令を遵守する。
- 処遇改善加算の要件に関係する場合は、特別事情届出書の提出を検討する。
これらの手続きを行っても、賃金引下げが当然に認められるわけではありません。
④ 特に注意すること
特別事情届出書を提出すれば、自由に賃金を引き下げられるということではありません。
処遇改善加算上の要件と、労働契約法上の賃金引下げの適法性は別の問題です。
また、賃金を引き下げる場合でも、最低賃金法を守る必要があります。
【まとめ】
事業の経営状況が悪化した場合には、一定の条件のもとで職員の賃金水準を引き下げることができます。
ただし、福祉・介護職員等処遇改善加算を算定している事業所では、事業継続のためにやむを得ない事情がある場合、特別事情届出書の提出などが必要になることがあります。
つまり、経営が悪化したからといって、事業者の判断だけで自由に賃金を引き下げることはできないということです。
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