(Q)社会福祉法人において繰越を行う場合、会計上、繰越金はどのように取り扱えばよいですか。

(A)① 結論

社会福祉法人が福祉・介護職員等処遇改善加算の賃金改善額を翌年度に繰り越す場合、会計上は、繰越金を適切に区分して管理する必要があります。

特に重要なのは、処遇改善加算の繰越金を、法人が自由に使える利益として扱わないことです。

② 繰越金の会計上の取扱い

社会福祉法人では、原則として社会福祉法人会計基準に従って会計処理を行います。

処遇改善加算について、翌年度に賃金改善を実施することが認められる場合には、次の点に注意します。

項目取扱い
処遇改善加算の収入加算を算定した年度の収益として適切に計上する
翌年度に支給する賃金改善額支給義務の確定状況に応じて会計処理する
未払費用・未払金当年度に支払義務が確定している場合などに計上を検討する
繰越金の管理処遇改善に使用する金額を明確に管理する
翌年度の支給実際に賃金改善を行い、実績を確認する

注意:繰り越す金額を、必ず未払金として計上するわけではありません。

未払金などの負債として計上できるかどうかは、決算日時点で職員に対する支払義務が確定しているかによって判断します。

③ 具体例

例えば、社会福祉法人が運営する障害者グループホームで、次のような状況だったとします。

  • 処遇改善加算の収入:年間600万円
  • 当年度に実施した賃金改善:550万円
  • 翌年度に支給予定の金額:50万円

この場合、50万円について翌年度への繰越しが制度上認められるかを、まず確認する必要があります。

仮に繰越しが認められる場合でも、50万円を自動的に未払金として処理するのではありません。

決算日時点で支給義務が確定しているかどうかなどに基づき、適切な会計処理を行います。

④ 繰越金を管理する際の注意点

① 処遇改善加算の収入と支出を明確にする

加算収入額、賃金改善額、翌年度支給予定額を把握できる資料を作成します。

② 翌年度への繰越しが認められるか確認する

処遇改善加算は、原則として加算額以上の賃金改善を行う制度です。

そのため、会計上繰り越せることと、加算制度上繰越しが認められることは別問題です。

③ 未払金の計上を適切に判断する

職員への支給が確定していない金額を、単に処遇改善用として残しているという理由だけで未払金に計上することは適切ではありません。

④ 実績報告書との整合性を確認する

会計帳簿上の金額と、処遇改善加算の実績報告書に記載する賃金改善額に矛盾がないようにします。

⑤ まとめ

社会福祉法人が処遇改善加算を翌年度に繰り越す場合には、次のように考えます。

  • 加算収入: 原則として算定年度の収益に計上する。
  • 翌年度支給予定額: 支払義務の確定状況に応じて会計処理する。
  • 繰越金: 処遇改善に充てる金額を明確に管理する。
  • 実績報告: 加算制度上の要件を満たしているか確認する。

最も重要なのは、処遇改善加算の繰越しについて、会計上の処理と制度上の取扱いを区別することです。

なお、令和6年度の旧3加算・交付金から新加算への移行に伴う繰越しには、特別な取扱いが設けられていたため、通常の年度繰越しとは分けて確認する必要があります。

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