(Q)Aさんが年金請求書を提出せず、年金受給権を不行使とした場合、生活保護法上どのような問題が生じますか?

(A)年金を請求せずに放置していると、生活保護は原則として受けられない、または減額・停止される可能性があります。
理由は、生活保護には「他の制度を優先して利用する義務」があるためです。


生活保護法上の基本ルール(重要)

生活保護法には次の原則があります:

① 補足性の原理(生活保護法第4条)

利用できる収入や制度はすべて先に利用することが条件

これには次が含まれます:

  • 年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)
  • 給与
  • 手当
  • 資産
  • 扶養
    など

つまり、
👉 受け取れる年金があるのに請求しない状態は認められない
という扱いになります。


具体的に起きる問題

① 生活保護の申請が却下される可能性

年金を請求すれば生活費になるのに請求していない場合:

福祉事務所は
「まず年金請求をしてください」
と指導します。

請求を拒否すると:

  • 保護申請が却下される可能性
  • または保護決定が保留

になります。


② すでに受給中の場合 → 保護停止・減額の可能性

生活保護受給中に年金を請求しない場合:

福祉事務所は

  • 年金請求を指導
  • 命令(指示書)を出すこともある

それでも従わない場合:

生活保護法第27条(指導指示)違反

結果:

  • 保護の停止
  • 保護の廃止

になる可能性があります。


③ 福祉事務所が本人の代わりに請求させる場合もある

生活保護では:

  • 年金請求を条件として保護決定
  • 委任状を提出させて請求

という実務が一般的です。


④ 遡及年金が出た場合は生活保護に充当される

例えば:

5年分の遡及年金 = 300万円

→ 生活保護で支給済み部分は返還または調整

(生活保護法第63条)


わかりやすい例

例:
Aさん
65歳
年金月6万円受給可能
生活保護基準月12万円

しかし年金請求していない

この場合:

正しい状態
年金6万円+生活保護6万円

請求しない場合
→ 「請求してください」と指導
→ 拒否すれば保護停止の可能性


重要なポイント

年金は:

「受給権があるだけ」では収入扱いされないが、
「請求可能なのに請求しない」のは問題になる

つまり:

  • 権利があるだけ → OK
  • 請求を故意にしない → NG

例外的に認められるケース

一時的に請求していないことが認められる場合:

  • 手続中
  • 必要書類待ち
  • 判断能力が低下
  • 成年後見申立中

など


実務での福祉事務所の典型対応

生活保護申請時:

✔ 年金加入記録確認
✔ 年金事務所へ照会
✔ 請求指導
✔ 「年金請求を条件に保護開始」


まとめ(試験・実務向け要約)

Aさんが年金請求書を提出せず受給権を行使しない場合:

年金は生活保護に優先する収入として扱われる

生活保護法の補足性原理に反する

福祉事務所は年金請求を指導する

従わない場合は保護の開始拒否・停止・廃止の可能性がある

義足行政書士事務所のホームページ