(Q1)待機期間中に世帯の収入充当額が最低生活費を超過することが予想される場合、生活保護の取扱いはどうなりますか?(Q2)公費負担で入院している者について、出身世帯員と同一世帯として認定することが自立助長を著しく阻害すると認められる場合、どのような取扱いになりますか?
(A1)わかりやすく言うと、
「待機期間中(生活保護申請から保護開始決定までの期間)に入る予定の収入を計算した結果、その収入だけで最低生活費を上回る見込みであれば、原則として生活保護は開始されません。」
という意味です。
具体例
例① 保護開始にならないケース
- 単身世帯
- 最低生活費:月12万円
- 申請時の手持金:ほぼなし
- 1週間後に年金15万円が入る予定
この場合、
「待機期間中の収入充当額(15万円)が最低生活費(12万円)を超える」
ため、当面の生活が可能と判断され、生活保護は開始されない可能性があります。
例② 保護開始になるケース
- 最低生活費:月12万円
- 待機期間中に入る年金:8万円
この場合、
8万円 < 12万円
となり、最低生活費に不足する4万円分について保護が必要と判断される可能性があります。
実務上の考え方
福祉事務所は、
- 給与
- 年金
- 各種手当
- 保険金
- 仕送り
- その他確実に入る収入
を確認し、
「保護開始時点で最低生活を維持できるか」
を判断します。
そのため、
「今お金がないから必ず保護になる」
とは限らず、
近いうちに確実な収入があり、その収入で最低生活費を賄える場合は保護開始が見送られることがあります。
行政書士実務でのポイント
相談者から
「今はお金がありません」
と言われても、
- 給与の支給予定日
- 年金の振込予定日
- 失業給付の受給予定
- 退職金の支給予定
- 生命保険の解約返戻金
- 親族からの援助予定
などを必ず確認する必要があります。
これらの収入が最低生活費を超える見込みであれば、福祉事務所は「保護の要件を満たさない」と判断することがあります。
ただし、収入が入るまでの間に食費や住居費がなく、現実に生活できない場合は、保護開始や一時的な援助が検討されることもあります。 そのため、個別事情によって取扱いは異なります。
(A2)この質問は、生活保護の「世帯認定」の取扱いに関するものです。
わかりやすく言うと
病院に長期間入院していて、その入院費などが公費で負担されている人について、
本来なら「親や子などの家族と同じ世帯」として扱うところ、
家族と同じ世帯として扱うことで、その人の自立や生活再建に支障が出る場合は、例外的に別世帯として認定できるという意味です。
具体例
例えば、
- 精神科病院に長期入院している人
- 退院後に単身生活を目指している人
- 家族との関係が悪化していて同居予定がない人
- DVや虐待などで家族と生活できない人
このような場合に、いつまでも親の世帯員として扱うと、
- 生活保護の申請がしにくい
- 退院後の住宅確保が進まない
- 自立した生活設計が立てられない
という問題が生じます。
そこで福祉事務所は、
「自立助長を著しく阻害する」と判断した場合には、出身世帯と別の世帯として取り扱うことができる
とされています。
結論
「公費負担で入院している者について、出身世帯員と同一世帯として認定することが自立助長を著しく阻害すると認められる場合」
とは、
家族と同じ世帯として扱うことが本人の自立の妨げになる場合には、例外的に家族と切り離して単独世帯(別世帯)として認定することができる。
という意味です。
これは特に、
- 精神科長期入院者
- 障害者施設入所者
- 退院・退所後の地域移行支援を受ける人
などの生活保護実務でよく問題となる取扱いです。行政書士として生活保護申請を支援する際には、「退院後の居住先が決まっているか」「家族との同居予定がないか」を整理して福祉事務所に説明すると、別世帯認定の判断資料になります。
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