(Q1)生活保護の申請要否を判断する際、相談者からどのようなポイントを聴き取る必要がありますか?(Q2)生活保護制度がカバーする範囲にはどのような分野(例:子育て、教育、就労、医療、介護など)が含まれますか?
(A1)生活保護の申請要否を判断する際は、**「今の生活がどの程度困窮しているか」「収入・資産で最低生活を維持できるか」「他に利用できる制度があるか」「本人に申請意思があるか」**を中心に聴き取ります。厚生労働省の面接相談の手引きでも、現在の生活状況、収入、病状、就労状況、資産・負債、家族・親族関係などを確認するよう示されています。
具体的には、まず現在の生活状況です。所持金はいくらあるか、食事が取れているか、家賃を滞納していないか、電気・ガス・水道が止まっていないか、住む場所があるかなどを確認します。特に、今日・明日の生活にも困るような急迫状態でないかは重要です。
次に、収入と資産を確認します。給与、年金、失業給付、各種手当、仕送りなどの収入があるか、預貯金、現金、生命保険、不動産、自動車などの資産があるかを聞き取ります。申請後は通帳や給与明細などの資料で確認することがあります。
また、就労状況や健康状態も重要です。現在働いているか、退職した理由、今後働ける見込みがあるか、病気や障害によって就労や日常生活に支障があるか、通院・入院が必要かなどを確認します。
さらに、住居の状況について、持ち家か賃貸か、家賃額、滞納の有無、退去を求められているか、知人宅やネットカフェ等に一時的に住んでいるのか、といった点も確認します。
負債の状況も聴き取ります。カードローン、消費者金融、家賃滞納、税金や公共料金の滞納などがあるかを確認します。ただし、借金があるから生活保護を申請できないという意味ではありません。
家族・親族関係についても、同居人、配偶者、親、子などの状況や、実際に援助を受けているかを確認します。ただし、「親族に相談してからでないと申請できない」とすることは適切ではありません。厚労省も、扶養義務者の状況を聞くこと自体は可能ですが、扶養を申請の前提条件のように扱って申請を断念させてはならないとしています。
そして、他に利用できる制度がないかも確認します。たとえば、年金、雇用保険、傷病手当金、障害年金、児童手当、住居確保給付金、生活福祉資金などです。ただし、他制度の利用を案内することと、生活保護の申請を受け付けないことは別問題です。
最後に非常に重要なのが、本人の申請意思の確認です。厚労省通知では、生活保護に明らかに該当しない場合などを除き、原則として申請意思を確認すべきとされています。また、仮に福祉事務所が「該当しない可能性が高い」と考えていても、本人が申請意思を表明した場合には申請書を交付する必要があります。
つまり、面接相談では、**「所持金・食事・住居など今の困窮度」「収入・資産」「仕事・健康」「家賃や借金」「家族・親族」「利用できる他制度」「申請意思」**を総合的に確認します。
特に大切なのは、面接相談は『申請させないための審査』ではなく、困窮状況を把握し、必要なら速やかに申請につなげるための相談だという点です。資料が不足していても、それだけを理由に申請を受け付けない取扱いは適切ではありません。
(A2)生活保護制度がカバーする範囲はかなり広く、日常生活だけでなく、住まい、教育、医療、介護、出産、就労、自立支援など、生活全般に関わる分野が含まれます。
主なものは、次の8つの扶助です。
- 生活扶助
食費、衣類、光熱水費、日用品費など、日常生活に必要な費用です。子どもがいる世帯では、条件に応じて児童養育加算や母子加算などが付く場合があります。 - 住宅扶助
家賃、間代、地代などの住居費です。必要な転居が認められた場合には、敷金・礼金・仲介手数料などが認定されることもあります。 - 教育扶助
小・中学校の義務教育に必要な学用品費、教材費、給食費などを支援します。 - 医療扶助
病院や診療所での診察、治療、薬、入院などに必要な医療費を支援します。原則として本人の窓口負担はありません。 - 介護扶助
要介護・要支援の人が介護サービスを利用する際の費用を支援します。 - 出産扶助
出産に必要な分娩費用や入院費用などについて、一定の基準内で支援します。 - 生業扶助
就職や自立のために必要な技能習得費、就職支度費などを支援します。また、高校等への就学に必要な費用も「高等学校等就学費」として生業扶助から支給されます。 - 葬祭扶助
葬祭を行う必要がある場合に、火葬、埋葬など最低限必要な費用を支援します。
つまり、ご質問にある子育て・教育・就労・医療・介護はいずれも生活保護制度の支援範囲に関係します。
たとえば、子育て中の世帯であれば「生活扶助+児童養育加算+教育扶助」、病気がある人なら「生活扶助+住宅扶助+医療扶助」、高齢で介護が必要な人なら「生活扶助+住宅扶助+介護扶助」というように、世帯の状況に応じて必要な扶助を組み合わせて最低生活を保障する仕組みです。
また、生活保護は単に保護費を支給するだけではありません。ケースワーカーが、就労支援、障害福祉サービス、介護保険、年金、子育て支援、住居確保などの他制度ともつなぎながら、自立や生活の安定を支援します。
簡単にまとめると、生活保護制度は「食べる・住む」だけでなく、子育て、学校、仕事、病気、介護、出産、葬祭まで、生活上必要となる幅広い分野を支える最後のセーフティネットと考えると分かりやすいです。
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