(Q5)生活保護の申請後、相談者が保護開始を望まない場合、どのような対応が認められていますか?(Q6)迅速な申請受付を心がけるべき理由は何ですか?

(A5)生活保護の申請をした後に、相談者本人が**「やはり生活保護を受けたくない」と明確に希望する場合**には、本人の意思を確認したうえで、申請の取下げとして扱うことが考えられます。

ただし、生活保護法24条では、申請があった場合、福祉事務所は原則として保護の要否を調査し、開始するか却下するかを決定して、申請者に書面で通知することになっています。つまり、申請後は単なる「相談」の段階ではなく、正式な行政手続が始まっています。

そのため、本人が保護開始を望まない場合には、まず本当に本人の自由な意思によるものかを確認することが重要です。例えば、「親族に迷惑がかかると思った」「福祉事務所から無理だと言われた」「扶養照会が怖い」といった理由で申請を諦めようとしている場合には、制度について正しく説明し、申請権を侵害するような働きかけになっていないか注意する必要があります。厚労省も、申請意思を尊重し、申請を諦めさせるような対応を避けるよう求めています。

例えば、申請者が調査途中で就職し、十分な収入を得られるようになり、「もう生活保護は必要ありません」と自ら申し出た場合には、本人の意思を確認したうえで申請取下げの手続きを行うことが考えられます。

一方で、本人が急迫した状況にある場合は別です。 生活保護法25条では、要保護者が急迫した状況にあるときは、申請の有無にかかわらず、福祉事務所は職権で速やかに保護を開始しなければならないとされています。

したがって、本人が「保護は要りません」と言っていても、例えば食べる物がなく生命に危険がある、重い病気で直ちに医療が必要なのに受診できない、住居がなく生命・身体に重大な危険がある、といった急迫状態であれば、単純に申請取下げとして終わらせるのではなく、職権保護を含めた対応を検討する必要があります。

要するに、

「申請後に本人が保護開始を望まなくなった場合は、本人の真意を確認し、自発的な意思であれば申請取下げとして取り扱うことができる。ただし、申請を断念させるような行政側の働きかけがあってはならず、急迫状態にある場合には本人の取下げ希望だけで終わらせず、職権保護を検討する」

というのが基本的な考え方です。

(A6)迅速な申請受付を心がけるべき理由は、生活保護の相談者は、すでに食費・住居・医療などに困っている可能性が高く、受付が遅れることで生活や生命に重大な影響が出るおそれがあるためです。

特に、所持金がほとんどない、食べる物がない、家を失いそう、医療が必要なのに受診できない、といった場合は、申請受付の遅れ自体が深刻な不利益につながります。そのため、福祉事務所は、必要以上に書類提出を求めたり、他制度の利用や親族への相談を先に済ませるよう求めたりして、申請を先延ばしにすべきではありません。

また、生活保護法24条では、申請があった場合、実施機関は必要な調査を行い、原則として申請日から14日以内に保護の要否を決定することとされています。特別な理由がある場合でも、原則30日以内です。ですから、申請を正式に受け付けることが、保護決定までの法定手続を開始する重要な起点になります。

さらに、相談段階で「対象にならないかもしれない」と思われる場合でも、本人に申請意思があるなら、原則として申請を受け付けて、その後の調査で要否を判断するのが基本です。相談窓口で事実上申請を止めてしまうと、申請権の侵害につながるおそれがあります。

要するに、迅速な申請受付が必要なのは、**「困っている人の最低生活を早く確保するため」「法定の保護決定手続を速やかに開始するため」「申請権を適切に保障するため」**です。

特に生活保護では、**「まず申請を受け付け、その後に必要な調査を行って保護の要否を判断する」**という順序が大切だと考えると分かりやすいです。

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