(Q3)相談者世帯全員について、どのような情報(資産、収入、生活困窮に至った経緯、親族関係など)を網羅的に聴取する必要がありますか?(Q4)生活保護開始の要件(生活保護法4条1項)を満たしているかどうかは、どのように確認しますか?
(A3)生活保護の相談では、相談者本人だけでなく、原則として同じ世帯で生活している人全員について、生活状況を総合的に把握するための情報を聴き取る必要があります。
主に確認するのは、次のような内容です。
- 世帯構成・身分関係
氏名、年齢、続柄、同居・別居の状況、婚姻・離婚、子どもの有無など。 - 現在の生活状況
所持金、食事が取れているか、電気・ガス・水道が止まっていないか、家賃滞納、住居喪失のおそれなど。 - 収入
給与、年金、失業給付、各種手当、仕送り、事業収入、臨時収入など。 - 資産
現金、預貯金、生命保険、不動産、自動車、有価証券、貴金属など。 - 負債
消費者金融、カードローン、家賃滞納、税金・公共料金の滞納など。 - 生活困窮に至った経緯
失業、病気、離婚、家族関係の悪化、収入減少、住居喪失など、現在の状態になった理由。 - 職歴・就労状況
現在働いているか、過去の職歴、退職理由、就労可能性、資格・技能など。 - 健康状態・病歴
病気、障害、通院・入院、服薬状況、就労や日常生活への影響など。 - 居住状況・居住歴
持ち家か賃貸か、家賃額、現在の契約状況、退去予定、これまでの住所など。 - 親族関係
親、子、兄弟姉妹などの状況、交流の有無、実際に援助を受けているかどうか。 - 他法他施策の利用状況
年金、雇用保険、傷病手当金、児童手当、障害福祉、介護保険など、他に利用できる制度があるか。 - 緊急性
今日の食事がない、住む場所がない、医療が必要、DV等で安全確保が必要など、直ちに保護が必要な状態か。
大切なのは、これらを単に「申請を認める・認めないため」に聞くのではなく、なぜ生活に困っているのか、どの扶助や支援が必要なのかを判断するために確認するということです。
また、親族についても、単に「親族がいるから援助してもらってください」とするのではなく、実際に援助が可能か、関係が断絶していないか、DV・虐待など照会が不適切な事情がないかも確認する必要があります。
例えば、相談者が「仕事を辞めてお金がありません」と話した場合でも、それだけでなく、
「退職理由は何か」
「失業給付は受けられるか」
「預貯金はいくらあるか」
「家賃は滞納しているか」
「病気や障害はないか」
「同居家族に収入はあるか」
などを世帯全体について確認します。
つまり、わかりやすくまとめると、**「世帯全員の収入・資産・負債・仕事・健康・住居・家族関係・困窮に至った経緯・利用できる制度・緊急性を総合的に聴き取り、その世帯に必要な保護と支援を判断する」**ということです。
(A4)生活保護法4条1項の要件を満たしているかどうかは、**「その世帯が、使える資産や能力などを活用しても、なお最低生活を維持できない状態か」**を確認して判断します。生活保護は世帯単位で行われ、最終的には世帯の認定収入と最低生活費を比較します。
主に確認するのは、次の点です。
- 資産を活用できるか
預貯金、現金、土地・家屋、自動車、保険、有価証券などを確認します。ただし、持ち家や自動車などは一定の条件で保有が認められる場合があり、「資産がある=直ちに保護不可」ではありません。 - 働く能力を活用しているか
年齢、健康状態、資格、職歴などから働ける状態か、働ける場合には能力に応じて就労しているか・求職活動をしているかを確認します。単に「働いていない」という事実だけで判断するのではありません。 - 年金・手当など他の制度を利用できるか
年金、雇用保険、傷病手当金、児童手当など、利用可能な他制度があれば活用を検討します。福祉事務所は必要に応じて他制度の窓口につなぐことも求められています。 - 実際の収入はいくらか
給与、年金、手当、仕送りなどを確認し、生活保護上の「認定収入」を計算します。 - 世帯の最低生活費はいくらか
年齢、世帯人数、地域、家賃、健康状態、各種加算などを踏まえて、生活扶助・住宅扶助等の最低生活費を計算します。
そして、最終的には、
最低生活費 > 認定収入
となり、不足が生じていれば、その不足分について生活保護が適用されます。たとえば最低生活費が月13万円、認定収入が月8万円なら、単純化すると5万円が不足額となります。
なお、生活保護法4条2項では、扶養義務者による扶養や他法による扶助は生活保護に優先するとされていますが、親族から援助を受けられないこと自体が申請の絶対条件という意味ではありません。 また、急迫した事情がある場合には、4条1項・2項の通常の取扱いにかかわらず必要な保護を行える仕組みがあります。
要するに、「資産・働く能力・他制度・収入など、現実に利用できるものを確認したうえで、それでも世帯の最低生活費に足りないか」を福祉事務所が調査し、足りなければ生活保護を開始するという流れです。
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