④(Q)生活保護世帯の中学生ですが、高校に進学したいのですが問題ありませんか?
(A)昔は、生活保護を受けている家庭の子どもは中学を出たら働くのが普通で、高校進学は認められていませんでした。
しかし、1970年に一般家庭の高校進学率が8割を超えたことをきっかけに、生活保護世帯の子どもも高校へ進学できるようになりました。
それ以前は「世帯分離」といって、家族と同居していても子どもだけ生活保護の対象から外さないと高校に通えませんでした。そのため、生活費はバイト代や奨学金でまかなう必要がありました。
今では、世帯分離をしなくても高校に通えるようになり、2005年度からは高校の学費も生活保護で支給されるようになりました。
⑤(Q)生活保護世帯の高校生ですが、大学に進学できますか?
(A)残念ながら今の制度では、生活保護を利用したまま大学や専門学校に進学することは認められていません。世帯分離をして、本人だけ生活保護から外れれば、大学生活を送れます。ただし、夜間大学、通信大学への進学は認められています。今、一般世帯の大学進学率は73.4%(2020年度)、浪人生も入れると83.8%ですが、生活保護世帯の大学進学率は37.3%に過ぎません。世帯分離を辞めて、せめて生活費は取り上げないようにすればもっと進学率は上がるでしょう。現実問題として、学歴で生涯賃金は大きく変わります。高卒だと男性で2億6000万円、女性で1億9000万円。大学を出れば男性で3億9000万円、女性で2億4000万円(独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2021」より)。大学に行くということは、それだけ貧困から脱する・貧困の連鎖を止められることなんです。それなのに、今は世帯分離をしないといけないので、生活保護世帯の大学生は学費と生活費のためのバイトで大変です。2018年、入学一時金(自宅10万円、下宿30万円)が出るようになりましたが、それでも全然足りないと思います。ちなみに病気などで大学生がどうしても生活保護を利用したいという場合、利用するには退学か休学をしなければなりません。大学進学は贅沢、という発想なのだと思いますが、学ぼうと意欲のある若者の足を引っ張るような冷たい制度だと思います。