(Q)前年度から、事業所の福祉・介護職員等に異動や入れ替わりがあった場合、どのように考えればよいでしょうか。
(A)はい。この質問は、福祉・介護職員等処遇改善加算において、前年度から職員の異動・退職・新規採用などがあった場合、賃金改善額をどのように考えるのかという内容です。
① 結論
前年度と今年度で職員が入れ替わっていても、処遇改善加算を算定することは可能です。
また、前年度と今年度で、必ず同じ職員について賃金を比較しなければならないわけではありません。
重要なのは、事業所全体として、処遇改善加算による賃金改善が適切に行われているかという点です。
② 職員が退職した場合
例えば、前年度に勤務していたAさんが退職し、今年度は勤務していない場合です。
この場合、退職したAさんについて、今年度も賃金改善を行う必要はありません。
今年度在籍している職員を対象として、賃金改善を実施することになります。
ただし、退職者への未払い賃金や、退職前の勤務に対応する処遇改善分がある場合は、就業規則や賃金規程等に従って適切に取り扱う必要があります。
③ 新しい職員を採用した場合
例えば、前年度には勤務していなかったBさんを、今年度から採用した場合です。
新規採用したBさんも、処遇改善の対象に含めることができます。
前年度に在籍していなかったことを理由に、処遇改善の対象から除外する必要はありません。
ただし、賃金改善額の計算では、新規採用者の給与全額を、そのまま処遇改善額として計上できるわけではありません。
処遇改善加算がなかった場合の賃金水準などを踏まえて、実際に改善した部分を適切に算定する必要があります。
④ 法人内で職員が異動した場合
例えば、同じ法人が運営する次の2事業所があるとします。
- A事業所:就労継続支援A型
- B事業所:生活介護
前年度はA事業所で勤務していた職員が、今年度からB事業所へ異動した場合です。
この場合も、異動したことだけを理由に処遇改善の対象から外れるわけではありません。
ただし、事業所ごとに計画書を作成しているのか、法人で一括して計画書を作成しているのかによって、賃金改善額の管理方法が異なります。
特に、同じ賃金改善額を複数の事業所で重複して計上しないよう注意が必要です。
⑤ 職員数が増減した場合
例えば、次のようなケースです。
| 項目 | 前年度 | 今年度 |
|---|---|---|
| 職員数 | 5人 | 7人 |
| 給与総額 | 1,500万円 | 2,100万円 |
この場合、今年度の給与総額が600万円増えています。
しかし、給与総額が600万円増えたからといって、その600万円すべてを処遇改善額とすることはできません。
なぜなら、職員が2人増えたことによる給与の増加も含まれているためです。
処遇改善額を算定する際には、職員数の増減や勤務時間の変化などを考慮し、加算によって実際に改善した賃金額を把握する必要があります。
⑥ 処遇改善加算の区分への影響
職員の異動や入れ替わりは、加算区分の算定要件にも影響する場合があります。
例えば、加算Ⅰを算定している事業所で、福祉専門職員配置等加算の算定に必要な資格保有者が退職した場合です。
その結果、配置基準を満たさなくなれば、キャリアパス要件Ⅴに影響する可能性があります。
また、キャリアパス要件Ⅳに関係する経験・技能のある職員が退職した場合にも、年収要件の充足状況を再確認する必要があります。
したがって、賃金改善額の計算だけでなく、現在の加算区分の要件を引き続き満たしているか確認することが大切です。
⑦ まとめ
前年度から職員の異動や入れ替わりがあった場合は、次のように考えます。
| 職員の状況 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 退職した職員 | 今年度の在籍職員として扱わない |
| 新規採用した職員 | 処遇改善の対象に含めることができる |
| 他事業所へ異動した職員 | 異動先での勤務状況などに応じて管理する |
| 職員数が増えた場合 | 増員による給与増加と賃金改善額を区別する |
| 職員数が減った場合 | 現在の職員構成に応じて賃金改善を計画する |
| 資格保有者が退職した場合 | 加算区分の配置等要件を再確認する |
結論として、職員が入れ替わっても処遇改善加算は算定できますが、職員構成の変化を踏まえて賃金改善額を適切に計算し、加算区分の要件を継続して満たしているか確認する必要があります。
特に重要なのは、「職員の入れ替わりによる給与総額の増減」と「処遇改善加算による賃金改善」を区別することです。
⇓