(Q)農業または農業以外の事業(自営業)を営む世帯で、その事業に専ら従事する人が世帯内に2人以上いるなど、控除対象者本人の収入を明確に把握できない場合、各種勤労控除の適用は認められないのでしょうか。

(A)はい。この質問は、生活保護を受けている世帯で、家族2人以上が農業や自営業に従事しており、それぞれの収入を明確に区別できない場合、勤労控除を適用できるのかという質問です。

① 結論

本人ごとの収入を明確に把握できない場合でも、それだけを理由に勤労控除を認めないという取扱いにはなりません。

農業や自営業では、家族が共同で仕事をしているため、個人ごとの収入を正確に区別できないことがあります。

このような場合には、世帯全体の事業収入や、それぞれの人の従事状況などを確認し、合理的な方法で各人の収入を推定して、勤労控除の適用を判断することになります。

② 具体例

生活保護を受けているAさんの世帯では、夫婦2人で農業を営んでいます。

農業による収入は、次のとおりです。

項目金額
農業の売上月150,000円
肥料代・種苗代などの必要経費月50,000円
必要経費を差し引いた収入月100,000円
農業に従事する人夫と妻の2人

この場合、農業による収入は月10万円ですが、夫と妻それぞれがいくら稼いだのかは明確ではありません。

そこで、例えば夫婦の労働時間や仕事内容などを確認し、それぞれの収入を合理的に推定します。

仮に、夫婦の従事状況がほぼ同じで、収入を均等に配分することが妥当と判断されれば、次のように考えられます。

  • 夫の勤労収入:月50,000円
  • 妻の勤労収入:月50,000円

そのうえで、それぞれについて勤労控除の適用を検討します。

ただし、必ず人数で均等に分けるという意味ではありません。

実際の従事状況に応じて判断する必要があります。

③ どのような点を確認しますか?

福祉事務所では、主に次の事項を確認することが重要です。

  1. 事業に従事している人数
    夫婦2人なのか、親子3人なのかなど。
  2. それぞれの従事状況
    労働時間、作業日数、仕事内容など。
  3. 世帯全体の事業収入
    売上から必要経費を差し引いた収入がいくらあるか。
  4. 各人の収入の推定方法
    従事状況などを踏まえ、合理的に配分できるか。
  5. 適用する勤労控除の種類
    基礎控除、新規就労控除、未成年者控除など、それぞれの要件を満たしているか。

④ 注意点

特に重要なのは、世帯の事業収入を、そのまま1人の収入として扱う必要はないということです。

例えば、夫婦が共同で農業を営んでいるにもかかわらず、農業収入の全額を夫だけの収入とすると、妻の勤労実態が適切に反映されない可能性があります。

そのため、実際の労働状況を確認し、合理的な方法で収入を配分することが重要です。

また、事業に専ら従事している人と、時々手伝っているだけの人では、取扱いが異なる場合があります。

⑤ まとめ

今回の質問を簡単にまとめると、次のとおりです。

農業や自営業を営む生活保護世帯で、2人以上が事業に専ら従事しており、個人ごとの収入を明確に把握できない場合でも、勤労控除を適用することは可能です。

この場合、世帯全体の事業収入と各人の従事状況などを確認し、合理的に各人の収入を推定したうえで、勤労控除を適用することになります。

つまり、「個人ごとの収入が分からないから勤労控除はできない」のではなく、「実際の従事状況を踏まえて合理的に判断する」ということです。

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