(Q)夫が亡くなり、1年後に私Dと3人の息子(A・B・C)で遺産分割の話し合いをしましたが、意見がまとまらなかったため、私は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。
その調停の初回期日に、Aは「自分の相続分を母に譲る」と申し出て、Bは「自分の相続分を放棄する」と届け出ました。
このような状況になった場合、今後の遺産分割調停はどのように進むのでしょうか?
(A)① Aの「自分の相続分を母に譲る」という発言について
これは法律上は 「相続分の譲渡(相続分の放棄ではなく、相続分を他人へ譲る行為)」 に当たります。
相続分の譲渡は、
- 書面による合意
- または調停調書・審判書の形で記録される
ことで初めて法的効力が発生します。
➡ 調停の中でその旨が確認されれば、Aの相続分はDに移ります。
➡ 結果として、遺産分割協議は D・C と(譲渡された分を含む)D の2人で行うような構造になります。
② Bの「自分の相続分を放棄する」という届け出について
ここで注意点があります。
❌ 調停で「相続分を放棄します」と言っても、法律上の“相続放棄”にはなりません。
法律上の相続放棄(家庭裁判所への申述)は
被相続人の死亡を知ってから3か月以内
に行う必要があるため、今回の B の発言は「相続放棄」とは扱われません。
では意味は?
→ これは法律上は 「遺産分割で自分は何も取得しない(ゼロでよい)」という意思表明 にすぎません。
調停調書に「Bは遺産を取得しない」と明記されれば、そのとおりに扱われます。
③ 今後の調停はどのように進むか?
✔ 基本的には、相続人全員の意思を反映した形で
「遺産を誰がどれだけ取得するか」
を調停でまとめていきます。
ポイントは以下。
▼ 今後の調停の進行のイメージ
1. Aの「相続分譲渡」とBの「取得ゼロ」の意思が確認される
家庭裁判所は以下を調停調書に記載する方向で進めます:
- Aは自己の相続分をDに譲渡する
- Bは遺産を取得しない
- CとDを中心に遺産の分け方を決める
2. 遺産分割の当事者は実質的に D と C の2名になる
Aの相続分がDに移り、Bが取得ゼロという扱いになれば、
➡ 調停の実質当事者は
- D(Aの分も含む)
- C
の2名となります。
3. D と C の間で遺産の分け方を調整し、調停成立へ
家庭裁判所は、遺産内容・評価額に基づいて
- 誰がどの財産を取得するか
- 代償金(現金のやり取り)が必要か
などを調整し、合意を目指します。
✔ 最終的な結論
調停は次のように進みます:
D と C の間で遺産の具体的な分配方法を調整し、調停を成立させる流れとなる
Aの相続分はDに移る(調停で確認されれば法的効力が発生)
Bは遺産を取得しない(相続放棄ではないが、遺産分割上ゼロ取得)
そのため 遺産分割調停の実質的な当事者は D と C になる