(Q)私は夫と一緒に、夫の父と同居していましたが、夫は先に亡くなりました。その後も、亡き夫の願いを受け継いで約5年間、義父の介護を続けてきました。
最近、その義父も亡くなり、夫の兄弟姉妹の間で相続が始まりました。義父の妻(私は義母)はすでに10年前に亡くなっており、私と夫の間に子どもはいません。
ところが、夫の兄弟姉妹は私を家から出そうとしています。これまで続けてきた義父の介護について、私は何か金銭的に請求できないのでしょうか?
(A)■ 結論:金銭請求の可能性は“ある”
ご主人の兄弟姉妹から「家を出てほしい」と言われている状況でも、
これまで5年間、義父の介護を行ってきたことについて金銭を請求できる可能性はあります。
考えられる請求方法は主に次の3つです。
■ ① 寄与分(きよぶん)としての請求は「あなた自身はできない」
寄与分とは、被相続人(義父)の財産の維持・増加に特別の貢献をした相続人に、
「法定相続分より多く遺産を分ける制度」です。
ただし…
👉 寄与分を主張できるのは【相続人だけ】
あなたは相続人ではありません(夫はすでに亡くなっており、代襲相続も子がいないので不可能)。
そのため、
あなた自身が寄与分を主張して遺産を請求することはできません。
■ ② 特別寄与料(平成30年民法改正)を請求できる可能性が高い
あなたのケースに最も当てはまる制度がこちらです。
◆ 特別寄与料とは?
相続人ではない親族(長年介護してきた嫁、婿、兄弟姉妹など)が、
無償で被相続人の療養看護に尽くした場合、相続人に対して金銭を請求できる制度
です。
※2019年(平成31年)7月1日施行の新しい制度。
◆ あなたの状況は制度の典型例
- 相続人ではない「嫁」
- 約5年間、義父の介護を継続
- 実質的に無償で貢献
- 義父の亡後に相続開始している
したがって
あなたは相続人(夫の兄弟姉妹)に対し “特別寄与料” を請求することが可能です。
◆ 特別寄与料の金額は?
法律上、明確な基準はありませんが一般的には:
- 介護保険サービスを利用した場合の「相当額」を基準にする
- 1日○時間 × 5年間分
- 実費(交通費・買い物代)なども加算可
数十万円〜数百万円になる例も珍しくありません。
◆ 請求方法
- まずは相続人へ協議・請求
- まとまらない場合 → 家庭裁判所に「特別寄与料請求」を申し立て
※請求期限は「相続開始から 1年以内」。
(早めの準備が必要です)
■ ③ 家に住み続ける権利(使用貸借)が認められる可能性もある
義父の生前、あなたが義父の承諾を得て無償で住んでいた場合、
「使用貸借(しようたいしゃく)」という権利関係が成立していた可能性があります。
使用貸借は、貸主(義父)が亡くなってもすぐに終了せず、
一定期間は住み続けられると判断されるケースもあります。
ただし…
- 義父の兄弟姉妹が「遺産として家を売りたい」などの事情がある場合
→ 住み続けるのは難しくなる可能性もあります。
■ ④ あなたが今とるべき行動
1. 介護をしていた証拠を集める
- 介護日誌
- 通院の付き添い記録
- 病院の領収書
- 介護の写真・メモ
- 周囲の証言
これらは「特別寄与料」の算定に非常に重要です。
2. 相続人に対し、特別寄与料の協議を申し入れる
冷静かつ丁寧に、
「法律上認められている制度として請求します」
と伝えることが大切です。
3. 話し合いが難しければ家庭裁判所に申立て
相続トラブルでは珍しくありません。