(Q)被保護世帯出身の子どもが遠距離の会社や工場に住み込みで勤務する場合と、自宅から通勤する場合で、扶養義務者や世帯単位の取扱いに違いが生じることについて、特にその子が20歳未満で将来の結婚のために身の回り品を整える必要がある場合、両者の取扱いに不公平が生じるのではないでしょうか?
(A)この質問は、生活保護制度における**「世帯認定」と「扶養義務の考え方」**に関するものです。
結論からいうと、
住み込み就職をした子どもと、自宅から通勤する子どもでは取扱いが異なることがありますが、それは生活実態の違いによるものであり、一律に不公平として扱われているわけではありません。
わかりやすく説明します。
① 住み込みで遠方に就職した場合
例えば18歳の子どもが遠方の工場や会社の寮に入り、そこで生活する場合は、
- 食事や住居が勤務先で確保される
- 生計が親世帯と別になる
- 実際に独立した生活を送る
という理由から、
生活保護上は親世帯から分離された「別世帯」として扱われることがあります。
そのため、
- 子どもの給料は親世帯の収入認定にならない
- 子ども自身の生活費として使用できる
- 将来の結婚資金や身の回り品購入のための貯蓄も比較的認められやすい
という取扱いになります。
② 自宅から通勤する場合
一方で、
- 子どもが親と同居している
- 食費や光熱費を家族で共有している
場合は、
原則として同一世帯と認定されます。
この場合、
子どもの収入は世帯全体の収入として扱われ、
- 生活保護費が減額される
- 一定額を超えると世帯の保護廃止になることもある
という違いがあります。
③ 不公平ではないのか?
確かに、
「同じ18歳で働いているのに、住み込みなら給料を自由に使え、自宅通勤なら世帯収入として扱われるのは不公平ではないか」
という疑問はもっともです。
しかし生活保護制度は、
「実際に誰と誰が一緒に生活しているか(生計を共にしているか)」
を基準に判断します。
そのため、
- 住み込み=独立した生活
- 自宅通勤=家族と生計を共にする生活
として区別されています。
④ 20歳未満で将来の結婚準備が必要な場合
この点については、
生活保護制度でも一定の配慮があります。
例えば、
- 就職準備費
- 通勤用品
- 資格取得費用
- 結婚資金のための計画的な貯蓄
などについては、
厚生労働省の通知により一定額の貯蓄が認められる場合があります。
そのため、
自宅通勤の子どもであっても、
「将来の結婚準備のために必要な貯蓄である」
ことが明らかな場合は、直ちに全額を収入認定するのではなく、個別に福祉事務所が判断することになります。
実務上のポイント
行政書士として相談を受けた場合は、
- 子どもの年齢
- 就職先
- 寮の有無
- 仕送りの有無
- 将来の結婚予定
- 貯蓄目的
を整理し、
福祉事務所に対して
「世帯分離の可否」
「自立更生のための貯蓄として認められないか」
を確認することが重要です。
特に高校卒業後に就職した未成年者については、将来の自立促進の観点から柔軟な運用が行われることもあります。
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