(Q1)世帯分離した後、入院患者が出身世帯からの仕送りを受けなくなった場合、日用品費を支給してもよいのでしょうか?(Q2)世帯分離による単身入院患者に対して、出身世帯は最低生活以上の生活をしていることを前提に考えるべきでしょうか?(Q3)入院患者が仕送りを受けていない場合でも、出身世帯からの扶養の履行を求める指導は必要ですか?

(A1)はい、一定の場合には日用品費(入院患者日用品費)の支給対象となる可能性があります。

わかりやすく言うと

これまで入院患者が家族(出身世帯)からお金や日用品の援助(仕送り)を受けていたため、入院中の生活に必要な費用が賄えていた場合は、生活保護の「日用品費」は支給されません。

しかし、

  • 世帯分離が行われた
  • 出身世帯からの仕送りや援助がなくなった
  • 入院患者本人に日用品を購入するための収入や資産がない

という状況になれば、入院中に必要な石けん、歯ブラシ、ティッシュ、下着などの日用品を購入する費用として、日用品費の支給を検討することになります。

福祉事務所が確認するポイント

  1. 本当に仕送りが停止しているか
  2. 本人の年金や預貯金などの収入状況
  3. 病院で日用品がどこまで提供されているか
  4. 実際に日用品の購入費用が必要か

実務上の考え方

世帯分離後に出身世帯からの援助がなくなり、本人に日用品を購入する資力がないのであれば、日用品費の支給を認める方向で検討されることが一般的です。

ただし、自動的に支給されるわけではなく、福祉事務所が個別に事情を確認して判断します。

ケースワーカーへの説明例

「これまで出身世帯から日用品の提供や金銭援助を受けていましたが、世帯分離後は援助がなくなりました。本人には日用品を購入する収入がないため、入院患者日用品費の支給をご検討ください。」

行政書士として相談を受けた場合は、

  • 世帯分離日
  • 仕送り停止日
  • 本人の収入状況
  • 現在不足している日用品の内容

を整理した「日用品費支給申立書」を福祉事務所へ提出すると説明しやすくなります。

(A2)はい、その理解で概ね正しいです。

生活保護における「世帯分離による単身入院患者」の取扱いでは、入院患者が元々属していた世帯(出身世帯)が生活保護を受けていない場合、通常は出身世帯が最低生活以上の生活を維持できていることを前提として判断します。

わかりやすく言うと、

  • 家族全員で暮らしていた
  • そのうち1人が長期入院した
  • 入院した人だけを別世帯(世帯分離)として生活保護の対象にする

という場合、残された家族(出身世帯)が生活に困窮していれば、本来は世帯全体の保護を検討すべきことになります。

そのため、

「入院患者のみを保護する」という取扱いは、出身世帯が最低生活費を上回る生活を送ることができ、生活保護を必要としていないことが前提です。

例えば、

  • 妻が月15万円の年金収入で生活している
  • 夫が長期入院し、医療費や入院費の負担が困難

というケースでは、妻の生活は維持できるものの、夫個人の入院費負担が困難であれば、夫のみを世帯分離して保護することが検討されます。

逆に、

  • 出身世帯の収入も少なく生活が成り立たない

のであれば、入院患者だけでなく、世帯全体について保護の要否を検討することになります。

実務上は、福祉事務所が

  1. 世帯分離が妥当か
  2. 出身世帯の収入・資産状況
  3. 扶養能力の有無
  4. 世帯全体の最低生活費との比較

を確認したうえで判断します。

したがって、ご質問への回答としては、

「はい。世帯分離による単身入院患者として取り扱う場合、原則として出身世帯は最低生活以上の生活を維持できていることを前提として考えます。」

と説明できます。

(A3)はい、原則としては必要です。

生活保護では、入院患者の方が現在仕送り(扶養)を受けていない場合でも、福祉事務所はまず親族などの扶養義務者に対して扶養が可能かどうかを確認し、扶養を受けられる可能性がある場合には扶養の履行を求めることになります。

ただし、次のような場合は無理に扶養を求めることはありません。

  • 扶養義務者自身が高齢・病気・低所得で援助できない
  • 長年交流がなく事実上関係が途絶えている
  • 虐待やDVなど特別な事情がある
  • 扶養を求めることで本人の福祉を害するおそれがある

つまり、

**「現在仕送りを受けていない=扶養を求めなくてよい」ではなく、まず扶養の可能性を確認した上で、実際に援助が困難であれば生活保護で対応する」**という考え方です。

わかりやすい例

【例1】

  • 80歳の入院患者
  • 息子は年収700万円で定期的に連絡も取っている

→ 福祉事務所は息子に対して扶養できるか確認し、可能な範囲で援助を求めます。

【例2】

  • 85歳の入院患者
  • 娘も年金生活で生活に余裕がない

→ 扶養は困難と判断され、生活保護が優先されます。

【行政書士実務でのポイント】

生活保護申請時に「親族からの援助は受けていない」と説明するだけではなく、

  • なぜ援助を受けられないのか
  • 親族の生活状況
  • 疎遠になっている事情

などを整理して福祉事務所へ説明すると、審査がスムーズになることがあります。

なお、扶養義務は生活保護を受けるための絶対条件ではなく、生活保護法上は「補足的なもの」とされています。親族が援助できない場合でも、要件を満たせば生活保護を受給できます。

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