(Q1)世帯分離の結果、被保護者でなくなった者の収入のうち、最低生活費や教育費等を超える部分を、他の世帯員の収入として認定してもよいのでしょうか?(Q2)世帯分離によって保護を受けなくなった者の収入は、被保護世帯の収入として自動的に認定されることはありますか?
(A1)結論から言うと、原則として認定しません。
生活保護では、世帯分離によって保護の対象から外れた人(被保護者でなくなった人)は、別の生計単位として扱われます。
そのため、その人に収入があっても、
- その人自身の最低生活費
- 通学費や学用品費などの教育費
- 就労に必要な経費
などを差し引いた後にお金が余っていたとしても、その余剰分を自動的に他の被保護世帯員の収入として認定することはできません。
ただし、例外があります。
世帯分離された人が実際に、
- 毎月親に仕送りしている
- 家賃や光熱費を負担している
- 家計に現金を入れている
など、現実に被保護世帯の生活費を負担している場合は、その負担額について収入認定される可能性があります。
具体例
【例1:収入認定されない場合】
- 高校生の子を世帯分離
- アルバイト収入 8万円
- 通学費・教材費等 3万円
- 本人の必要経費等 4万円
- 残額 1万円
この1万円を本人が貯金しているだけなら、通常は親の世帯の収入認定はされません。
【例2:収入認定される場合】
- 世帯分離された子が毎月1万円を母親に渡している
この場合は、その1万円が母親世帯への仕送り・援助とみなされ、母親世帯の収入として認定されることがあります。
実務上のポイント
福祉事務所は単に「余ったお金がある」だけではなく、
「実際に被保護世帯の生活費に充てられているか」
を確認します。
したがって、
世帯分離の結果、被保護者でなくなった者の収入のうち、最低生活費や教育費等を超える部分を、他の世帯員の収入として認定してもよいのでしょうか。
という質問に対する回答は、
いいえ。最低生活費や教育費等を超える収入があるだけでは、直ちに他の世帯員の収入として認定することはできません。実際に被保護世帯へ金銭援助や生活費負担が行われている場合に限り、その範囲で収入認定の対象となります。
と説明するのがわかりやすいです。
(A2)結論から言うと、世帯分離によって生活保護を受けなくなった人の収入が、自動的に被保護世帯の収入として認定されるわけではありません。
ただし、次のような場合には被保護世帯の収入として認定される可能性があります。
収入認定されない例
- 世帯分離した子どもが就職し、自分の生活費を自分で管理している。
- 世帯分離した家族が別財布で生活しており、保護世帯へ金銭援助をしていない。
- 同じ家に住んでいても、生活実態が明確に分かれている。
この場合、世帯分離された人の給料や年金は、その人自身の収入であり、保護世帯の収入にはなりません。
収入認定される可能性がある例
- 世帯分離した家族が毎月生活費を渡している。
- 家賃や光熱費を代わりに支払っている。
- 食費や日用品代を継続的に負担している。
このような援助がある場合、その援助額が「仕送り」や「扶養料」として被保護世帯の収入認定の対象になることがあります。
実務上のポイント
福祉事務所は形式的な世帯分離だけでなく、
- 生計が本当に別か
- 財布が別か
- 食事や光熱費の負担はどうなっているか
- 金銭援助があるか
を確認します。
したがって、
「世帯分離したから収入認定されない」
でもなく、
「世帯分離したらその人の収入が自動的に収入認定される」
わけでもありません。
実際に被保護世帯へ経済的援助が行われているかどうかによって判断されます。
行政書士として福祉事務所に説明する場合は、
「世帯分離後は生計を完全に別にしており、被保護世帯への定期的な金銭援助は行われていません。」
という点を具体的に示すことが重要です。これは生活保護の「世帯単位の原則」と「実質的な生計の一体性」の考え方に基づく運用です。
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