(Q1)世帯分離の結果、被保護者でなくなった者の収入は、どのような場合に他の世帯の収入と合算して認定されますか?(Q2)扶養義務の履行等により現実に金銭の移転があった場合、その金額はどのように収入額として認定されますか?
(A1)はい。生活保護における世帯分離をした場合でも、世帯分離された人の収入が常に無関係になるわけではありません。
わかりやすく言うと、
「世帯分離した後も、その人が実際には生活費を出し合っている場合」は、収入を合算して判断されることがあります。
例えば、
- 父(生活保護受給)
- 息子(就職して収入あり)
という家庭で、息子だけ世帯分離したとします。
しかし、
- 息子の給料で家賃を払っている
- 息子が毎月生活費を父に渡している
- 食費や光熱費を共同で負担している
ような場合は、
「実質的には同じ家計で生活している」
と判断され、息子から父への援助額を父の世帯の収入として認定することがあります。
反対に、
- 家計が完全に別
- 生活費のやり取りがない
- 互いに経済的援助をしていない
場合は、通常、息子の給料を父の生活保護の収入として合算することはありません。
根拠
生活保護手帳別冊問答集では、
「世帯分離後も生活費の共通支出がある場合や、相互扶助関係が認められる場合には、その負担関係を考慮して収入認定を行う」
という考え方が示されています。
行政書士実務でのポイント
生活保護申請や受給中の世帯分離で問題になるのは、
- 同居している家族から毎月いくら援助を受けているか
- 家賃や光熱費を誰が負担しているか
- 食事を別にしているか
です。
ケースワーカーは通帳や家計状況を確認し、
「世帯分離は形式だけで、実際は同じ財布で生活している」
と判断した場合は、援助額を収入認定したり、世帯認定そのものを見直すことがあります。
したがって、
「世帯分離された人の収入そのもの」が合算されるのではなく、「その人から被保護世帯へ渡されている生活費や援助額」が収入認定されると理解すると分かりやすいです。
(A2)この質問は、生活保護の「収入認定」の考え方に関するものです。
わかりやすく言うと、
親族などの扶養義務者から実際にお金をもらった場合は、その受け取った金額が収入として認定されます。
具体例
例1
母親から毎月1万円の仕送りを受けている場合
→ 毎月1万円が収入認定されます。
例2
兄から生活費として5万円振り込まれた場合
→ 5万円が収入認定されます。
例3
親が直接家賃3万円を大家へ支払った場合
→ 本人の手元に現金が渡っていなくても、実質的に生活費の援助を受けているため、原則として3万円相当が収入認定されます。
「扶養義務の履行」とは?
民法上、親子・配偶者・兄弟姉妹などには扶養義務があります。
そのため、
- 生活費を渡す
- 家賃を払う
- 光熱費を払う
- 食料品を購入して渡す
などの援助をした場合、その援助の価値を収入として扱うことがあります。
生活保護ではどうなる?
例えば保護費が月12万円必要な世帯で、
親から毎月2万円の仕送りがある場合
- 最低生活費 12万円
- 扶養による収入 2万円
- 支給される保護費 10万円
という計算になります。
根拠
厚生労働省の「生活保護手帳別冊問答集」では、
扶養義務者等から金銭その他の援助を受けた場合は、原則として収入として認定する
という取扱いになっています。
つまり、
「扶養すると言われただけ」では収入認定されず、実際に金銭や生活費の援助があったときに収入認定される
というのがポイントです。
行政書士として実務上は、
- 扶養照会の回答で「援助可能」と書かれていても
- 実際に送金がなければ収入認定できない
という点を覚えておくとよいでしょう。
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