(Q)施設入所者と出身世帯の認定に関して、世帯の認定や保護責任はどのように取り扱われますか?例:施設入所者とその出身世帯が別々の場所にいる場合、どのように世帯の認定や保護責任が決まりますか?
(A)生活保護では、**「同じ世帯として扱うか」と、「どこの福祉事務所が担当するか」**は、別々に判断します。
1.世帯の認定
施設に入所したからといって、直ちに出身世帯と完全な別世帯になるわけではありません。
本人と家族との関係、生活費の負担、退所後に家へ戻る予定があるかなどを見て、生活実態上、同じ世帯と考えられる場合は、施設入所者も出身世帯の一員として扱われます。
ただし、施設で生活している本人と自宅の家族では、必要となる生活費や保護の内容が異なるため、実務上は世帯分離をして、本人分と家族分を別々に計算することがあります。
つまり、
世帯としてのつながりは残っているが、保護費の計算は分ける
という取扱いです。
2.長期間入所している場合
長期間にわたり施設に入所し、出身世帯との生活関係が事実上なくなっている場合には、完全な別世帯として扱われることがあります。
厚生労働省通知では、次の条件をすべて満たし、社会通念上、同一世帯とすることが適当でない場合には、別世帯とみなしてよいとされています。
- 世帯分離後の入院・入所期間がおおむね5年以上で、今後も長期化すること
- 入所者と出身世帯員との間に、夫婦や未成熟の子などの生活保持義務関係がないこと
- 出身世帯の生計中心者が代替わりしていること
ただし、完全な別世帯とみなされた後も、直ちに担当福祉事務所が変わるとは限らず、従前の福祉事務所が引き続き担当します。
3.どこの福祉事務所が担当するか
原則は、生活保護法第19条により、本人の居住地を管轄する福祉事務所が担当します。居住地がない、または明らかでない場合には、本人の現在地を管轄する福祉事務所が担当します。
ただし、施設の種類や入所の経緯によって例外があります。
保護施設などに入所した場合
福祉事務所が救護施設、更生施設などへの入所を決定・委託した場合は、施設の所在地に担当が移るのではなく、原則として入所前に担当していた福祉事務所が引き続き保護を実施します。
世帯分離された入院患者・老健入所者
出身世帯から世帯分離されている入院患者や介護老人保健施設の入所者については、原則として、出身世帯の居住地を本人の居住地として扱います。
その後、出身世帯が別の市町村へ転居した場合も、入所者の居住地は出身世帯の新しい居住地として認定されます。
具体例
たとえば、神戸市に住む夫婦のうち、夫が大阪市内の施設へ入所し、妻が神戸市の自宅に残った場合を考えます。
夫婦としての生活関係が続いており、退所後に神戸市へ戻る予定がある場合は、
- 妻は神戸市の自宅で生活
- 夫は大阪市内の施設で生活
- 保護費は夫と妻を世帯分離して計算
- 原則として神戸市側の福祉事務所が引き続き担当
という取扱いが考えられます。
単に施設が大阪市にあるという理由だけで、大阪市の福祉事務所に担当が変わるわけではありません。
一方、入所前の住居がなくなり、出身世帯もなく、退所後に戻る場所もない単身者の場合は、施設または医療機関の所在地を管轄する福祉事務所が担当することがあります。厚生労働省通知でも、居住地のない入院患者や老健入所者は、原則として現在地の実施機関が担当するとされています。
まとめ
施設入所者については、次の順番で判断すると分かりやすいです。
- 出身世帯との生活上・扶養上のつながりが残っているか
- 同一世帯、世帯分離、完全な別世帯のどれに当たるか
- 入所前の居住地や出身世帯の居住地がどこか
- 施設入所が福祉事務所の決定・委託によるものか
- 居住地がなく、現在地保護となるケースか
したがって、**施設入所者と出身世帯が別々の市町村にいても、それだけで別世帯になったり、施設所在地の福祉事務所に担当が移ったりするわけではありません。**生活実態、入所期間、家族関係、退所後の予定、施設の種類などを総合して決められます。
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