(Q)父が亡くなり、相続人は長男・次男・長女(私)の3人です。ところが最近、長男が「父が全財産を長男に相続させる」と書かれた自筆の遺言書を持っていることがわかりました。
しかし、長男はこれまで両親にお金の面で迷惑ばかりかけており、父が本当にそのような遺言書を作ったのか疑っています。次男も「その遺言書は無効ではないか」と言っています。

遺言が無効になるケースにはどんなものがあるのか、また無効を主張するにはどうしたらよいか知りたいです。

必要であれば、遺言が無効になる具体例無効を争うための手続きの解説文もあわせて作成できますのでお申し付けください。

(A)■遺言書が無効となるケースと無効主張の方法について

お父様が残されたとされる遺言書が本当に有効なものかどうかは、法律上の方式を守っているか、そして遺言能力に問題がなかったかなどを総合的に判断する必要があります。遺言書は形式が厳格に定められており、要件を欠く場合には無効となることがあります。


【1】遺言が無効と判断されやすい主なケース

(自筆証書遺言の場合の例)

  • 全文・氏名・日付が本人の自筆で書かれていない
  • 押印がない
  • 後から書き足し・訂正をしたのに手続が守られていない
  • 書いた時に認知症などで意思能力が欠けていた
  • 長男など特定の人に誘導・強迫されて書かれた
  • 本人の遺言と断定する証拠が不十分(筆跡不一致等)

(共通の問題点)

  • 遺言者が亡くなってから作成された偽造・変造
  • 本人の意思に基づかないもの(無理やり書かされた)

※特に、病気や高齢によって判断能力が不十分だった場合は争点になりやすいです。


【2】無効を主張するための一般的な手続き

1️⃣ 家庭裁判所で検認手続き
 自筆証書遺言の場合、まずは検認が必要です。
 ※検認は遺言が本物かどうかは判断しません。内容の保存手続きです。

2️⃣ 遺言無効確認調停・訴訟の申し立て
 無効の根拠がある場合、
 - 家庭裁判所での 遺言無効確認調停
 - 調停でまとまらない場合、遺言無効確認訴訟
 を行います。

3️⃣ 必要に応じて証拠を収集
 - 筆跡鑑定
– 医師の診断書、カルテなど(意思能力に関する証拠)
– 遺言作成当時の状況に関する証言
– 介護記録、家族との関係性の資料
 などが重要な証拠となります。


■まとめ

内容ポイント
無効となる例自筆方式違反/押印や日付の欠如/偽造変造/意思能力欠如/強迫等
進め方①検認 → ②無効主張(調停→訴訟)
必要な証拠筆跡・医療記録・証言・周辺状況証拠

遺言が有効か無効かは、一つ一つの状況に応じて判断されます。
まずは遺言書の現物を確認し、形式面のチェックをすることが重要です。