(Q)父が亡くなり、相続人は兄と私の二人だけです。父は生前に自筆証書遺言を作成していましたが、その内容は「全財産を兄に相続させる」というものでした。しかし、父は遺言作成時に認知症だったため、私は遺言が無効ではないかと考えています。
そこで遺言無効の裁判を検討していますが、父の死からまもなく10か月が経過し、遺留分侵害額請求の期限(1年)も迫っています。
このような状況で、遺留分侵害額請求をどのように行えばよいでしょうか。

(A)ご相談のケースでは、遺言の有効性に争いがある一方で、遺留分侵害額請求の時効(相続開始および侵害を知った時から1年以内:民法1048条)が迫っている状況です。
そのため、遺言無効の訴えとは別に、遺留分侵害額請求を併行して進めることが非常に重要となります。

■遺留分侵害額請求の対応ポイント

  1. まずは時効を止めるために請求の意思表示を行う
    • 内容証明郵便にて
      「遺留分を侵害されているため、遺留分侵害額の支払を請求する」旨を相続人(兄)へ通知します。
    • 内容証明によって時効を6か月間、完成猶予できます(民法150条)。
  2. その後、必要に応じて調停・訴訟へ
    • 当事者間で協議がまとまらない場合、
      家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立てます。
    • さらに調停が不成立となれば訴訟へ移行します。
  3. 遺言無効確認訴訟とは並行して進められる
    • 遺言の無効が認められれば、遺留分ではなく法定相続分に基づく遺産分割へと移行します。
    • 無効が否定されても、遺留分の権利は守ることができます。

■まとめ

行うべき対応目的
内容証明郵便で遺留分侵害額請求を行う時効を止める(完成猶予)
必要に応じ調停 → 訴訟へ権利実現
遺言無効確認訴訟の併行提起遺言が無効となれば法定相続へ

■アドバイス

遺留分侵害額請求の期限が迫っているため、
時間的余裕がほとんどありません
速やかに内容証明の発送など必要な手続きを進めることが望ましいです。

弁護士に依頼することで、
遺言無効の主張と遺留分侵害額請求を適切なタイミングで併行して行うことができます。

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