(Q3)最低生活費の認定や移送費の支給に関して、具体的な手続きや基準はどのようになっていますか?

(A3)結論

最低生活費は、世帯の人数・年齢・住んでいる地域・家賃・障害や病気などの事情をもとに計算します。

そのうえで、

最低生活費 − 世帯の収入 = 支給される保護費

という考え方で保護費を決定します。

移送費は、移動が保護のために必要であり、ほかに費用を負担する方法がない場合に、必要最小限の実費が支給されます。厚生労働省の基準でも、移送費は「移送に必要な最小限度の額」とされています。

1.最低生活費の認定方法

最低生活費は、主に次の費用を合計して計算します。

  • 食費、衣類費、光熱水費などの生活扶助
  • 家賃などの住宅扶助
  • 必要に応じた医療扶助、介護扶助、教育扶助
  • 障害者加算、母子加算、妊産婦加算など
  • 一時的に必要となる家具什器費、被服費など

基準額は、世帯員の年齢、世帯人数、地域の級地、居宅・入院・施設入所などの生活形態によって異なります。

収入との比較

福祉事務所は、次のような収入を確認します。

  • 給料や事業収入
  • 年金や各種手当
  • 親族からの仕送り
  • 預貯金や保険金
  • その他、利用できる資産や給付

収入が最低生活費を下回る場合、その不足分が保護費として支給されます。

最低生活費が月12万円で、年金などの収入が月5万円の場合は、

12万円 − 5万円 = 7万円

となり、原則として7万円が保護費として認定されます。

2.外国からの帰還者等の場合

外国から帰還して日本国内の帰住先へ向かう人については、上陸地などで生活に困窮している場合、まず次の事項を確認します。

  • 本人や世帯員の身元
  • 日本国内の帰住先
  • 親族や身元引受人の有無
  • 現金や預貯金の有無
  • 帰住先までの交通手段
  • 食費や宿泊費が必要か
  • 他の制度による援護を受けられるか

急迫した状況で、通常の申請手続きを行う時間がない場合には、まず必要な保護を行い、その後に調査や正式な手続きを進めることがあります。外国人に対する保護の取扱いについても、急迫した場合には先に必要な援護を実施できるとされています。

3.移送費が認められる基準

移送費が認められるためには、主に次の条件が必要です。

移動する必要性がある

例えば、

  • 帰住先の親族宅へ移動する
  • 保護を実施する福祉事務所の所在地へ移動する
  • 必要な施設や宿泊場所へ移動する
  • 保護上必要な転居をする
  • 医療機関へ通院または入退院する

など、生活保護上の必要性が認められることが必要です。

本人の希望による旅行や、単に便利だからという理由では対象になりません。

本人が費用を負担できない

本人の所持金、預貯金、親族の援助、他の公的支援などを利用しても交通費を用意できないことを確認します。

最も合理的で安い方法を利用する

原則として、

  • 通常の鉄道
  • バス
  • 船舶
  • 必要な場合の航空機

など、安全で合理的な経路のうち、必要最小限の費用を認定します。

タクシーは、病気・障害・荷物の状況などから、公共交通機関を利用できない特別な事情がある場合に限られます。

4.具体的な申請手続き

基本的には、移動する前に福祉事務所へ相談し、申請します。

一般的な流れは次のとおりです。

① 福祉事務所へ相談する

移動の目的、行き先、日時、本人の所持金などを説明します。

② 必要性を確認する

福祉事務所が、帰住先、親族の受入れ、他制度の利用可能性などを調査します。

③ 経路と金額を確認する

切符代、宿泊費、必要な荷物運賃などの見積りを確認します。

④ 保護決定を受ける

認められた場合は、現金、乗車券の交付、業者への直接払いなどの方法で支給されます。

⑤ 領収書などを提出する

実費で支給された場合は、切符や領収書の提出を求められることがあります。

5.事前申請が原則

原則として、移動する前に申請して決定を受ける必要があります。

本人が先に移動してしまい、後から交通費を請求しても、原則として支給されないことがあります。

ただし、災害、急病、突然の帰還などにより、事前申請ができないやむを得ない事情があり、その事情がなくなった後に速やかに申請した場合は、事後申請が認められることがあります。医療扶助の移送費についても、緊急で事前申請が困難だった場合には、内容を確認したうえで事後給付が可能とされています。

6.注意すべき点

  • 移送費は自動的に支給されるものではありません。
  • 帰還者であるという理由だけでは足りず、生活困窮と移送の必要性を確認します。
  • 親族や他制度から旅費が支給される場合、重ねて支給されません。
  • 高額な経路や本人の希望する交通手段が、そのまま認められるとは限りません。
  • 帰住先の福祉事務所と、上陸地・現在地の福祉事務所が連絡調整することがあります。
  • 移送中の食費や宿泊費についても、必要性を個別に判断します。

まとめ

最低生活費は、世帯ごとの生活需要を基準に計算し、そこから収入を差し引いて保護費を決めます。

移送費は、

保護上必要な移動であること
+本人に支払能力がないこと
+他の援助が利用できないこと
+必要最小限の金額であること

を確認したうえで支給されます。

したがって、外国から帰還した場合などは、帰住先や交通手段を自分だけで決めて移動する前に、現在地の福祉事務所へ相談することが重要です。

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