(Q1)外国へ帰還する場合の取扱いについて、どのような点に注意すべきですか?(Q2)国からの帰還者等の「等」には、どのような例が含まれますか?

(A1)結論

生活保護を受けている外国人が日本を離れて本国などへ永住帰国する場合は、次の点に注意が必要です。

特に重要なのは、帰国日、帰国後の生活先、渡航費の負担方法を事前に福祉事務所へ届け出ることです。帰国して日本で生活しなくなれば、原則として生活保護は廃止されます。

1.一時的な渡航か、永住帰国かを明確にする

まず、次のどちらなのかを区別します。

  • 親族訪問などのため、一時的に海外へ行って日本へ戻る
  • 日本での生活を終了し、外国へ永住帰国する

永住帰国の場合は、日本国内で保護すべき生活実態がなくなるため、通常は出国日などを基準として保護を廃止します。

一方、一時的な海外渡航は、渡航したという理由だけで直ちに保護廃止となるわけではなく、渡航目的・期間・費用の出所・日本国内の生活実態などを個別に確認します。厚生労働省の取扱いでも、海外渡航の事実だけを理由に機械的に停廃止するのではなく、生活実態などを確認して判断する考え方が示されています。

2.必ず事前に福祉事務所へ相談する

帰国する場合は、少なくとも次の事項を事前に伝えます。

  • 帰国予定日
  • 渡航先の国
  • 永住帰国か一時渡航か
  • 航空券などを誰が負担するか
  • 帰国先の住所や引受人
  • 日本の住居をいつ退去するか
  • 保護費の振込口座や未使用の医療券等の取扱い

無断で出国すると、事情の確認ができず、保護の停止・廃止や、出国後に支給された保護費の返還問題が生じる可能性があります。

3.外国までの帰国旅費が当然に支給されるわけではない

生活保護の移送費は、一定の場合に必要最小限度の交通費などを認定する制度ですが、本人の希望による外国への帰国費用を、生活保護から当然に支給する制度ではありません。

生活保護の実施要領における移送費は、他に費用を支出する方法がなく、保護上必要な移送である場合に、必要最小限度で認定する仕組みです。

そのため、帰国旅費については、まず次の支援の有無を確認します。

  • 本人の預貯金や収入
  • 日本または本国の親族による援助
  • 勤務先や身元引受人による負担
  • 大使館・領事館による相談や支援
  • 入管関係の帰国支援制度
  • 民間団体などの支援

実際にどの制度を利用できるかは、国籍、在留資格、帰国理由などによって異なります。

4.親族などから受けた帰国費用を確認する

親族や支援団体から航空券代などの援助を受ける場合は、福祉事務所へ申告する必要があります。

ただし、帰国という特定の目的のために直接航空券が提供された場合と、自由に使える現金を受け取った場合とでは、収入認定上の扱いが異なる可能性があります。

そのため、

  • 誰から援助されたか
  • 現金か航空券か
  • 金額はいくらか
  • 何の目的で支給されたか

を確認できる資料を提出することが大切です。

5.出国後に支給された保護費に注意する

保護費が月初めに支給され、その月の途中で永住帰国する場合には、出国後の期間に対応する保護費について、変更決定や返還調整が行われることがあります。

したがって、帰国日が決まったら早めに連絡し、次の支給分を受け取ってよいか確認する必要があります。

6.住居や家財の処理も必要になる

永住帰国する場合は、日本の住居についても整理が必要です。

  • 賃貸借契約の解約
  • 家賃や公共料金の精算
  • 家具・家電の処分
  • 鍵の返却
  • 転出届などの手続き
  • 健康保険、年金、在留関係の手続き

家財処分費や住宅の原状回復費が、すべて生活保護から支給されるわけではありません。処分する前に福祉事務所へ相談し、必要性や費用を確認することが重要です。

まとめ

外国へ永住帰国する場合は、

  1. 一時渡航か永住帰国かを明確にする
  2. 帰国前に福祉事務所へ届け出る
  3. 帰国旅費は自動的に生活保護から出るわけではない
  4. 親族、大使館、入管などの支援を確認する
  5. 原則として出国により生活保護は廃止される
  6. 出国後の保護費の返還や住居の処理に注意する

という点が重要です。

つまり、本人だけで帰国手続きを進めず、帰国日が決まる前から福祉事務所、在日大使館・領事館、出入国在留管理関係機関と連携して進める必要があります。

(A2)結論

外国からの帰還者等」の**「等」**とは、外国から帰国した人以外にも、これと同じように自力で移動することが困難で、援助が必要な人を含むという意味です。

「等」に含まれる例

例えば、次のような人が考えられます。

  • 外国から帰国した人
  • 身寄りがなく、一定の住居もない人
  • 災害や事故などで行き場を失い、引き取り先へ移送する必要がある人
  • その他、自力で生活場所へ移動することが困難で、福祉事務所が移送の必要があると認めた人

なぜ「等」と書かれているの?

法律や通知で「等」としているのは、外国からの帰還者だけに限定せず、同じような事情で援助が必要な人にも柔軟に対応できるようにするためです。

つまり、制度は「外国から帰ってきた」という事実だけではなく、

  • 自力で移動できるか
  • 安全に生活できる場所があるか
  • 引き取り先へ移送する必要があるか

といった事情を総合的に見て判断します。

わかりやすい例

例えば、

  • 海外で生活に困り日本へ帰国した人
  • 災害で住む場所を失い、親族宅へ移送する必要がある人
  • 路上生活をしていて、親族や施設へ移送する必要がある人

このような人たちは、「外国からの帰還者」と同じ考え方で、必要に応じて移送費などの支援を検討する対象となります。

まとめ

外国からの帰還者等」の「等」は、

外国からの帰還者と同様に、自力で生活場所へ移動することが難しく、福祉事務所が移送の必要があると認める人

を含めるための表現です。したがって、外国からの帰還者だけを対象にした規定ではなく、同様の事情にある要保護者にも適用できるようになっています。

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