(Q)就職が決定した者が就職地に赴く際、交通費や二重賃料が必要となる場合、生活扶助の移送費として計上しても差し支えないとされていますが、具体的にはどのような場合が該当しますか?例えば、飯場に寄宿する場合や、未成年者が就職先で寮に入る場合も移送費の対象となりますか?

(A)結論

就職が決まり、現在の住所を離れて就職先の地域で生活を始める場合は、就職地までの交通費や荷物の運搬費を、生活扶助の移送費として支給できます。

この取扱いは、一般のアパートに転居する場合に限りません。

  • 飯場に寄宿して働く場合
  • 未成年者が就職先の社員寮に入る場合
  • 住み込みで働く場合

も、就職のために現在地を離れ、他の地域で生活するのであれば対象になり得ます。

厚生労働省の問答では、「就職のために現在地を離れ、他地で生活するものであれば、移送費を支給して差し支えない」とされています。

支給対象となる基本条件

主に次の条件を満たす必要があります。

1.就職が確定していること

単に求人を見つけた、面接を受けるという段階ではなく、原則として、

  • 採用通知が出ている
  • 雇用開始日が決まっている
  • 雇用条件が確認できる

など、実際に就職することが確定している必要があります。

面接に行くための交通費とは、別の取扱いです。

2.就職先の地域で生活すること

制度上のポイントは、就職後に現在地を離れて他の地域で生活することです。

例えば、広島県の実家から大阪府の就職先へ移り、社員寮で生活を始める場合が該当します。

必ずしも自分でアパートを借りて完全に独立しなければならない、という意味ではありません。

3.実際に費用を必要としていること

雇用主などから費用が支給されないことも確認されます。

例えば、会社から、

  • 赴任旅費
  • 引越費用
  • 支度金
  • 交通費

が支給される場合は、原則として、まず会社の制度を利用します。

厚生労働省の問答でも、遠隔地への就職では雇用主から赴任旅費や支度費が支給される場合が多いため、生活保護から実際に支給するケースは少ないと説明されています。

飯場に寄宿する場合

対象になり得ます

建設現場などの飯場に住み込み、現在の住所を離れて働く場合も、移送費の対象になり得ます。

飯場は一時的な寄宿場所であることも多いですが、

就職のために現在地を離れ、そこで実際に生活する

のであれば、直ちに対象外とはなりません。

ただし、短期間の出張や、仕事が終わればすぐ元の世帯へ戻る単なる出稼ぎのような場合は、生活の実態を確認して個別に判断されます。

未成年者が就職先の寮に入る場合

対象になり得ます

中学校・高校を卒業した未成年者が、遠隔地で就職し、会社の寮や住み込み先で生活を始める場合も対象になり得ます。

未成年であることや、住居が社員寮であることだけを理由に、対象外にはなりません。

例えば、

  • 17歳の高校卒業者が県外の会社へ就職する
  • 就職と同時に社員寮へ入る
  • 現在の生活保護世帯を離れて寮で生活する
  • 会社から赴任旅費が支給されない

という場合は、就職地までの交通費や荷物の運搬費を認定できる可能性があります。

移送費に含まれる費用

対象となり得るのは、主に次の費用です。

  • 本人が就職地へ赴くための電車・バス等の交通費
  • 荷物の荷造費
  • 荷物の運賃・運搬費
  • 必要な場合の引越業者の費用

支給額は、最も経済的で合理的な経路・方法による必要最小限度の実費です。

厚生労働省の実施要領でも、就職が確定した者が就職地で生活の本拠を構える場合、交通費、荷造費、運賃を生活扶助の移送費として計上できるとされています。

二重賃料について

ここは交通費・運搬費とは分けて考える必要があります。

「就職地へ赴くための移送費」として明示されているのは、

  • 交通費
  • 荷造費
  • 荷物の運賃・運搬費

です。旧住居と新住居の二重賃料が、当然に移送費として支給されるという取扱いではありません。

例えば、旧住居の解約予告期間と新しい住居の入居日が重なった場合の家賃は、移送費ではなく、住宅扶助として認定できるかを別途検討することになります。

したがって、

就職の都合で二重賃料が発生したら、すべて移送費として支給できる

という意味ではありません。

旧住居を早く解約できなかった事情、新住居への入居時期、会社の寮費、世帯の転出時期などを確認し、福祉事務所が個別に判断します。

具体例

認められる可能性がある例

生活保護世帯の18歳の子が、県外の工場への就職を決め、会社の寮へ入ることになったとします。

会社から赴任旅費は出ず、就職地までの鉄道運賃が1万5,000円、荷物の宅配費が5,000円必要な場合、

  • 鉄道運賃1万5,000円
  • 必要な荷物の運搬費5,000円

を移送費として認定できる可能性があります。

認められにくい例

県外の建設会社で数日間だけ働き、その後は元の自宅へ戻る予定で、会社から交通費も支給される場合。

この場合は、新たに他地で生活を始めるとはいえず、会社から交通費も出るため、生活保護の移送費は認められにくいと考えられます。

まとめ

飯場への寄宿や、未成年者の社員寮への入寮であっても、

  • 就職が確定している
  • 就職のため現在地を離れる
  • 就職先の地域で実際に生活する
  • 会社等から赴任旅費が支給されない
  • 費用が必要最小限度である

という場合は、交通費・荷造費・荷物の運搬費を生活扶助の移送費として支給できます。

一方、二重賃料は当然に移送費へ含まれるわけではなく、住宅扶助等として別に個別判断する費用と整理するのが適切です。

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