(Q1)遺骨や遺体の引取り、危篤、葬儀、納骨の際の移送費は、どのような判断基準によって認定すればよいですか?(Q2)移送費の支給を行うか否かは、どのような点を考慮して決定すべきですか?例:被保護者と病人または死者との関係の深さや付き合いの疎密など
(A1)結論
遺骨・遺体の引取り、危篤、葬儀、納骨のための交通費は、自動的に支給されるものではありません。
しかし、社会通念上やむを得ない事情があり、福祉事務所が必要と認めた場合には、移送費として認定できることがあります。
つまり、**「本当に行く必要があるか」「他に行ける人がいないか」「費用は必要最小限か」**を総合的に判断します。
判断するときのポイント
福祉事務所は、主に次の点を確認します。
- 本人が行く必要性があるか
- 親族との関係が深いか
- 他に対応できる親族がいないか
- 移動距離や交通費が適当か
- 最も経済的な交通手段か
- 社会通念上、出席することが妥当か
これらを個別に検討して認定します。
具体例
① 遺体・遺骨の引取り
認められる可能性が高い例
- 被保護者しか遺体や遺骨を引き取る人がいない。
- 他に親族がおらず、本人が行かなければ手続きができない。
→ 必要性が高いため、移送費を認定できる場合があります。
② 親族が危篤になった場合
認められる可能性がある例
- 父母や配偶者、子どもなどが危篤で、本人が駆けつける必要がある。
- 他に家族がおらず、本人の立会いが必要である。
→ 社会通念上やむを得ない事情として認められることがあります。
③ 葬儀への参列
認められる可能性がある例
- 配偶者
- 父母
- 子ども
- 同居していた親族
など、特に近い親族の葬儀で、参列することが社会通念上相当と認められる場合です。
一方で、
- 遠い親戚
- 知人
- 友人
の葬儀については、通常は認められにくくなります。
④ 納骨
納骨についても、
- 本人が出席する必要があるか
- 他に対応できる親族がいるか
などを確認し、必要性が認められれば対象となることがあります。
認定するときの注意点
認められる場合でも、
- 最も経済的な交通手段(普通運賃など)
- 必要最小限の費用
- 必要最小限の日程
で認定します。
例えば、
- 新幹線ではなく在来線で間に合う場合は在来線相当額
- グリーン車や特別席は原則対象外
- 宿泊が不要なら宿泊費は認められない
といった考え方になります。
認められにくい例
次のような場合は、原則として認定されにくいと考えられます。
- 観光を兼ねた帰省
- 法事や年忌法要への参加
- 友人・知人の葬儀
- 本人が行かなくても支障がない場合
- 他の親族が対応できる場合
まとめ
遺骨・遺体の引取り、危篤、葬儀、納骨のための移送費は、
- 社会通念上必要な事情があること
- 本人が行く必要性があること
- 他に対応できる人がいないこと
- 費用が必要最小限であること
を総合的に判断して認定します。
つまり、「親族だから必ず支給」「親族でなければ支給しない」という一律の基準ではなく、個々の事情を考慮して福祉事務所が判断するというのが基本的な取扱いです。
(A2)結論
移送費を支給するかどうかは、親族の範囲だけで一律に決めるのではなく、被保護者と病人・死者との実際の関係や、移動の必要性を総合的に判断します。
したがって、配偶者・親・子などであっても必ず認められるわけではなく、反対に、法律上は遠い親族でも、長年家族同様に生活していたなどの事情があれば認められる余地があります。
主な判断ポイント
1.病人・死者との関係の深さ
まず、被保護者と相手との身分関係を確認します。
例えば、
- 配偶者
- 親・子
- 兄弟姉妹
- 祖父母・孫
- その他の親族
- 親族ではないが、事実上家族同様の関係にあった人
などです。
一般には、配偶者や親子など、本人との関係が近いほど必要性が認められやすいと考えられます。
ただし、戸籍上の続柄だけで機械的に判断するものではありません。
2.実際の付き合いの疎密
親族であっても、長期間まったく交流がなかった場合と、日常的に支え合っていた場合とでは、判断が異なります。
確認する事情としては、
- 同居していたことがあるか
- 普段から連絡を取り合っていたか
- 定期的に面会していたか
- 生活上・精神上の援助を受けていたか
- 本人が介護や世話をしていたか
- 長期間、関係が途絶えていなかったか
などがあります。
つまり、形式的な親族関係より、実際にどの程度親密な関係だったかが重要です。
3.移動の目的と必要性
次に、本人が現地へ行く必要があるかを確認します。
必要性が高い例
- 重篤・危篤の親族に最後に面会する
- 遺体や遺骨を引き取れる人が本人しかいない
- 葬儀の喪主や施主を務める
- 火葬・死亡届・遺骨の受領など、本人による手続きが必要
- 納骨を行う責任を本人が負っている
- 他に対応できる親族がいない
必要性が低い例
- 本人が行かなくても他の親族が十分対応できる
- 単なる儀礼的な参列にとどまる
- 長期間交流がなく、本人と死者との関係が極めて薄い
- 法事や年忌法要など、緊急性のない行事への参加
「行きたい」という気持ちだけでなく、保護上、社会通念上、本人が行くことが相当かを判断します。
4.他に対応できる人がいるか
遺体・遺骨の引取りや葬祭手続については、本人以外の親族が対応できるかも考慮します。
例えば、
- 他の兄弟姉妹が近くに住んでいる
- 葬祭を主催する親族が別にいる
- 病院・葬祭業者・市町村による対応が可能
- 本人の出席を必要とする具体的な手続きがない
という場合は、本人の移送費を生活保護から支給する必要性が低くなることがあります。
ただし、単に「他にも親族がいる」というだけでなく、その親族が実際に対応できる状態かを確認する必要があります。
5.距離・日程・費用の妥当性
支給の必要性が認められても、支給額は必要最小限度です。
確認する内容は、
- 最も経済的で合理的な経路か
- 日帰りが可能か
- 宿泊が本当に必要か
- 特急・新幹線・航空機を利用する必要があるか
- タクシーを利用しなければならない事情があるか
- 往復の日程が必要最小限か
などです。
移送費の額は、生活保護基準上、移送に必要な最小限度の額とされています。
ケース別の考え方
危篤の場合
危篤の場合は、緊急性が高いため、
- 医師等による危篤の連絡があるか
- 配偶者・親・子など関係の深い人か
- 最後の面会となる可能性が高いか
- 日頃の交流があったか
を確認します。
緊急で事前申請が難しかった場合は、その事情を確認したうえで事後的に判断することも考えられます。
葬儀の場合
葬儀では、
- 死者との関係
- 生前の交流
- 喪主・施主などの役割
- 本人が参列する社会的必要性
- 他に葬祭を行う人がいるか
を考慮します。
近親者の葬儀であっても、常に自動的に支給するのではなく、個別の事情を確認します。
遺体・遺骨の引取りの場合
単なる参列よりも、実際に引取り手続を行う場合は必要性が高くなります。
例えば、
- 本人しか引取人がいない
- 本人が死亡届や火葬等の手続を行う
- 病院や火葬場から本人による引取りを求められている
といった事情が判断材料になります。
納骨の場合
納骨は葬儀より後日に行われるため、緊急性だけでなく、
- 本人が祭祀を主宰する立場か
- 本人が遺骨を保管しているか
- 他に納骨を行える人がいるか
- 今回行わなければならない事情があるか
を慎重に確認します。
一般的な法事や墓参りとは区別して判断します。
具体例
被保護者の母が遠方の病院で危篤となり、本人は母と定期的に連絡を取り、入院前にも介護をしていたとします。兄弟はおらず、医師から家族に来院するよう連絡があった場合には、
- 親子という近い関係
- 生前の密接な交流
- 危篤という緊急性
- 他に対応する親族がいない
ことから、必要最小限度の交通費を認定する可能性が高いと考えられます。
一方、長年交流のなかった遠い親族の葬儀へ、一般参列者として出席したいという場合には、生活保護から移送費を支給する必要性は認められにくいと考えられます。
まとめ
移送費を支給するかどうかは、主に次の事情を総合して決定します。
被保護者と病人・死者との身分関係
+実際の付き合いの深さ
+本人が現地へ行く必要性
+他に対応できる人の有無
+緊急性
+交通手段・日程・金額の妥当性
したがって、**「何親等以内なら支給する」という機械的な判断ではありません。**個々の生活歴や交流状況を具体的に確認し、社会通念上やむを得ず、保護上必要と認められる場合に、必要最小限度の移送費を認定します。
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