(Q1)開拓地でかんがい用水の引水工事を行う場合、被保護世帯は用水敷設に要する経費を分担しなければならないのでしょうか?(Q2)農産物の生産が当該世帯の自立助長に役立つことが明らかな場合、用水敷設に要する経費を生業費の対象として認定してもよいのでしょうか?

(A1)この場合、かんがい用水の敷設費用の分担金を、そのまま生活保護の「生業費」として支給するのは適当ではないとされています。

厚生労働省の「生活保護問答集」問7-131では、開拓地でかんがい用水の引水工事を行い、被保護世帯も費用を分担する必要があり、その工事によって農産物の増産が期待でき、自立助長に役立つ場合について示されています。結論としては、生業費ではなく、農業関係の貸付制度の活用を検討する取扱いです。

理由は、このような設備整備の資金については、農業近代化資金などの貸付制度を利用できる可能性があるためです。貸付を受けた場合には、その返済額について、農業収入を認定する際の必要経費として扱う方法も考えられるため、生活保護費から直接、生業費として工事負担金を出すのは適当ではない、とされています。

例えば、Aさんが農業で生計を立てており、地域全体で用水路を整備することになり、Aさんの負担額が10万円だったとします。用水路ができれば収穫量が増え、自立につながるとしても、

「自立につながるから10万円を生業費で支給する」

という扱いにはせず、まず農業関係の融資制度などを利用できないか検討することになります。

これは、生業扶助そのものが「収入を増加させ、または自立を助長する見込み」がある場合に認められる制度であっても、他の公的な資金制度で対応することが適切な大規模・共同的な設備費まで、すべて生業費で負担する制度ではないためです。生活保護法17条も、生業扶助を生業に必要な資金・器具・資料などに限定しています。

要するに、**「かんがい用水の工事費を分担する必要があっても、その負担金を生業費として直接支給するのではなく、まず農業関係の貸付制度を活用し、必要に応じてその償還金を必要経費として扱う」**という考え方です。

(A2)いいえ。農産物の増産が見込まれ、その世帯の自立助長に役立つことが明らかであっても、かんがい用水の敷設に要する負担金を生業費として支給するのは適当ではないとされています。

厚生労働省の「生活保護問答集」問7-131では、まさにこのケースについて、用水敷設のような資金は農業関係の貸付資金を利用することが考えられるため、生業費として直接支給するのは適当ではないと示されています。

一方で、農業関係の貸付を受けた場合、その償還金(返済額)については、農業収入を認定する際の必要経費として扱える場合があります。 農業収入については、水利組合費、肥料代、種苗代、農具の修理費など、農業収入を得るために必要な経費を必要経費として認定する仕組みがあります。

つまり、

「自立につながるから生業費で出す」
ではなく、
「まず農業関係の貸付制度を活用し、その返済について必要経費として取り扱う」

という考え方です。

要するに、自立助長の効果が明らかでも、用水敷設費のような共同的・基盤的な農業設備費は、生業費ではなく他の農業資金制度を利用するのが原則です。

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