(Q1)生業費はどのような業種に対して支給されますか?(Q2)生業費の支給対象となる「専ら生計の維持を目的として営まれる小規模の事業」とは、具体的にどのような事業を指しますか?
(A1)生活保護の生業費は、特定の業種だけに限定して支給されるものではありません。
ポイントは、**「その仕事を始めたり続けたりすることで、世帯の自立につながると認められるか」**です。
生業費は、生業扶助の一つで、仕事を始めるために必要な設備費・器具費・材料費などについて、一定の基準内で支給されるものです。
対象になり得る例としては、たとえば次のような仕事があります。
- 農業・漁業などの小規模な自営業
- 飲食業
- 理美容業
- クリーニング・縫製・内職
- 修理業
- 小売業
- 清掃業
- 配送・軽作業
- パソコンを使った小規模事業
- その他、本人の技能や経験を生かした自営業
つまり、「飲食業だから対象」「IT業だから対象外」というように業種名だけで決まるわけではありません。
実際には、福祉事務所が主に、
① その仕事をする能力や経験があるか
② 事業として成り立つ見込みがあるか
③ 必要な費用が適正か
④ 他の方法で調達できないか
⑤ 生業によって収入が増え、生活保護からの自立につながるか
といった点を確認して判断します。
例えば、調理経験がある人が小規模な弁当販売を始めるために調理器具を必要としている場合や、縫製経験がある人がミシン等を使って仕事を始める場合などは、生業費の対象として検討される可能性があります。
一方で、収益の見込みがほとんどない事業、多額の設備投資が必要な事業、趣味に近い活動、投機性の高い事業などは認められにくくなります。
要するに、生業費は「対象業種の一覧」があるというより、本人の能力や事業計画、必要性、自立につながる見込みを見て個別に判断される費用と考えると分かりやすいです。
(A2)「専ら生計の維持を目的として営まれる小規模の事業」とは、簡単にいうと、大きな利益を得ることを主目的とする企業経営ではなく、本人や世帯が生活していくための収入を得ることを中心目的とした小さな自営業・個人事業のことです。厚生労働省の実施要領でも、生業費はこのような小規模事業に必要な資金や器具・資料について、必要性を確認したうえで必要最小限度を認定するとされています。
具体例として、厚生労働省の生活保護問答集では、個人商店・八百屋・個人製菓店、書店・古本屋・文房具店・生花店、中華そば店・大衆食堂・喫茶店、大工・左官などの自由業、製造・加工・修理業、各種サービス業などが挙げられています。
重要なのは、業種そのものよりも事業の規模と目的です。たとえば、自宅や小さな店舗で本人が働き、売上から生活費を得る個人事業であれば対象になり得ます。一方、多額の資本を投入して従業員を多数雇い、事業拡大や大きな利益を追求する企業的な事業は、生業費が想定する「小規模の事業」とは通常考えにくくなります。厚労省問答集も、生業費は「利潤の獲得のみを目的として行われる企業」に適用するものではないとしています。
たとえば、生活保護受給者がこれまでの経験を生かして、少量の弁当を製造販売するための最低限の調理器具を購入する、植木職として仕事をするための必要な道具を購入する、個人で小規模な修理業を始める、といったケースは生業費の検討対象になり得ます。厚労省資料でも、こうした小規模事業の設備資金や運転資金が対象になるとされています。
ただし、「事業を始めたい」と言えば自動的に支給されるわけではありません。福祉事務所は、本人にその仕事を行う能力・経験があるか、現実に収入を得られる見込みがあるか、世帯の自立助長につながるか、購入する器具や材料が本当に必要か、金額が必要最小限かなどを調査して判断します。
したがって、要するに、「専ら生計の維持を目的として営まれる小規模の事業」とは、本人が自分や家族の生活費を得ることを主目的として行う、個人商店・職人仕事・小規模飲食業・修理業・サービス業などの小さな自営業を指すと考えると分かりやすいです。業種の限定リストがあるというより、企業的な大規模事業ではなく、生活の自立につながる現実的な小規模事業かどうかが判断の中心です。
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