(Q)保護開始時の要否判定を行う際、次官通知第10の4に基づいて認定する「最低生活費」とは、具体的にどのような費目を指しますか。

(A)はい。この質問は、生活保護の申請があったとき、保護が必要かどうかを判断するために計算する「最低生活費」には、具体的にどのような費用を含めるのかという質問です。

厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第10・問4に基づいて、わかりやすく説明します。

① 結論

保護開始時の要否判定に用いる最低生活費には、原則として、次の7種類の扶助に関する費用が含まれます。

扶助の種類具体的な費用
① 生活扶助食費、衣類、光熱水費、各種加算など
② 住宅扶助家賃、間代、地代など
③ 教育扶助義務教育に必要な学用品費、教材費、給食費、通学交通費など
④ 医療扶助診療費、薬剤費、治療材料費など
⑤ 介護扶助介護サービスの利用に必要な費用など
⑥ 出産扶助出産に必要な費用
⑦ 葬祭扶助葬祭に必要な費用

ただし、これらの扶助に関する費用が、すべて無条件に最低生活費へ算入されるわけではありません。

保護開始時の要否判定では、通知で定められた費目を用いて計算します。厚生労働省

② 各扶助の具体的な内容

1.生活扶助

日常生活に必要な費用です。

例えば、食費、衣類、光熱水費などの基準生活費に加え、世帯の状況に応じた加算が含まれます。

具体的には、次のような費用です。

  • 第1類費・第2類費
  • 冬季加算
  • 障害者加算などの各種加算
  • 入院患者日用品費
  • 介護施設入所者基本生活費
  • 一定の要件を満たす紙おむつ代や移送費

注意点:期末一時扶助など、要否判定の最低生活費に含めない費目もあります。

2.住宅扶助

住居を確保するための費用です。

例えば、毎月の家賃、間代、地代などが該当します。

ただし、敷金、契約更新料、住宅維持費は、保護開始時の要否判定に用いる最低生活費には含めません。

3.教育扶助

義務教育を受けるために必要な費用です。

例えば、教育扶助基準額、教材費、学校給食費、通学交通費などが該当します。

ただし、学習支援費は、この要否判定に用いる教育扶助基準から除かれています。

4.医療扶助

病気やけがの治療に必要な費用です。

診療費、薬剤費、治療材料費など、医療扶助の対象となる費用を、必要に応じて算入します。

5.介護扶助

介護サービスの利用に必要な費用です。

例えば、訪問介護や施設介護などの費用が該当します。

ただし、住宅改修費は、保護開始時の要否判定に用いる最低生活費から除外されます。

6.出産扶助

出産が必要となる場合の費用です。

出産扶助基準に基づく費用などを算入します。

7.葬祭扶助

葬祭が必要となる場合の費用です。

葬祭扶助基準に基づく費用や、通知で認められた関連費用が対象になります。

これらの具体的な算入範囲は、課長通知第10・問4に定められています。厚生労働省

③ 最低生活費に含まれない主な費用

特に注意したい費用を整理すると、次のとおりです。

費用要否判定での取扱い
期末一時扶助含めない
敷金含めない
契約更新料含めない
住宅維持費含めない
介護扶助の住宅改修費含めない
教育扶助の学習支援費含めない
一部の移送費通知で定められたものを除き、含めない

ここで重要なのは、最低生活費に含めない費用であっても、保護開始後に必要な条件を満たせば、別途支給される場合があるということです。

つまり、「要否判定に含めないこと」と「生活保護で支給されないこと」は同じではありません。

④ 具体例

例えば、Aさんが生活保護を申請したとします。

Aさんの状況は次のとおりです。

  • 単身世帯
  • アパートの家賃:月40,000円
  • 生活扶助の基準額:月75,000円(仮定)
  • その他の加算なし
  • 月収:80,000円

この場合、最低生活費は次のように計算します。

項目金額
生活扶助75,000円
住宅扶助40,000円
最低生活費の合計115,000円
収入充当額(仮定)80,000円
不足額35,000円

最低生活費115,000円に対して、収入充当額が80,000円なので、35,000円不足しています。

したがって、この例では、ほかの資産要件なども満たしていれば、生活保護が必要と判断されることになります。

※実際には、地域、年齢、世帯構成、収入に対する必要経費や勤労控除などを考慮して計算します。

⑤ 保護開始時と保護開始後では取扱いが異なります

ここも重要なポイントです。

保護開始時の要否判定では、通知で定められた費目を使って最低生活費を計算します。

一方、保護開始後は、その時点で実際に発生している必要な費用に基づいて、保護費の変更や保護の要否を判断します。

そのため、保護開始時の要否判定に含まれなかった費用でも、保護開始後に支給対象となる場合があります。厚生労働省


⑥ まとめ

今回の質問を簡単にまとめると、次のとおりです。

保護開始時の要否判定に用いる最低生活費とは、生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、葬祭扶助のうち、課長通知第10・問4で定められた費目を合計したものです。

ただし、敷金、契約更新料、住宅維持費、介護扶助の住宅改修費などは、保護開始時の要否判定に用いる最低生活費には含まれません。

実務上のポイントは、生活保護で支給できる費用のすべてを、保護開始時の要否判定に算入するわけではないということです。

根拠通知: 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第10・問4

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