(Q)保護受給中の者の収入が、保護開始時の要否判定に用いる最低生活費を上回り、保護廃止の検討が必要となった場合、最低生活費および収入は保護開始時と同様の取扱いで認定し、保護の要否を判定するのか。
(A)はい。この質問は、生活保護を受けている人の収入が増えて、生活保護を廃止するかどうか判断する場合、保護を申請したときと同じ方法で最低生活費と収入を計算するのかという質問です。
① 結論
原則として、保護廃止の要否を判定する場合も、保護開始時と同様に、最低生活費と収入を認定して判断します。
ただし、保護開始時の金額をそのまま使うという意味ではありません。
廃止を検討する時点の世帯状況や収入状況に基づいて、保護の要否を改めて判定するということです。
また、収入が最低生活費を上回ったからといって、必ず直ちに保護廃止となるわけではありません。
② 具体例
生活保護を受けているAさんが、就職して収入が増えた場合を考えます。
仮に、次のような状況だったとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 最低生活費 | 120,000円 |
| 給与収入 | 160,000円 |
| 勤労控除・必要経費(仮定) | 25,000円 |
| 収入認定額 | 135,000円 |
この場合、
160,000円 − 25,000円 = 135,000円
となります。
最低生活費12万円に対して、収入認定額が13万5,000円です。
したがって、収入が最低生活費を1万5,000円上回っています。
このような場合には、保護の廃止または停止を検討することになります。
ただし、上記の控除額は説明のための仮定であり、実際の勤労控除額は所定の基準によって計算します。
③ 保護開始時と同じ方法で計算するとは?
基本的には、次の2つを比較するということです。
① 最低生活費
その時点の世帯状況に応じて、生活扶助、住宅扶助、必要な加算などを算定します。
② 収入認定額
給与、年金、その他の収入について、必要経費や適用される控除などを考慮して算定します。
そして、
最低生活費 > 収入認定額
であれば、引き続き保護が必要かどうかを判断します。
一方、
最低生活費 ≦ 収入認定額
となる場合には、保護の停止または廃止を検討します。
なお、実際の判定では、医療扶助などを含め、その世帯に必要な扶助を適切に考慮する必要があります。
④ 収入が増えたら、すぐに保護廃止になりますか?
いいえ。必ずしも直ちに廃止になるわけではありません。
例えば、次のような違いがあります。
| 状況 | 考えられる取扱い |
|---|---|
| 一時的な残業で収入が増えた | 収入の継続性を確認する |
| 就職して安定した給与を得られるようになった | 保護廃止を検討する |
| 一時的に収入が最低生活費を上回った | 保護停止を検討する場合がある |
| 今後も継続して最低生活費を上回る見込みがある | 保護廃止を検討する |
つまり、収入が一時的に増えただけなのか、今後も安定して生活できるのかが重要になります。
⑤ 注意点
特に注意したいのは、保護開始時の要否判定と、保護受給中の保護費の計算は、目的が異なるという点です。
保護受給中に収入が増えた場合には、まず収入認定を行い、保護費の変更が必要かどうかを確認します。
そのうえで、保護が不要となる状況であれば、停止または廃止の判断を行います。
したがって、単に給与の額面が最低生活費を上回ったという理由だけで、保護を廃止することは適切ではありません。
⑥ まとめ
今回の質問を簡単にまとめると、次のとおりです。
生活保護受給中の者の収入が増加し、保護廃止を検討する場合には、原則として保護開始時と同様の考え方で最低生活費と収入を認定し、保護の要否を判定します。
ただし、判定に用いるのは現在の世帯状況や収入状況であり、収入の継続性なども確認して、保護停止または廃止を判断します。
重要なのは、「給与の額面が最低生活費を超えたか」ではなく、「必要な控除等を行った後の収入で、最低生活を維持できるか」という点です。
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