(Q)父の遺産を分ける際に、兄から「自分は父のために特別な貢献をした」として寄与分を主張されています。
そもそも寄与分とは何なのか、そして父が亡くなってから11年も経っている今でも、兄が寄与分を求めることは認められるのでしょうか?
(A)■ 寄与分とは何か?
寄与分(きよぶん)とは、
相続人の中に “被相続人(亡くなった方)の財産を増やしたり、維持するために特別な貢献をした人” がいた場合、その貢献度を評価して相続分を増やす制度 のことです(民法904条の2)。
具体例
寄与分として認められやすいのは次のようなケースです。
- 事業を手伝って財産形成に大きく貢献した
- 長期間にわたって無償で介護した
- 多額の金銭援助を提供した(返済不要の性質が明らかな場合)
単なる「家業の手伝い」「同居していた」「ちょっとした援助」だけでは認められにくいのが実務です。
■ 父が亡くなってから11年経っていても、寄与分を主張できるのか?
▼ 結論
基本的には、11年も経った後で寄与分を主張することは非常に難しい とされています。
しかし、法律上「寄与分の主張に明確な期限(時効)がある」とは定められていません。
▼ 実務的・裁判例の扱い
寄与分を主張するのは
遺産分割協議や遺産分割調停の場 です。
- 遺産分割をまだしていなければ、寄与分の主張自体は「可能」です。
- ただし 時間の経過とともに証拠(介護の記録や金銭の移動、家業の貢献)が乏しくなるため、認められにくい のが現実です。
11年の経過は、寄与分の立証を著しく困難にします。
■ どう対応すればよいか?
① 兄の「寄与分の具体的内容」を明確にさせる
- どのような行為を
- いつからいつまで
- どの程度行い
- それがどのように父の財産を増やしたのか
を具体的に説明してもらう必要があります。
② 証拠として成立するか確認する
- 介護記録
- 領収書・金銭の記録
- 父の事業における兄の役割
など、客観的資料があるかがポイントです。
「特別な寄与」であることを証明するのは兄の側の責任(立証責任)」 です。
③ 11年経過という事実は強い反論材料
- 証拠が残っていない
- 当時の状況が不明
- 遺産分割を長年放置した理由
これらを指摘することで、寄与分が認められにくくなります。
■ まとめ
あなたとしては、具体的内容と証拠を求め、11年という経過を踏まえて反論していくのが現実的。
寄与分とは「特別の貢献」をした相続人の取り分を増やす制度。
法律上の時効はないが、11年経過後の主張は証拠の不足により認められにくい。
寄与分を主張するのは兄の側で、具体的な証拠を提示する必要がある。