(Q1)入院患者が出身世帯員の税法上の扶養親族と認定されている場合、給与上の扶養手当や健康保険等で被扶養者と認定されていても、他の要件をすべて満たしていれば世帯分離は認められますか?(Q2)世帯分離を認める場合、出身世帯員から入院患者に対する扶養義務の履行について、どのような点に留意すべきですか?

(A1)はい、税法上の扶養親族になっていることや、健康保険の被扶養者になっていることだけを理由に世帯分離が認められないわけではありません。

わかりやすく言うと、

  • 所得税・住民税の扶養に入っている
  • 会社の扶養手当の対象になっている
  • 健康保険の被扶養者になっている

という事実は、あくまで税金や社会保険上の取扱いです。

一方、生活保護における「世帯分離」は、

  • 実際に生計が別になっているか
  • 長期入院しているか
  • 生活費を一緒に管理していないか
  • 世帯として扱うことが適当か

などの事情を総合的に判断します。

そのため、

入院患者が家族の税法上の扶養親族であり、給与上の扶養手当や健康保険の被扶養者になっていても、生活保護上の世帯分離の要件を満たしていれば世帯分離は認められます。

というのが基本的な考え方です。

具体例

例えば、

  • 80歳の母親が長期入院中
  • 息子の健康保険の被扶養者
  • 息子の税法上の扶養親族

であっても、

  • 入院が長期に及ぶ
  • 母親自身について生活保護を適用する必要がある
  • 世帯分離の基準に該当する

場合には、生活保護上は母親を別世帯として取り扱うことがあります。

実務上のポイント

福祉事務所は、

「健康保険の扶養に入っているから世帯分離できません」

ではなく、

「実際に扶養能力があるのか」
「継続的な仕送りや生活費負担があるのか」

を確認します。

したがって、扶養親族や被扶養者であることは判断材料の一つですが、それだけで世帯分離が否定されるものではありません。

行政書士として福祉事務所に説明する場合は、

「税法上・健康保険上の扶養関係の有無と、生活保護上の世帯分離の可否は別問題であり、世帯分離の要件に基づいて判断されるべきである」

という整理で説明するとよいでしょう。

(A2)この質問は、生活保護の入院患者について「世帯分離」を認めた場合に、家族(出身世帯)からの援助をどう考えるかという趣旨です。

わかりやすく言うと、

「世帯分離をしたからといって、家族の扶養義務がなくなるわけではありません。」

ということです。

具体例

例えば、

  • 父(入院中)
  • 長男(同居していたが生活保護受給中)

という世帯があったとします。

父が長期入院し、生活保護上「世帯分離」が認められた場合でも、

福祉事務所は

  • 長男に父を援助できるか
  • 仕送りが可能か
  • 日用品を提供できるか

などを確認します。

留意点

福祉事務所は次のような点を確認します。

① 扶養能力があるか

  • 出身世帯員に収入があるか
  • 生活に余裕があるか

② 実際に援助しているか

  • 現金援助
  • 食品や衣類の差し入れ
  • 入院時の身の回りの世話

③ 扶養を強制できないこと

  • 扶養義務はあるが強制はできない
  • 援助できない事情があれば無理に求めない

生活保護実務上

生活保護法では扶養は保護に優先しますが、

近年の運用では、

  • 扶養照会は慎重に行う
  • 援助可能な範囲で協力を求める
  • 援助がなければ保護を受けられないわけではない

とされています。

一言でまとめると

世帯分離が認められても、家族から入院患者への扶養義務は残るため、福祉事務所は援助の可能性を確認します。ただし、援助は強制できず、実際に扶養が受けられない場合は生活保護で対応します。

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