(Q1)大学在学者に対して、どのような場合に保護が認められますか?また、その際の手続きや指導内容はどのようなものですか?(Q2)出身世帯がある大学生の場合、医療費等の要否判定はどのように行われますか?
(A1)原則として、大学生は生活保護を受けることができません。
これは、生活保護制度が「働くことができる人は能力を活用すること」を前提としており、大学在学は義務教育ではなく、自ら選択した教育課程と考えられているためです。
ただし、次のような例外的な場合には保護が認められることがあります。
① 世帯が生活保護を受給しており、その子どもが大学に進学した場合
近年の運用見直しにより、一定の条件を満たせば、大学に進学しても世帯の保護を継続できる場合があります。
例
- 生活保護受給世帯の子が大学へ進学した
- 自宅から通学している
- 奨学金等を活用している
- 学業を継続する意思がある
② 病気や障害等で就労が困難な場合
大学生本人が重い病気や障害により就労できず、他に援助してくれる親族もいない場合には、個別の事情を考慮して保護が検討されることがあります。
③ 世帯全体の保護が必要な場合
大学生本人ではなく、その属する世帯(親など)が保護を受けているケースでは、世帯の状況に応じて保護が継続されることがあります。
手続き
- 福祉事務所へ生活保護申請
- 在学証明書や学生証の提出
- 奨学金の有無や金額の確認
- 世帯収入や資産の調査
- 親族への扶養照会(必要に応じて)
- 福祉事務所による保護の可否判断
保護が認められた場合の指導内容
福祉事務所から次のような指導が行われます。
- 奨学金や授業料減免制度を活用すること
- アルバイト等で収入を得られる場合は能力活用を行うこと
- 学業継続状況を報告すること
- 休学・退学・就職した場合は速やかに届出すること
- 収入や仕送りがあれば申告すること
行政書士として相談を受ける際のポイント
「大学生だから生活保護は絶対に受けられない」というわけではありませんが、単身の大学生が生活費を理由に生活保護を受けながら大学に通うことは非常に難しいのが実務です。
一方で、
- 生活保護世帯の子どもの大学進学
- 病気や障害がある学生
- 親からの援助が受けられない学生
などは個別事情によって判断されるため、福祉事務所へ事情を丁寧に説明することが重要です。
なお、厚生労働省の運用では、生活保護世帯の子どもの大学進学支援が拡充されており、従来より大学進学が認められやすくなっています。実際の可否は福祉事務所が個別事情を総合的に判断します。
(A2)はい。これは生活保護の「大学生の医療費(医療扶助)」に関する質問です。
出身世帯(親の世帯)が生活保護を受けている大学生の場合、医療費等の要否判定は原則として「出身世帯の状況」で判断されます。
わかりやすく言うと、
- 大学生本人が親元を離れて一人暮らしをしていても
- 大学進学を理由に世帯分離されていても
医療費については、大学生本人だけの収入や資産ではなく、出身世帯(親の生活保護世帯)の保護の要否に基づいて判断されます。
具体例
例1
- 母と高校生の弟が生活保護受給中
- 長男(大学生)は県外の大学へ進学
この場合、長男は生活保護世帯員ではありませんが、出身世帯が保護を受けているため、一定の場合に医療扶助の対象となります。
例2
- 親世帯が生活保護を廃止された
- 大学生本人は収入が少ない
この場合は、出身世帯が保護世帯ではなくなったため、大学生の医療扶助も継続できないことがあります。
なぜこうなるのか
大学生は原則として生活保護の世帯員になれませんが、進学によって不利益を受けないよう、
- 医療扶助
- 介護扶助
- 一部の支援
については、出身世帯との関係を考慮して取り扱うことになっているためです。
一言で説明するなら
「大学生本人だけで判断するのではなく、親の生活保護世帯(出身世帯)の状況を基準に医療費の必要性を判定します。」
福祉事務所向けに説明する場合は、
「出身世帯が保護受給中である大学生については、医療扶助等の要否判定は大学生個人ではなく、出身世帯を基礎として行われます。」
と説明すると分かりやすいでしょう。
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