(Q)最近母が亡くなり、相続人は 兄・妹・私の3人 です。
遺産には、

  • 預貯金:1,000万円
  • 不動産:2,000万円(相続時の評価額)

があります。

母は「全部を兄に相続させる」という遺言を残していました。
また、母は生前に

  • 兄へ:自宅建築費として 1,000万円の贈与(死亡5年前)
  • 私へ:営業資金として 600万円の贈与(死亡8年前)

をしています。

さらに母には 1,000万円の借金 がありました。

この状況で、私は 遺留分をいくら請求できるのかを確認したいです。

また、父が先に亡くなった際の相続について、
母が持っていた相続分を他の人が 無償で譲り受けていた場合
そのことは遺留分の金額を計算する際に影響するのかどうかも知りたいです。

(A)■① 遺留分計算の前提となる財産評価

|相続財産|
・預貯金:1,000万円
・不動産:2,000万円
合計:3,000万円

|生前贈与|
遺留分算定に加算
・兄への贈与:1,000万円(死亡5年前 → 加算対象)
・あなたへの贈与:600万円(死亡8年前 → 原則加算対象外)

→遺留分算定基礎財産
3,000万円 + 1,000万円 = 4,000万円

|債務|
・借金:▲1,000万円(控除)

→最終的な遺留分算定額
4,000万円 − 1,000万円 = 3,000万円


■② 遺留分割合の算定

相続人:兄・妹・あなた → 直系卑属(子)
子の遺留分割合:法定相続分の 1/2

あなたの法定相続分:3人均等 → 1/3

よって
3,000万円 × 1/3 × 1/2
500万円(あなたの遺留分額)


■③ 実際の取得額との比較(侵害額)

あなたの実際の取得:0円

→遺留分侵害額
500万円 → 兄に請求可能
(遺留分侵害額請求)

※請求期限:相続開始及び遺留分侵害を知ってから 1年以内


■④あなたへの生前贈与600万円について

・死亡8年前の贈与 → 原則遺留分算定に 含めない
(民法1044条:相続開始前10年以内の贈与が対象。ただし「相続人への贈与」は例外として期間制限無し。ただし実務上、「特別受益」「贈与の性質」により判断。)

→ただし、兄から
「あなたは600万円もらっていたじゃないか」
と主張される可能性あり

その場合は贈与の目的・必要性(生活/事業の立て直し等)を説明し、特別受益に当たらない主張が重要


■⑤父の相続分の無償譲受がある場合について

質問のケース
「母が父の相続分を無償で誰かへ譲った」

→これは
父の相続とは別の法律関係であり
母固有の相続財産の減少があったとしても
本件(母の相続の遺留分) 計算には通常影響しません

例外:
その無償譲受が実質的に母からの贈与と評価され、
かつ「相続人に対して」「特別受益と認められる」場合のみ
≫ 遺留分算定に加算対象となり得る


■⑥結論まとめ

項目金額
遺留分算定基礎財産4,000万円
▲ 債務控除1,000万円
遺留分算定額3,000万円
あなたの遺留分500万円
請求できる相手
父相続での無償譲受通常は影響なし

あなたは兄に対して 500万円の遺留分侵害額を請求可能