(Q1)本県では地形上、四季を問わず登山者が多く、遭難者も少なくありません。遭難者について、身元が判明した場合は問題ありませんが、身元が分からず引取人も現れない重傷者で治療を要する場合、医療扶助を適用しても差し支えないでしょうか?(Q2)また、身元の判明しない死亡者については地元市町村で葬祭を行っていますが、その費用についてはどのように取り扱えばよいでしょうか?
(A1)医療扶助を適用して差し支えありません。
身元不明で申請できる人や引取人がいなくても、重傷で直ちに治療が必要な状態であれば、生活保護法上の**「急迫した状況」**として、福祉事務所が職権で保護を開始し、必要な医療扶助を行うことができます。生活保護法は、急迫した場合には申請がなくても必要な保護を行えるとしています。
対応としては、治療を優先したうえで、警察・消防・医療機関などと連携して、
- 身元や住所の確認
- 健康保険など他制度の利用可否
- 資産や収入の有無
- 親族や引取人の捜索
を進めます。身元不明のまま生活保護を適用することも想定されています。
後日、本人の身元や健康保険、資力などが判明した場合は、その内容に応じて保護の変更・停止や、支給済み医療費の返還・徴収について検討します。
つまり、身元確認を待って治療を遅らせるのではなく、生命・身体の安全を優先して医療扶助を適用し、その後に必要な調査を行います。
(A2)身元が分からず、遺体の引取人もいない死亡者は、原則として**「行旅死亡人」**として取り扱います。死亡地の市町村が、行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づいて、遺体の火葬・埋葬などを行います。
その費用は、次の順序で処理します。
- 死亡者が所持していた現金や遺留品を費用に充てる
- 後から相続人や扶養義務者などが判明した場合は、費用負担を求める
- それでも不足する場合は、行旅死亡人に関する法令に基づき、公費で処理する
したがって、単に生活保護の葬祭扶助として処理するのではなく、まず行旅死亡人として取り扱うのが原則です。
ただし、身元不明者でも、実際に葬祭を行う人がいて、その人が費用を負担できないなど生活保護法第18条第2項の要件を満たす場合には、葬祭扶助を適用できることがあります。葬祭扶助は葬祭を行う者に対して支給されます。
要するに、引取人も葬祭を行う人もいない場合は「行旅死亡人」として市町村が処理し、葬祭を行う人がいる場合は葬祭扶助の適用を検討します。
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