(Q1)妊娠の認定や妊娠月数の認定は、保健師の診断によって行うことができますか?(参考:文書では「保健師の業務とは認められていない」と記載されています)(Q2)妊娠の認定や妊娠月数の認定を受ける場合、どのような手続きが必要ですか?(参考:文書では「すみやかに母子健康手帳の交付を受けるよう指導し、実施機関の指定する医師または助産師の診断を受けさせる」と記載されています)
(A1)いいえ。妊婦であることや妊娠月数を、保健師の診断だけで認定することはできません。
生活保護の妊産婦加算では、妊娠の認定・妊娠月数の確認は、次のいずれかによって行います。
- 母子健康手帳
- 福祉事務所が指定する医師の診断
- 福祉事務所が指定する助産師の診断
厚生労働省の生活保護実施要領にも、認定方法は「母子健康手帳又は保護の実施機関の指定する医師若しくは助産師の診断」と定められており、保健師は含まれていません。
保健師は何もできないのか
保健師は、妊婦への相談・保健指導、受診勧奨、母子健康手帳の確認、医療機関との連絡などは行えます。しかし、妊娠の事実や妊娠月数を医学的に診断する立場ではありません。
そのため、保健師が面談などによって「妊娠していると思われる」「妊娠○か月と聞いている」と確認しても、それだけを根拠として正式な認定をすることはできません。
実務上の対応
保健師から妊娠について情報提供があった場合は、本人に妊娠の届出を求めたうえで、
- 母子健康手帳を確認する
- 母子健康手帳がない場合は、指定医師または指定助産師の診断を受けてもらう
という手続を取ります。
なお、産婦が専ら母乳で育児しているかどうかの判断については、保健師の「意見」を聞くことが認められています。しかし、これは妊娠の診断とは別の取扱いです。
したがって、文書にある「保健師の業務とは認められていない」という記載は、保健師には妊娠や妊娠月数を診断する権限がないため、保健師の診断だけでは妊産婦加算の認定根拠にできないという意味です。
(A2)妊娠の認定や妊娠月数の認定を受ける場合は、本人が福祉事務所に妊娠したことを届け出て、母子健康手帳などで確認を受けるという手続になります。
基本的な手続の流れ
① 福祉事務所へ妊娠の届出をする
生活保護の妊産婦加算は自動的に付くものではなく、原則として、本人から福祉事務所への届出に基づいて計上されます。ケースワーカーに、妊娠したことや出産予定日などを伝えます。
② 市区町村で母子健康手帳の交付を受ける
まだ母子健康手帳を持っていない場合は、市区町村の母子保健担当窓口へ妊娠届を提出し、速やかに母子健康手帳の交付を受けます。母子保健法では、妊娠した人は速やかに市町村へ妊娠を届け出るよう定められ、市町村は届出をした人に母子健康手帳を交付することになっています。
③ 母子健康手帳を福祉事務所に提示する
母子健康手帳に記載された妊娠週数、妊娠月数、出産予定日などを福祉事務所が確認します。これにより、妊婦であることと妊娠月数を認定できます。
母子健康手帳で確認できない場合
母子健康手帳がまだ交付されていない、記載内容だけでは妊娠月数を確認できないなどの場合には、福祉事務所の指示に従って、福祉事務所が指定する医師または助産師の診断を受けます。
生活保護実施要領では、妊婦であることと妊娠月数について、次のいずれかで認定するとされています。
- 母子健康手帳
- 保護の実施機関が指定する医師の診断
- 保護の実施機関が指定する助産師の診断
したがって、通常は母子健康手帳で確認し、手帳による確認ができない場合などに指定医師・指定助産師の診断を受けるという取扱いです。
注意点
自分で医療機関を選んで診断書を取得する前に、まずケースワーカーへ相談することが重要です。「実施機関の指定する医師または助産師」とされているため、福祉事務所から受診先や必要書類について指示を受けます。
また、保健師は相談、母子健康手帳の交付案内、受診勧奨などはできますが、保健師の判断だけで妊娠や妊娠月数を正式に認定することはできません。
まとめると、次の流れです。
福祉事務所へ届出 → 母子健康手帳の交付を受ける → 手帳を提示する → 必要な場合は指定医師・指定助産師の診断を受ける → 福祉事務所が妊産婦加算を決定する
なお、「母子健康手帳の交付を受けさせ、指定医師または助産師の診断を受けさせる」という記載は、必ず両方を重ねて要求するというより、母子健康手帳による確認を基本とし、必要に応じて診断を受けさせる趣旨と考えるのが適切です。
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