(Q1)いわゆる家族介護料の対象となっている障害者が入院した場合、世帯員が引き続き介護にあたっている場合でも、この介護料は認定されますか?(Q2)日常生活のすべてについて介護を必要とする場合の介護料の認定基準はどのようになっていますか?
(A1)入院中は、原則として家族介護料は認定されません。
世帯員が病院へ通い、実際に介護を続けている場合でも、生活保護の取扱いでは、入院中の介護・看護は基本的に医療機関が行うべきものと考えられるためです。
厚生労働省の「生活保護問答集」の問7-23では、次のように示されています。
重度障害者が入院した場合であっても、一般の入院患者と同様、医療機関における看護によって対応すべきものであるので、この介護料は認定できない。
したがって、家族が食事介助、見守り、身の回りの世話などを続けていても、入院期間中の家族介護料をそのまま継続して支給することはできないという扱いになります。
ただし、入院期間が短く、生活扶助を入院患者日用品費へ変更しない場合には、月単位の生活扶助の変更時期との関係で、結果として入院した月の加算がすぐには変更されないことがあります。これは「入院中も家族介護料が認められた」という意味ではなく、生活扶助の変更処理上の取扱いです。生活保護受給中の人の入院期間が1か月未満の場合は、一般生活費や各種加算の変更を要しない取扱いが示されています。
つまり、分かりやすく整理すると、
長期入院して入院患者として生活扶助を算定する場合
→ 家族介護料は停止されます。
短期間の入院で、居宅の生活扶助を変更しない場合
→ 支給処理上、その月は変更されないことがあります。
退院して再び自宅で生活し、世帯員が日常生活のすべてについて介護する状態に戻った場合は、本人の状態や介護実態を確認したうえで、退院後から家族介護料を再認定してもらうことが可能です。入院日と退院日は、速やかにケースワーカーへ届け出る必要があります。
(A2)「日常生活のすべてについて介護を必要とする場合」に認定される介護料は、生活保護の家族介護料です。
結論
家族介護料は、次の要件をすべて満たす場合に認定されます。
- 障害の程度が重いこと
- その障害により、日常生活のほぼ全面にわたって介護が必要であること
- 同一世帯の家族が、実際に日常的な介護を行っていること
- 原則として居宅で生活していること
単に家事の一部ができない、外出時だけ介助が必要という程度では、通常は「日常生活のすべてについて介護を必要とする」とは認められません。
1.対象となる障害の程度
まず、生活保護の障害者加算のうち、重い区分に該当する必要があります。具体的には、おおむね次のいずれかです。
- 身体障害者手帳1級または2級に相当する障害
- 障害基礎年金・障害年金の1級に相当する障害
制度上は、生活保護基準の障害者加算の「重い区分」に該当する人であることが前提です。
ただし、手帳の等級だけで家族介護料が自動的に認められるわけではありません。実際にどの程度介護が必要かが別に確認されます。
2.「日常生活のすべてについて介護」とは
明確な点数表が示されているわけではなく、本人の日常生活動作を総合的に判断します。
例えば、次のような基本動作の多くについて、継続的な介助が必要な状態です。
- 起き上がり、寝返り
- ベッドや椅子への移乗
- 室内の移動
- 食事
- 着替え
- 洗面、整容
- 入浴
- 排せつ
- 服薬管理
- 安全確保や常時の見守り
家族が単に掃除や買物、調理をしているだけでは足りず、本人の身体に直接関わる介助を含め、生活全般について家族の介護がなければ日常生活を維持することが難しい状態が想定されています。
ただし、「すべて」という言葉は、一つの動作も全くできないという意味に限定されません。本人が一部の動作を自分でできても、日常生活全体として常時または全面的な介護が必要であれば、対象となる可能性があります。
3.同一世帯の家族が実際に介護していること
介護を行う人は、原則として、本人と同一世帯に属する家族・世帯員である必要があります。
例えば、
- 配偶者
- 親
- 子
- 兄弟姉妹
- 同一世帯として認定されている親族
などが、実際に介護している場合です。
住民票が同じだけでは足りず、誰が、いつ、どの動作を介助しているかという実態が確認されます。
生活保護基準では、重い障害があり、日常生活のすべてについて介護を必要とする人を、同一世帯の者が介護する場合に家族介護料を算定すると定めています。
4.認定の際に確認されるもの
福祉事務所は、一般的に次の資料や状況を確認します。
- 身体障害者手帳
- 障害年金証書
- 医師の診断書、意見書
- 本人の日常生活動作の状況
- 家族の介護内容
- 家族が介護する時間帯や頻度
- ヘルパーなど障害福祉サービスの利用状況
- 入院・施設入所の有無
手帳や年金証書がない場合でも、福祉事務所が指定する医師の診断書などにより、障害の程度を確認して認定することがあります。
5.介護サービスを利用している場合
居宅介護、重度訪問介護、訪問介護などを利用しているからといって、直ちに家族介護料が認められないわけではありません。
ただし、福祉事務所は、
- 公的サービスで介護の大部分が賄われているか
- 家族が実際にどの程度介護しているか
- 家族による日常生活全般の介護が必要か
を確認します。
家族がほとんど介護しておらず、支援の大部分をヘルパーが行っている場合は、家族介護料の対象にならない可能性があります。
6.認定されにくい例
次のような場合は、一般的には家族介護料の認定が難しくなります。
- 調理、掃除、買物だけを家族が行っている
- 外出時にだけ介助が必要
- 入浴だけ介助が必要
- 義手や補装具を使用すれば、おおむね身の回りのことができる
- 声掛けや軽い見守りだけで生活できる
- 家族と同居しているが、実際には家族が介護していない
7.今回の義手訓練後のケース
腕の障害があるというだけでは、家族介護料が必ず認定されるわけではありません。
例えば、義手を使用しても、
- 一人で起き上がれない
- 食事を自力で取れない
- 着替えができない
- 排せつや入浴に全面的な介助が必要
- 室内移動にも介助が必要
など、日常生活全体で家族の介護を必要とする場合は、対象となる可能性があります。
一方、片手で食事や移動、排せつなどがおおむねでき、家族の支援が調理や買物などに限られる場合は、家族介護料の基準を満たさない可能性が高いです。
まとめ
家族介護料の基準は、簡単にいうと、
重度の障害があり、食事・排せつ・着替え・入浴・移動などの日常生活全般について継続的な介護が必要で、その介護を同一世帯の家族が実際に行っていること
です。
認定を希望する場合は、医師や病院のリハビリ担当者に、単に「介護が必要」と書いてもらうのではなく、どの動作について、どの程度の介助が必要なのかを具体的に記載してもらうことが重要です。
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