(Q1)就労継続支援A型事業所が年度途中に新規指定された場合、基本報酬の算定はどのように行われますか?(Q2)就労継続支援A型サービス費の算定方法について、具体的な手順や基準はどのようになっていますか?
(A1)結論
就労継続支援A型事業所が年度途中に新規指定された場合は、前年度の実績に基づくスコアを算出できません。
そのため、初年度と2年度目は、スコアの合計が「80点以上105点未満」であるとみなして、基本報酬を算定します。
具体例
たとえば、令和8年10月1日に新規指定された場合は、次のようになります。
- 令和8年度
指定された初年度なので、「80点以上105点未満」の報酬区分で算定 - 令和9年度
前年度が6か月間しかなく、通常のスコア評価に必要な実績が十分でないため、引き続き「80点以上105点未満」の報酬区分で算定 - 令和10年度
令和9年度の実績をもとにスコアを算出し、その点数に対応する基本報酬を算定
なぜ2年度目まで同じ区分なのか
年度途中に指定された事業所は、初年度が1年間に満たないため、通常の前年度実績による評価ができません。
そのため、事業所の実績がまだないことを理由に、極端に低い報酬区分になることを避けるための取扱いです。
基本報酬の最終的な決まり方
実際の基本報酬の単位数は、みなしスコアだけでなく、次の条件も組み合わせて決まります。
- スコア区分:80点以上105点未満
- 職業指導員・生活支援員の人員配置区分
- 事業所の利用定員
つまり、すべての新規事業所が同じ単位数になるわけではありません。
スコア表の公表
年度途中に新規指定された事業所は、初年度と2年度目については実績によるスコアを算出できないため、原則としてスコアの公表は不要とされています。
ただし、基本報酬の算定区分などについては、指定権者への必要な届出を行います。
まとめ
年度途中に新規指定された就労継続支援A型事業所は、
初年度と2年度目について、評価点が80点以上105点未満であるとみなして基本報酬を算定する
という取扱いです。
3年度目からは、原則として前年度までの実際の運営実績を使ってスコアを算出し、そのスコア区分に応じた基本報酬へ切り替わります。
(A2)結論
就労継続支援A型サービス費の基本報酬は、次の順番で決めます。
①事業所のスコアを計算する
②人員配置区分を確認する
③利用定員を確認する
④対応する1人1日当たりの単位数を選ぶ
⑤必要な加算・減算を反映する
現在の基本報酬は、事業所の運営実績を評価するスコア方式を中心に算定されます。
① 前年度の実績からスコアを計算する
原則として、当年度の報酬は前年度の実績を使って計算します。
スコアでは、主に次の項目を評価します。
労働時間
利用者1人当たりの1日の平均労働時間を評価します。
一般的には、平均労働時間が長いほど評価点が高くなります。ただし、単純な開所時間や利用時間ではなく、利用者が雇用契約に基づいて実際に働いた時間を基礎にします。令和6年度改定では、平均労働時間の実態がより報酬に反映されるよう見直されました。
生産活動
事業所が行う仕事の収入から、その仕事に必要な経費を差し引いた額と、利用者に支払った賃金総額との関係を評価します。
簡単にいうと、
仕事による収入で、利用者の賃金をどの程度賄えているか
を見る項目です。
生産活動収支が良好な事業所ほど高い評価になります。
多様な働き方
利用者の障害特性や体調に応じて、柔軟に働ける制度が整っているかを評価します。
例えば、
- 短時間勤務
- 時差出勤
- 有給休暇や傷病休暇
- 資格取得の支援
- 在宅勤務などに関する制度
といった内容を就業規則等に定めているかを確認します。対象となる8項目の整備状況に応じて、15点、5点または0点となります。
支援力向上
職員の支援技術や専門性を高める取組を評価します。
例えば、
- 外部研修への参加
- 研修講師の受入れ
- 先進的な事業所の視察
- 第三者評価の受審
- 職員による事例発表
などが対象になります。
地域連携活動
地域の企業、自治体、住民などと連携して、生産活動や就労支援を行っているかを評価します。
実施内容については、報告書を作成して公表することが必要になる場合があります。
経営改善計画
生産活動収支が基準を満たしておらず、経営改善計画の作成を求められているにもかかわらず、必要な計画を作成していない場合などには、評価点がマイナスになることがあります。
利用者の知識・能力向上
利用者の一般就労や職業能力の向上につながる取組を行い、その内容を公表しているかなどを評価します。
② 合計点を7つのスコア区分に当てはめる
各項目の点数を合計し、次の7区分のどこに該当するかを確認します。
| スコアの合計 | 報酬区分 |
|---|---|
| 170点以上 | 最も高い区分 |
| 150点以上170点未満 | 2番目の区分 |
| 130点以上150点未満 | 3番目の区分 |
| 105点以上130点未満 | 4番目の区分 |
| 80点以上105点未満 | 5番目の区分 |
| 60点以上80点未満 | 6番目の区分 |
| 60点未満 | 最も低い区分 |
スコアが高いほど、基本報酬の単位数も高くなります。
③ 職員の人員配置区分を確認する
次に、職業指導員と生活支援員をどの程度配置しているかを確認します。
代表的な区分は、
- 利用者7.5人に対して職員1人以上
- 利用者10人に対して職員1人以上
です。
職員を手厚く配置している区分のほうが、基本報酬は高く設定されています。
なお、サービス管理責任者などを含め、必要な人員基準を満たしていない場合は、人員欠如減算の対象になる可能性があります。
④ 利用定員を確認する
同じスコア・人員配置でも、事業所の定員によって単位数が異なります。
例えば、
- 定員20人以下
- 定員21人以上40人以下
- 定員41人以上60人以下
- 定員61人以上80人以下
- 定員81人以上
などの区分があります。
一般的には、小規模な事業所ほど1人当たりの基本報酬が高く設定されています。
⑤ 対応する基本報酬を選ぶ
例えば、次の事業所を想定します。
- スコア:120点
- 人員配置:7.5対1
- 利用定員:20人以下
まず、120点は「105点以上130点未満」に当たります。
そのうえで、
7.5対1の人員配置 × 定員20人以下 × 105点以上130点未満
に対応する単位数を報酬算定構造表から選びます。
現在の算定構造では、この組合せの基本報酬は1人1日当たり666単位です。
利用者10人が1日利用した場合の基本部分は、概念的には次のようになります。
666単位 × 10人 = 6,660単位
実際の請求では、これに地域区分に応じた単価や加算・減算を反映します。
⑥ 加算を加える
要件を満たす場合は、基本報酬に各種加算を加えます。
例えば、
- 初期加算
- 欠席時対応加算
- 福祉専門職員配置等加算
- 重度者支援体制加算
- 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算
- 就労移行支援体制加算
- 福祉・介護職員等処遇改善加算
などがあります。
加算は、単に対象者が在籍しているだけではなく、それぞれの人員配置、支援実績、届出などの要件を満たす必要があります。
⑦ 減算を確認する
次のような場合は、基本報酬等が減額される可能性があります。
- 利用定員を超えて受け入れている
- 職業指導員・生活支援員が不足している
- サービス管理責任者が不足している
- 個別支援計画が適切に作成されていない
- 身体拘束廃止に必要な措置を行っていない
- 虐待防止措置を行っていない
- 業務継続計画を策定していない
- 障害福祉サービス等情報公表制度の報告をしていない
加算の確認より先に、減算に該当していないかを確認することが実務上重要です。
年度途中に新規指定された場合
年度途中に新規指定された事業所は、通常の前年度実績がありません。
そのため、一定期間は所定の「みなしスコア」で算定し、その後、実際の運営実績を使ったスコアへ移行します。新規指定後の年度ごとの取扱いは、指定年月日によって異なるため、指定権者への届出時に確認する必要があります。
まとめ
就労継続支援A型サービス費は、簡単にいうと次の式で考えます。
基本報酬
= スコア区分 × 人員配置区分 × 利用定員区分
その後に、
基本報酬 + 算定できる加算 − 該当する減算
として、1か月分の請求単位を計算します。
特に重要なのは、毎年度、前年度実績からスコアを正しく計算し、スコア表や必要な実績報告を作成・公表したうえで、指定権者へ適切に届け出ることです。
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