(Q1)長期入院や入所後の退院・退所時において、冷蔵庫や電子レンジなどの家電製品を保有していない場合、これらの物品は家具什器費の支給対象となりますか?(Q2)保護開始時において、保護受給中に保有が容認される物品を持っていない場合、それらの物品は家具什器費の支給対象品目として認められますか?
(A1)結論
一定の条件を満たせば、冷蔵庫や電子レンジなども家具什器費の対象になる可能性があります。
ただし、長期入院・入所から退院・退所した人なら、誰でも自動的に支給されるわけではありません。
対象となる基本条件
次の条件を満たすことが必要です。
- 単身の生活保護世帯であること
- 長期入院・入所後に退院・退所し、新たに一人暮らしを始めること
- 最低生活に直接必要な家具や家電を持っていないこと
- 親族からの援助、施設からの持ち出し、備え付け設備など、ほかの方法でも確保できないこと
厚生労働省の実施要領では、単身者が長期入院・入所後に新たに単身生活を始め、最低生活に必要な家具什器を持っていない場合を、家具什器費の対象として定めています。
冷蔵庫は対象になるか
冷蔵庫は、食料の保存や自炊に必要であり、最低生活に直接必要と判断されれば対象になり得ます。
実際に厚生労働省の資料でも、家具什器費で支給された主な物品として、冷蔵庫、炊飯器、コンロなどが挙げられています。
例えば、次のような事情が考慮されます。
- 住居に冷蔵庫が備え付けられていない
- 本人が冷蔵庫を全く所有していない
- 自炊により生活する予定である
- 薬や食品の保存など、健康管理上も必要である
電子レンジは対象になるか
電子レンジも絶対に対象外ではありませんが、冷蔵庫よりも個別判断になりやすい物品です。
例えば、
- 障害や病気により、通常の調理が困難である
- 配食や冷凍食品を温めることが、現実的な食事方法になっている
- ガスコンロなど他の調理設備がない
- 電子レンジがなければ食生活の維持に大きな支障がある
といった場合には、最低生活に直接必要な物として認められる可能性があります。
一方、コンロや炊飯器などで通常の食事を準備でき、電子レンジが単なる便利品と判断される場合は、対象にならないこともあります。
支給額の考え方
家具什器費は、必要な家電ごとに別々の上限額が支給される制度ではありません。
冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、食器、調理器具などを含めて、原則として合計36,700円以内で必要額が認定されます。真にやむを得ない事情があり、この金額では最低限の物品をそろえられない場合は、58,400円以内まで認められることがあります。
新品に限らず、使用可能な中古品や低価格品を前提に、必要最小限の金額が判断されます。
まとめ
- 冷蔵庫
最低限の食生活に必要と判断されれば、対象になりやすいです。 - 電子レンジ
病気・障害・調理能力・住宅設備などから、生活に直接必要であれば対象になり得ます。 - 共通条件
長期入院・入所後、新たに単身生活を始め、家具家電を持っていないことが基本です。
つまり、家電製品だから対象外なのではなく、その人の退院後の最低生活に本当に必要かどうかで判断されます。
(A2)結論
保護受給中に保有が認められる物品だからといって、保護開始時に持っていない物をすべて家具什器費で購入できるわけではありません。
家具什器費の対象となるのは、その中でも、現在の世帯状況から見て「最低生活に直接必要」であり、実際に持ち合わせがない家具什器に限られます。
厚生労働省の実施要領では、保護開始時に「最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき」は、必要性を判断したうえで家具什器費を支給できるとされています。
「保有が認められる物品」と「支給される物品」の違い
この2つは意味が異なります。
- 保有が認められる物品
すでに持っている場合に、売却や処分を求めず、そのまま持つことが認められる物です。 - 家具什器費で支給される物品
持っていない場合に、最低生活を維持するため、福祉事務所が購入の必要性を認めた物です。
したがって、「持っていてよい」ことと「保護費で新たに買ってもらえる」ことは同じではありません。
対象になりやすい物品
世帯の状況によりますが、例えば次のようなものです。
- 鍋、フライパンなどの炊事用具
- 最低限の食器
- 炊飯器やコンロ
- 食品保存のために必要な冷蔵庫
- 最低限必要な照明器具
- その他、日常生活に直接欠かせない家具や家電
ただし、住居に備え付けられている場合や、他の物で代用できる場合は対象にならないことがあります。
対象にならない可能性が高い物品
保有自体は認められる場合でも、次のような物は、通常は家具什器費の対象になりにくいです。
- テレビ
- カメラ
- ステレオなどの音響機器
- 趣味や娯楽を主な目的とする物
- 高額・高機能な家電
- 最低生活に直接必要とはいえない便利品
厚生労働省の取扱いでは、テレビ、カメラ、楽器、ステレオなどは、家具什器ではなく「その他の物品」として整理されています。
福祉事務所が確認すること
認定に当たっては、主に次の事情が調査されます。
- 本当にその物品を持っていないか
- 世帯人数や世帯構成から必要か
- 病気や障害など特別な事情があるか
- 住居に備え付けられていないか
- 親族からの援助や譲渡を受けられないか
- 中古品や他の物で代用できないか
- 地域の低所得世帯との均衡を失わないか
家具や生活用品の保有についても、世帯人員・構成などから利用の必要がある品目と数量に限って認めることとされています。
具体例
保護開始時に、冷蔵庫・炊飯器・テレビを持っていない場合を考えます。
- 冷蔵庫
食品保存や自炊に必要と認められれば、対象になる可能性があります。 - 炊飯器
自炊のために必要で、他の調理器具で代用できなければ、対象になる可能性があります。 - テレビ
保有は認められる場合がありますが、最低生活に直接必要な家具什器として、新たな購入費が支給されるとは限りません。
まとめ
保有が認められる物品のすべてが、家具什器費の支給対象になるわけではありません。
保護開始時に、
- その物品を持っておらず
- 最低生活に直接必要で
- 他の方法で確保できない
と福祉事務所が認めた物品だけが、必要最小限の範囲で家具什器費の対象になります。
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