(Q)保護受給中の者が要保護世帯向け不動産担保型生活資金の貸付を利用した場合、貸付日以前に支給された保護費はどのように取り扱われますか?

(A)はい。保護受給中の方が「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」を利用することになった場合でも、原則として、貸付日より前に支給された生活保護費をさかのぼって返還する必要はありません。 厚生労働省の実施要領取扱いで、この点が明確に示されています。

理由は、この貸付制度を利用できるかどうかは、最終的に社会福祉協議会の審査によって決まるためです。貸付契約が成立するまでは、その不動産が実際に生活資金として活用できる資産かどうか確定していません。そこで、貸付契約が成立した時点で初めて「具体的に活用可能な資産になった」と考える取扱いになっています。

そして、資力が発生した日については、**「初回の貸付分を受けられる月の初日」**を資力発生日として扱います。そのため、その日より前に適法に支給されていた保護費については、生活保護法63条による返還請求をしないこととされています。

例えば、4月から生活保護を受給していて、その後に不動産担保型生活資金を申請し、7月20日に貸付契約が成立し、初回貸付が7月分から受けられる場合を考えます。

この場合、資力発生日は7月1日と考えます。したがって、4月・5月・6月に支給された保護費について、「実は自宅という資産があったのだから返してください」とさかのぼって生活保護法63条による返還を求めることはありません。

さらに重要なのは、福祉事務所が貸付契約成立以前に、その不動産の保有を認めないと判断していた場合でも、この取扱いは同じとされている点です。つまり、後から貸付制度が利用可能になったからといって、それ以前の保護費まで一律に返還対象にするわけではありません。

まとめると、

貸付契約成立 → 初回貸付を受けられる月の初日を「資力発生日」とする → それ以前に支給された生活保護費は、原則として生活保護法63条による返還を求めない

という取扱いです。

なお、資力発生日以後に生活保護費と貸付金が重なった場合の収入認定・保護停止・返還の扱いは別の論点になります。ここも実務上重要なので、続けて整理できます。

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